変態店長とバイトその1

ITSUKI

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CASE 2

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「じゃあ、行ってくるわねぇぇ~~」

しなを作って投げキッスして出ていく店長。
今日の魔法商店は休み、店長は商品補充のために御出陣だ。

店じまいの日は魔法商店(兼店長の家)を片づける。
大して汚れやゴミがたまってないときは休みだ。
今日は前者、ミッションを開始する。

準備する物は黒のゴミ袋と軍手、長柄のトングだ。
この街でもゴミの分別は厳しく取り締まられ始め世知辛い世の中になったが魔法商店しごとばの掃除は別。
黒いビニールに縛って一カ所にまとめて置くと、気付いた店長が一瞬で灰燼と帰すからだ。
何故黒なのかは察して欲しい。
まぁいい、さっさと終わらせよう。

先日大変なものを目撃した部屋にそっと侵入する。
大して汚れてなさそうだが――油断は禁物だ。

布団を干し、シーツを洗い、破れた網タイツをそっとトングで掴んでビニールに詰め込む。

奥の部屋は魔法で厳重に封印されているので入れないが、そのドアの前に置かれたゴミ箱にはレースや布の切れ端が大量に詰められているのでそれも全部トングでビニールへ。

最初はこの部屋で調合や錬成を行っていると思ったが、隠し扉の先にあった地下室に作業場を見つけている。
この先の部屋で何が行われているのか……知らない方が身のためだろう。

さっとほこりを払い拭き掃除をして、布団やシーツをとりこみ今日の仕事は終了だ。
変t……店長に鉢合わせする前にさっさと帰ろう。
強敵と戦った時は、稀に筋肉が隆起していたりやたら髪が伸びていたりしてキモいのだ。
――高名な魔法使い……なんだよな?

さーてとっ、今日の仕事は早く終わったしリン達と飲みにでも行くか。
嫌なことは飲んで忘れるに限る。




「う~~~ん、たっだいまぁ~。あらっ、もう帰っちゃったのぉ。ざぁんねん」

折角美味しい獲物が手に入ったからフラットちゃんに手料理を御馳走しようと思ったのに。
――まぁ、いいわ。それならそれですることがあるし。

ようやく手に入れたアルビノ種のキングタイガーの皮。
これを加工して新しい服を作るのだ。
王宮にいるあの子たちにアピールするために。
今度、フラットちゃんにも見てもらおうかしら?




「――――――っ!」

「おい、フラット?急に座り込んでどうかしたのか?」

「すまん、なんか急に悪寒がしたんだが―――気のせい……だよな」

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