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密貿易開始編
幻想的(ファンタジー)な盗人と現実主義者(リアリスト)の主人公 その2
しおりを挟むさて、この書類の山だが死にかけた状態の通常業務で終わらなかった帳面処理―――だけではない。
シルイットより大量に持ち込んだ家具に小物に古着に金属etc…。
売り場を用意していたので処分先については問題なかったのだが、関連してかさむ経費や不透明なお金に在庫が新たに発生する事となった。
時系列順に見直してみる。
シルイットからの手作り品の輸入費用が300万、これは物々交換という体で真幸商会より砂糖や胡椒を中心に日持ちのする食品や調味料を購入・輸送としている。
とはいうものの今回の取引で使った分は額面にすると5万もかかっていない。
残りの仕入れ値で295万円分もの食料品は空になったトラック置き場に山と残っており、地震・雷・火事・親父、何が起きても軽く1年は闘えるだろう。
まずはこれをどうにかして異世界側に持って行かなくてはならない。
帳簿に残ってないはずの大量の商品が税務署関係に見つかった場合、どう考えても明るい未来が想像できない。
逆に仕入れた所品の在庫も問題だ。
今回は東條がドナドナされた経緯もあり玉石混合でとりあえずカイネとファルシアのお眼鏡にかなった品を手に入れられるだけ大人買いしてきた。
実際には結果オーライだったのだが今回はその中の2割程を東京の方に送りつけ、東條―――というかその協力者が言うには軽く見積もっても600万(仕入れ値の倍)は軽く超える売り上げになるだろうとの事。
ついでにバックヤードどころか事務所までぎゅうぎゅうだから暫くは送らないでくれと懇願する手紙も一緒に渡された。
正直良く分からないが一定の人種にはオンリーワンというのが物凄く価値があるのだとか。
そして以外なことに値段がつくのが布の類だった。
文明が劣り機械化などされてない世界で布と言えば手で糸を紡ぎ織りなしてようやく手に入れられるもの。
そして現在の地球では、ほとんどが機械によって織られたもので、地方の有名な織物や世界的に有名な絨毯など手織りの品はゼロが5つ6つ、物によっては7つ付いてもおかしくない世界へと変わっている。
つまりは、着古して大して価値のないように見える布でも手織りと分かるだけで数千から数万円といった価値がつくらしい。
そんなわけで困ったことになったのが同じく空いてる所に詰め込めと倉庫に重ねたシルイット産の商品達(残りの8割)の扱いだ。
今回はきちんと仕入れの300万に輸送コストで帳尻合わせもなく帳簿をつけられる。
しかし、概算にして2,400万円以上の在庫を帳面に放置となると今度は経営不振かと見られるのだ。
昔の大手デパートで経営不振ながらも在庫を多く抱える事で黒字を偽装していた事例を学ばされていたので、金勘定する人間達にとって在庫過多も一つの悪となっている。
そのため、残りの在庫は帳簿にはつけられず無かった事にして倉庫の中で塩漬けになっている。
塩漬けはまだいいのだが、これらを東京に送るとなると次回から4回仕入れ値が0になってしまうのだ。
これもまたどうにかしなければならない問題点の一つである。
次に輸送の問題だ。
真幸商会から東京への輸送は問題ない。
しかし、シルイットから真幸商会への輸送費が問題になる。
手動で運ぶ為費用が0なのだ。
そうなると、この高価な品々はどこから持ってきたのかという話になる。
「………よしっ」
問題点を洗い出し一段落だ。
後はこの解決策を考えるだけ。
問題点ばかりだと思ったけど多分気のせいだよな。
冷え切ったお茶を一息に飲み立ち上がる。
おなじ体勢で長くいたせいか身体を動かすとベキベキと鈍い音がする。
いつのまにか日は沈みかけており、中にはお客も三人娘もいなくなっていた。
外でキャッキャと声がするので出てみると仲よさそうに花壇を弄っているようだ。
植えるものも決まらないまま、いつのまにか花壇は当初の倍程度の広さまで庭を侵食していたようだ。
どれだけ暇してるんだろう。
一人奥でふらふらしているのがいるけどデライトか?
あれは大丈夫なのか?
と、視線に気づいたのかデライトがこちらに気づく。
走ってやってきたのはミスティとラッセルだけど。
「店長―、お疲れさまです。ペットボトルの件、どうにかなりそうですか?」
「ハヤトさん、お疲れ様です。今度ハヤトさんの国の言葉も教えてください!今日は何も手伝えませんでしたがハヤトさんのお手伝いができるようになりたいです」
「お、つかれさまです。私、も、文字や、数字の、方が、いい。重いもの運んだり、動くのは、疲れ、る」
三者三様に声をかけてくれる。
お礼を言って頭をなで、それぞれに軽く返事をして別れる。
始めて少ししか経ってないけど、この場所と繋がりを崩さない様に頑張ろうと改めて思えた。
まずは…………ラッセルの心配事を取り除くとするか。
待ってろよ犯人(?)!
文明の差って言うものを思い知らせてやるぜー。
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