異世界召喚巻き込まれ追放テイマー~最弱職と言われたスキルで魔物軍団を作ったら世界最強の町ができました~

九龍クロン

文字の大きさ
17 / 160

16話、遺されたモノ

しおりを挟む


 13日目。
 今日もカイちゃんに乗って、荒野を超えて砂漠に来た。
 ……なにも、ない。
 魔物もいない。今まではサソリ君の仲間たちを見かけることがあったが、今日はマジでなにもいない。ワームらしき砂の畝りもない。

 「そういう日もあるか……もうちょっと進んでみようか」

 カイちゃんにお願いし、もうしばらく飛び進む。
 暫くしてふと、視界の先が気になった。

 「カイちゃん待って。……あっち、なんかある?蜃気楼かな……行ってみよう」

 見渡す限りなにもなかったのだ。少しの違和感でもなにかの手がかりになるだろう。




 そうして進むこと数分。
 ……急に、目の前に、城が現れた。

 「……は?」

 なにも無かったはずの空間に、城がある。
 少し引き返して振り向くと、無い。
 少し進むと、現れる。
 魔法かなにかで隠されているのだろうか。

 「めちゃくちゃ気になるけど、こういうのって大抵危ないよね……いやいいや、暇だし行こう」

 私は、その城を探索する事にした。

 入口は大きく、カイちゃんも軽く入れた。
 外観は少し寂れていたが、中は清掃の行き届いているようなピカピカの状態だ。
 ……なにかいるのだろう。気をつけて進もう。

 しばらく探索した。
 各部屋にある調度品などはあまり触れず、確認だけした。高そうだったから……
 今のところ、なにもいない。不思議なほど静かだ。
 しかしこれだけ綺麗なのだから誰かが手入れしているはず、とおもうが、これもなにか魔法で保存されているだけなのだろうか。

 あとは、最後の一部屋だけだ。
 一番豪華な扉。なんか開けちゃ行けない気もするけど、最後だもんね。……いや、地下への扉はあったけどそっちは怖いから知らない。無かったことにする。

 意を決して、開ける。

 中には、美少女が浮いていた。

 「は?」

 浮いている。そして多分寝ている……?
 呆然と眺めていると、美少女が目をあけた。

 「なんだ、もう朝か?良く寝た気はするが………………あ?お前誰だ?」

 美少女が着地。こっちを見つめる。
 ちょっと冷や汗。多分、強い。

 「私は瀧奈。一般人よ。あなたは?この城の主様?」

 「タキナ……タキナか。日本人の名前だなオイ。勇者様か?俺はゼスト。大魔王ゼスト様だ。……ああ、元大魔王か」

 どうやら目の前の美少女は、自称元大魔王様らしい。道理で圧がすごいわけだ。初日の私なら圧で死んでる。

 「私は勇者じゃない。ただのテイマー。日本人なのはそうだけど…… 元大魔王って、今はなにをしてるの?」

 ゼストに問う。ゼストは首を傾げている。

 「勇者じゃないのに俺の圧で倒れねぇってのはよくわからんが。……今はただの隠居だ。この城に封印されてるからな。人間が滅んだら、また現役に戻るんだけどよ」

 どうやらこの城は封印装置?のようなものだったらしい。迂闊になにか壊したりしなくてよかった。多分。

 「ところでタキナ……城の連中はどうした?」

 ゼストは不思議そうにしている。
 まあ確かに、私がここまで来てるわけだ。
 誰かがいたら止められるか、共に来るはずだろう。
 誰かがいれば。

 「誰も居なかったわよ?地下は知らないけど……」

 ゼストが、驚いた顔をして……俯いた。

 「そうか…………そうか。……俺の討伐に来たんじゃないなら早めに帰ってくれ。俺はしばらく一人で居たい。ああ、地下には多分、俺が趣味で捕まえた魔物が繋がれているから、近寄らないほうがいいぞ。そっちは多分生きてるし、普通の人間なら瘴気で死ぬ。……いや、タキナなら大丈夫だろうが、まあ近寄らんほうが無難だ。じゃあな」

 俯いたままのゼストが、扉を閉めた。
 ……やはり、人が居たはずなのだろう、本来は。
 なにかしらの理由で、居なくなった。
 少し、心が痛くなった。




 それはそれとして地下へ向かう。
強そうな魔物ならテイムして持って帰っちゃおうと思う。人の物なのにって?それはそれ。色々失った人からまた奪うのかって?いや相手は腐っても魔王だぞ。戦力を削ぐに越したことはないだろうよ。

 地下は確かに、なにかまとわりつくような気持ちの悪い空気で満たされていた。
 今の私にはちょっと嫌だなくらいだが、普通なら死ぬのだろうな。

 「お、いたいた。……結構いるね?どの子にしよう」

 いろいろいる。みんな元気に吠えている。柵越しだとあんまり怖くない気がするなあ。感覚がバグってる。

 「今日はこの子にしようかな!はいテイム。……柵の鍵は入口にあったし、他の子も迎えにまた来よう。レオ君、今日からよろしくね!」


 レッドオーガ。
 オーガ種の上位種。
 オーガとほぼ同じ身長、およそ2.5mで、オーガより細い体躯をしている。
 しかしパワーもスピードも知能もオーガの比にならないほど強く、まさに上位種。
 タイマンなら、オーガを統べる王、オーガキングとも優位に戦えるほど。
 肉を好む。骨まで食べる。たまーに植物性のものも食べる。
 レオ君と呼ばれる事になった。不満はない。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...