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CASE 15
しおりを挟む「たのも~」
「たのも~」
「いやいや、恥ずかしいからやめましょうヨ」
店長が切れた薬草を取りに出かけた矢先、変なあいさつで入ってくる冒険者が二人。
プラス一人。
「我が名はカリュ。炎と槍の使い手、炎槍のカリュ」
「俺ぁハセ。風魔法と剣を獲物んしとる。風刃ハセっちゃ、俺んことだ」
「すみませんすみません。あ、私はトクと申します。以前、此方のタイシジさんに助けて頂いたので寄ったついでにお礼を言いに来たのですがこの二人が―――」
「お礼じゃねぇ!お礼参りだっ!」
「あぁ、俺ぁまだ負けてねぇぞ。この戦いの武勲を持って、俺ぁ幼馴染のミィに告白するんだぜ」
「いたいた、完全に瀕死でしたかラ。それにハセさん、ミィさんは先月結婚されたんでショ。先日の酒の席で友人に先越されちまったって泣いてたじゃないですカ!」
「そそそ、そんなこたぁねぇ!俺ん心の中でミィはまだ結婚してねぇ!」
言いたい事は分かった様な分からないような中途半端な感じだが、とりあえず邪魔だと言う事だけは間違いないだろう。
掃除用具置き場からデッキブラシを取り出し、わいわいがやがや騒がしい三人組にピシッと寸止めで三連突きを突きつける。
固まった三人に
「他のお客様の迷惑ですので雑談は外でお願いします。いいですか?」
「「「はいっ、済みませんでした(タ)」」」
――――パチパチパチパチ
中に残っていた人たちから拍手をもらった。
店内の人も迷惑に感じていたのだろう。
店長にはかなわないが一応熊とやり合える程度には棒術をかじっている。
「で、目的の店長なんですがさっき材料を切らしたので何処かに採取に行きましたよ。帰ってくるの、夜、店が閉まってからになるんで明日もう一度来たらどうですか?」
「あら~、それは失礼しましタ。では、御礼状だけでも預かってもらえますカ?」
俺も俺もと三枚の書状を預かってお引き取り頂いた。
片付けを終え、帰ってから手紙に気づくよう、店長の家のテーブルの上にアズあった書状を置く。
封筒にはそれぞれ、『お礼状』『お礼参り』『果たし状』と書かれていた。
が、見なかった事にしてそのまま鍵をかけて帰る事にした。
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