変態店長とバイトその1

ITSUKI

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CASE 19

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「ちぃーっす。今日はタイちゃんいないんだってー?」

「ちょっと残念ッス、前回はあのアドバイスで助かったッス」

「いらっしゃいませー。すみません、店長は暫く四元素の奔流ってチームと狩りに………」

「えぇー、ずっるー!」

「自分も、タイシジ=サンさんと冒険に行ってみたいッス!」

と言う人もいれば

「うっし、噂は本当だったにたいだな。よぅ、フラット。遊びに来たぜー」

「リン、こんな時間にどうしたんだ?」

「今日はタイシジ=サン危険人物がいないからな。今のうちに必要な薬をまとめ買いしとくぜ」

といった若い男の客もいる。

というか、店長に狙われる男連中はこの時を待ってたとばかりに買い込んでいってる気がするんだが。
半日経たないうちに下級ポーションと矢じりに塗るしびれ薬なんかが10日分の予備も含めて品切れになってしまった。
軽い傷薬ももうほぼ底をついている。

逆に、ほぼ毎日1つ2つ買い物に来る女性たちはほとんど来ない。
店長の見た目と人望がよくわかる一日だった。

―――明日は休みにして薬作りだな。





数日空けて店長たちが帰ってきた。
三人組が悟りを開いた様な眼をしていたのはきっと気のせいだ――――と思いたい。

三人組は冒険者ギルド―――ではなく何故か教会に。
店長は底をつきた薬草類を補充すべくおっとり刀で森の中へ。
そんな通常運転に戻ろうとした矢先のことだった。

「大変だ、大変だ、大変だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

街の新聞記者。
ユージュさんが大声をあげて広場に走っていく。

最後がいつもの変態じゃなくて大変だったなぁっと思いながら閉店準備をする。
と、慌てて人が入ってきた

「お客さん、今日はもう終わりですよ。必要な薬があるなら出しますのでお代は明日にでも―――」

「フラット、タイシジ=サンはいるか?」

慌ててやってきたのは門番の片割れトトゥル。

「ん?森に行ったからもうそろそろ戻ってくると思うけど、何かあったのか?」

「魔物が――――魔物が向街にかってるんだ。ダンジョンコアの暴走スタンピードだ!しかも、北門と南門両方。少なくとも二か所同時に発生しているみたいだ!」
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