卸商が異世界で密貿易をしています。

ITSUKI

文字の大きさ
37 / 81
密貿易開始編

味方になると心強い天災さん その1

しおりを挟む

「おい、この仕事。何気にきっついんだが」

「ガンバッ☆」

文句を言う天災さんこと東條傑に軽い声援をあげて馬車馬のように働かせる。

別に意趣返しというわけでもないし、折角ロハで使える労働力がいるうちに仕事を詰め込んだわけでもない。

ホントだよ。

まぁ、先日の配達周りのうちに飲料水や油・缶詰等重いものを優先に多めに入れてもいいか確認&明後日配達できないと言ってその分も余分に配送するよう手配済みなのは東條に言っていない。

おかげで明日、ゆっくりできるよ。
ありがとう。

東條に配達周りをさせている間事務処理を済ませ、時間が余ったのでほぼ動かない商品を先に棚卸しておく。

配達要員が一人いるだけでこんなに楽になるとは。
基本配送を午前にしてその間だけバイトを雇うのもありかもしれない。

「おぉぉぉぉぉぉぉい。終わった………ぞぉ」

ヘロヘロになった東條に冷やしておいた缶コーヒーを投げる。

30円×4時間→缶コーヒー1本

4時間分の労働を、東條は一息で飲み干した。

「思ったよりまじめに働いているんだな。父さん、驚いたぞ」

「誰が父さんだ。さっさと帰って汗流してこい。タイムリミットは日が沈む前だからな」

「あぁ、暫く待っててくれ」

因みに、今朝方他人を連れていけるのか実験済みだ。
東條一人でくぐらせるとほんの数秒で帰ってくる(本人はただただまっすぐに暗い道を歩いているらしいが)のだが、自分が引っ張るもしくは紐等で先導すると無事クローゼットの先へたどり着くのだ。

その後、

「ロ・マ・ン・だ・!」

とか言って外に走って行こうとするのを引きとめ戻すのに手間取ったが……。






一通り、自分の通った街並みを案内する。

青空市とたまたま同時に行われていた技術市。
商業ギルド、冒険者ギルド、工業ギルド。

よくよく考えたら行動範囲はこれだけだった。
まぁ、その中の青空市と技術市に興味を持ってもらえたので時間いっぱいまで冷やかして回る事になるだろう。

「おい」

自作の木工製品を眺めていると不意に傑から声をかけられる。

「この世界の金はあるか?」

「まぁ、多少は………ね」

初日で旧金貨7枚ちょっとの稼ぎが出たのだが、この額がこの国この世界でどれだけの資産になるのかわからない。

家賃としては金貨2枚の1万ジルで街の一等地に近い場所に一軒家、しかし目の前のナイフ一本に銀貨12枚(1,200ジル)、先ほどの青空市では大根1本が大体銅貨25枚前後(250ジル)で売られていたのだ。

「お前の店で3ヶ月働いてやる。俺の給料はこっちの金で構わん。金をよこせ」

その場で交渉―――というか、一方的に押し切られました。

業務は午前中の配送・雑用のみの4時間程、21日勤務。
(多少の残業代込みということで)時給150ジルの3ヶ月分として

150×4×21×3=37,800

………売上金全部取られました。

手元に残ったのは902ジル、銀貨9枚と銅貨2枚のみ。

まぁ、現状わけわからずの通貨かねで3ヶ月ただ働きならありがたいけどね。

ミスティからの手足アルバイトの給料は時給換算だと50ジル位。

やっぱり日本で一番の固定費は人件費だって実感するね。

いや、まてよ。
人件費が3分の1なら3割増しで人を大量に集めて単純に内職させるだけでも相当な利益を出せるんじゃ……。

現在の大手企業の仕組みと似たような事を考えていた先ほどまで近くにいたはずのアイツがいない。

サァッっと血の気が失せ冷や汗が伝う。

と、背中にポンっと手を置かれる。
後ろにいたかと安堵して振り向くと

「おや、ハヤトじゃないか。どうしたんだい、こんなところで?」

両手に大量の食材を抱えたデキシーさん。

「なぁにぼーっと突っ立ってるんだい?暇ならもう少し買って帰りたいからさ野菜たちこいつらをちょっと持っててもらえないかい?」

ちょっとまずいんじゃと考えていると両手に大量の野菜たちを渡される。
そのまま正面のおじさんの市に突入し

「この青菜4束でいくらだい?60?馬鹿言っちゃあいけないね、さっきの所じゃ今朝方取れた新鮮でここより大きいのが42で売ってくれるって言われたよ。この店じゃあ貴族様に卸す特別な野菜を扱っているのかい?」

デキシーさんの大きな声とおじさんの悲鳴が聞こえてきた。

あー、多分逃げられないんだろうなぁ。

………あいつ、どうしよう。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...