卸商が異世界で密貿易をしています。

ITSUKI

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日本と異世界とその周辺

女神さまと異世界の門 その6

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うん、ごめん。
後半なんかどうでもいい話になってたわ。

余談だがその店の名前『デア・デ・ペクトゥス』という店らしい。
何故かラテン語で胸の女神。
話を聞く限りこの国にある店らしいので誘われても入らない様、きちんと覚えておこう。

他の店ならちょっと………かなり考えるけどね。

まぁ、そんなわけで意識して扉を開ければ異世界に開くチカラを手に入れていたらしい。

実際に何度か試してみたのだが、この能力はかなり強く出ていきたい先の扉を意識しないと効果を出さない。
開けゴマ感覚で異世界に行きたいと思う程度では不発だった。
酔っ払ってふとシルイットの事を思い浮かべながらトイレのドアを開けたら、おぅふぁんたじぃなんて事態にならないから良い事だと思っておこう。

結果、今現在成功したのは真幸商会シルイット店の扉いくつかと帰りの事務所だけ。
商業ギルドも成功しそうな気がしたけど、ガルフコーストさんの胃に穴が開きそうなので止めておいた。

このままじゃ意味がないので実験その2。
イメージが不十分なら実物を見ながら開ければいいじゃん。
という事で適当な扉の写真を撮って印刷したのを見ながらだったらあっさり成功。
デジカメやノートパソコン内の画像を見ながらだと駄目だった。
何か細かい条件の一致不一致があったのだろうが、とりあえずこの得られていた能力が自分の意思で効果を発揮できる事が分かった。セレーネちゃんは

「本来なら魔力の波長を利用してポイントごとをマーキングすることで各地点を繋ぐスキルなんですけどねぇ」

と呆れた感じで言っていたが魔法使いどころかこの世界の住人ですらないので軽く聞き流す。

そんなわけで、スキルと写真を使って車庫に付いている小さな物置とシルイットの倉庫入り口を一時的に繋ぐ。

東條に露見すると面倒事の予感がするのであいつが配送する時間帯に台車を使って移動させておいた。
今日はその乱雑に投げいれられた商品達を数の力で整理してもらうのだ。

東條?あいつは今日の銀月の仕事が荷運びだと知ってさっさと逃げていったよ。
逃げる直前に先週まとめた一覧を押し付けてやった。

対価として金銭の代わりに

「あんたも一日、無償労働してくれるよな?なぁ?」

と方を叩いてやったらものっすごく苦い顔をしていたので、来月からはもう押し付けられる事は無いだろう。

「それでハヤトさん、どのように直していけばいいのでしょうか」

「あぁ、そうだった。まずはデライト。左半分はシルイットの市場から買い漁ったものなんだけど、この空白のリストに何が幾つあるのか俺の国の言葉で書き出しをお願いします。書き出したアイテムは翼獅子の皆さんで3番倉庫に。カイナさん、並べる順番は問わないけど似た様なアイテムは大体近くに集める感じで置いてもらっていいかな」

「…わかった」

「オッケーよ。カイネ、ファルシア、任せたわ」

「……お姉ちゃん」

「……リーダー」

3番倉庫にはシルイットで仕入れたお手製商品が運ばれる。
配置のイメージはリサイクルショップだ。
場所だけは広いのだから在庫数と大まかな位置さえ特定できればいい。

ダンボールや梱包資材の持ち込みに待ったがかかり在庫管理も手計算。
さらにはほとんど倉庫を管理する時間もない、となればこうやって最低限の把握に努めるしかないのだ。

「銀月の皆さんはこの右半分を2番倉庫に運んでください。こっちにあるアイテムの種類と数はすべて把握してますので種類ごとに分けて並べるだけで大丈夫です。ラッセルとミスティは合わせて2番倉庫に運び込まれるアイテムをきれいに整理もお願いね」

「わかりましたっ!」

「了解、店長。というか、久々にまともな仕事って気がする」

ラッセル、それを言うな。
することがないのか庭の花壇は立派なものが完成済み、店内は小物に至るまで誇りひとつない状態なのは気づいてる。

扱っている商品がぼったくりな金額だから、そんな状態でもシルイットでは破格の給料+家賃を払っても維持できている以上梃入れは後回し後回しとなってしまっているのだ。

2番倉庫には砂糖を中心とした調味料に食料品が運ばれる。
こちらの在庫は伝票とパソコン内にきちんとデータが残っているので運び出しやすいように整理してもらうだけだ。
台車の持込はこれまたセレーネちゃんから待ったがかかったが、木製のネコ車に近い4輪の台車があったので2台を駆使して運搬を頼んだ。

「ちっ。こーいう事は駆け出しに任せりゃいいもんを。結構多いじゃねーか」

「ガル、そういうなって。代わりにトージョーの持ってきたモンと同じモンが手に入るんだぞ?それを考えりゃ一日くらい駆け出しの真似事なんて気にならねーだろ?」

「だねぇ、あのカップラーメンってパスタおいしかったー。私あれまた食べたい!」

「……ちっ、しゃーねーなぁ」

銀月のみんなも了解してくれたようだ。

というか、東條が彼等をモフった理由も今ならわかる気がする。
確かにふわっふわしていて気持ちよさそうだ。
まぁ、俺の場合はきちんと理性が抑えてくれるけどな。

よし、彼らの報酬には(セレーネちゃんには内緒で)シャンプーとリンスも加えておこう。
よりすばらしい毛並みになるように願いをこめて。




こうして倉庫整理を任せている間に自分は臨時休業中の店内へ。
サボリジャナイデスヨ?

多くの妖精・精霊、そしてセレーネちゃんが見守る中、コホンと咳払いをして一言告げる。

「それでは………これからお勉強をしてもらいます」

「「「「「「「「えぇーーーーーーー」」」」」」」」

ブーイングの嵐。
何とでも言うがいい、すぐにそのブーイングは笑い声に変わるのだから。

教本として取り出したものは『笑ってはあかんで24時』シリーズのDVD。
年末年始にある特別番組のひとつで出演者が笑わせられて笑うたびに凄惨な罰を受けるという人気番組だ。

その凄惨さは恐ろしいの一言で出演者の半分以上が毎年治療のためにしばらく活動を休止、制作費の一部に最初から『労災費』が計上されているレベル。
この企画が毎年通る理由も『人死にが出てないから大丈夫でしょ』というのだからさらに恐ろしい。

ぜひともその罰を、いずれ現れるであろうならず者達に遠慮しない形で発揮してもらいたい。

「ということで、この24時シリーズのDVDを楽しんで鑑賞してください。セレーネちゃんちょっといい」

セレーネちゃんにDVDのセットと終わった後の入れ替え方、予備のバッテリーの説明をして夕方まで日本へ。
報酬の買出しだけ済ませて、最近ドタバタばっかりだったから後はゆっくりしますかねぇ。

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