11 / 85
資料管理室の才女たち その7
しおりを挟む
「わぁ、目の前に大きな木!」
C棟3階16号室に3人が入ると、建物の東角に位置するこの部屋は2面に窓が嵌め込まれており午後であるのに十分な明るさがある。
「この部屋は明るいし、風通しも良いのだけれどメイドの控えに使う続き部屋がない作りでね。それでC棟に主に住まう貴族令嬢には人気がなくて、その点申し訳ないとは思ったんだが」
「いえ、いいんです。私自分のことはなんでもひとりでできますから。この部屋とても素敵で気に入りました、ありがとうございます!! ねぇ、とうさま。あの木は館にある・・」
「あぁ、メラの木だ。珍しい、この木は寒い地域でしか育たない。メラが育つにはここの気候は暖かすぎるんだが・・・」
父娘は部屋の確認もせず窓辺から見える大木を観察し始めてしまった。
「ふふふ、聞いていた通りですね。男爵は熱心な研究者でもいらっしゃるようだ」
父カルドは若い頃、この研究所に一時籍を置いていたことがある。
当時から育苗や交配など作物の生産に関わる研究に熱心に取り込んでいた。
研究所から距離を置いているが、北方辺境地区の防衛や管理運営に加え忙しい中時間を作っては作物の品種改良やや育成条件についての試験や研究を今も行っている。
そんな父のように作物の育成に関わっていくことがマリアンヌの目標である。
「いえ、それほどのものではありません。素人の延長で。当初の目的を忘れて見入ってしまいました。小公爵様もお忙しいというのに申し訳ございません」
「構いません、あなたのような方がいてあの北方地区は飢えずにいられるのですから。あと、私のことはどうぞ気軽にマローとお呼びください。私はここではただの職員でマリアンヌの同僚です」
「そんな恐れ多いことを。次代の公爵位につく方というだけでも私のようなものからすれば別世界の方でいらっしゃいます。それに、、、常々北方領民を気にかけ必ず駆けつけてくださることへの恩義はスピナ公爵様のご嫡子でいらっしゃるあなたへ十分な礼を尽くすべき理由になります」
話の最初は恐縮しきっていたカルドであるが、話していく中で日頃感じている隣領スピナ公爵家への熱い恩義が湧き言葉の最後には強い眼差しでマローに心からの感謝を伝えていた。
「大袈裟ですよ、ファルマ男爵。本来であれば総領主オリウス家が担うことを一家令である男爵家のあなたがあれほどまでに切り盛りしてくださっているから彼の地は乱れることなく辺境は守られてている。
隣接するわたしたちの領が穏やかに暮らせるのもその恩恵を受けてのこと。そちらになにかあれば真っ先に駆けつけるのはこちらとしても当然のことなのですよ」
C棟3階16号室に3人が入ると、建物の東角に位置するこの部屋は2面に窓が嵌め込まれており午後であるのに十分な明るさがある。
「この部屋は明るいし、風通しも良いのだけれどメイドの控えに使う続き部屋がない作りでね。それでC棟に主に住まう貴族令嬢には人気がなくて、その点申し訳ないとは思ったんだが」
「いえ、いいんです。私自分のことはなんでもひとりでできますから。この部屋とても素敵で気に入りました、ありがとうございます!! ねぇ、とうさま。あの木は館にある・・」
「あぁ、メラの木だ。珍しい、この木は寒い地域でしか育たない。メラが育つにはここの気候は暖かすぎるんだが・・・」
父娘は部屋の確認もせず窓辺から見える大木を観察し始めてしまった。
「ふふふ、聞いていた通りですね。男爵は熱心な研究者でもいらっしゃるようだ」
父カルドは若い頃、この研究所に一時籍を置いていたことがある。
当時から育苗や交配など作物の生産に関わる研究に熱心に取り込んでいた。
研究所から距離を置いているが、北方辺境地区の防衛や管理運営に加え忙しい中時間を作っては作物の品種改良やや育成条件についての試験や研究を今も行っている。
そんな父のように作物の育成に関わっていくことがマリアンヌの目標である。
「いえ、それほどのものではありません。素人の延長で。当初の目的を忘れて見入ってしまいました。小公爵様もお忙しいというのに申し訳ございません」
「構いません、あなたのような方がいてあの北方地区は飢えずにいられるのですから。あと、私のことはどうぞ気軽にマローとお呼びください。私はここではただの職員でマリアンヌの同僚です」
「そんな恐れ多いことを。次代の公爵位につく方というだけでも私のようなものからすれば別世界の方でいらっしゃいます。それに、、、常々北方領民を気にかけ必ず駆けつけてくださることへの恩義はスピナ公爵様のご嫡子でいらっしゃるあなたへ十分な礼を尽くすべき理由になります」
話の最初は恐縮しきっていたカルドであるが、話していく中で日頃感じている隣領スピナ公爵家への熱い恩義が湧き言葉の最後には強い眼差しでマローに心からの感謝を伝えていた。
「大袈裟ですよ、ファルマ男爵。本来であれば総領主オリウス家が担うことを一家令である男爵家のあなたがあれほどまでに切り盛りしてくださっているから彼の地は乱れることなく辺境は守られてている。
隣接するわたしたちの領が穏やかに暮らせるのもその恩恵を受けてのこと。そちらになにかあれば真っ先に駆けつけるのはこちらとしても当然のことなのですよ」
104
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる