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CASE 7
しおりを挟む「タイシジ=サン、マズイ、ヤーマン大佐が来たぞー」
慌てて駆け込んできたユージュさんが慌てて店長に報告する。
ほぼ閑散としていた魔法商店だが『彼』の名前を聞いた瞬間、残っていた人たちは手持ちの商品をさっと清算して逃げていく。
仕事じゃなかったら俺も逃げ出して部屋に隠れていたことだろう。
―――ヤーマン大佐―――
うちの店長、中身は変態でも外見はかっこいい魔法使い兼冒険者で人当たりもいい人気者だ。
それに対して彼は、休戦中である隣国の帝国軍に所属しており、外見は変態で中身は戦闘狂。
その姿に子供は泣き出すし、ガタイの良い冒険者は無理矢理に喧嘩を吹っ掛けられてノックアウト、そのまま軍隊に勧誘もとい拉致される。
鍛えていない男女には「軍に入れば立派な肉体と彼女を手に入れられる」とか「わが軍の精兵たちを癒す仕事に今日にはないか」など勧誘され、その見た目と迫力に気圧され拉致されていく事件が後を絶たない……らしい。
ユージュさんによるとヤーマン大佐は見かけた男女を拉致しながらこの魔法商店にまっすぐに進軍しているらしい。
「店長、見つかる前に帰っていいですか?」
「うぅ~ん。ちょぉ~っとぉ、遅かったみたいねぇ~」
「ムンムンムンムンムンムンムンムンムンムン(はぁと)」
外から気持ち悪いくらいの野太い声が聞こえてくる。
どうやらヤーマン大佐の御到着らしい
「フラットちゃぁ~ん、カウンターの裏にでもかくれてなさぁ~い」
惨劇を回避すべく、指示通りにカウンターに隠れる。
ユージュさんもついてきた。
「ユージュさん、万が一スクープのためにカウンターから少しでも顔を出したら………向こう側に放り投げますからね」
「――わ、分かった。自重する」
隠れながらもメモを片手に入り口を向いていたユージュさんに釘を差す。
「ムンムンムンムンムンムンムンムンムンムン(はぁと)」
―――カラカラカラカラカラカラカラカラ……
入り口につけられた小さなベルが悲鳴を上げる。
どれだけの力で扉を開けたのだろうか。
「吾輩が来てやったのであーるっ!―――フンッ」
――――パァーン
何かがはじけ飛ぶ音が聞こえた。
その音を皮切りに(中身が)変態VS(外見が)変態の闘いが幕を開けたのだった。
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