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48話、聖剣
しおりを挟む「聖剣、つくったよ。……スラちゃんがいれば、一日一本はつくれるね。魔力量が凄い」
ハヤトにお願いして、聖剣をつくってもらった。これでもう一度十層に戻って黒龍の邪気を聖剣で払えば、地上にだしてあげられる。
聖剣づくりには莫大な魔力が必要だそうで、本来ならひと月ほどかかるそうだが、スラちゃんの魔力を六割ほど借りることで、アダマンチウムの聖剣を一日で作り上げることができた。
この聖剣は今後、私が使うことになった。ヒナさんとゼストが剣を教えてくれるらしいので、少しずつ頑張ろうと思う。
「聖剣があれば聖気が纏えるようになるからな、それの扱いも教えてやるよ」
ゼストは本当になんでも知ってるな……
それから無事に聖剣をつかって黒龍を邪気から解放し、地上にだしてあげる事ができた。
黒龍は嬉しそうに夜空を舞い、月に輝く雨を降らせてくれた。魔物たちは皆、この雨を喜んでいた。
37日目。
まずブラインが家に緊急報告にきた。
畑がどえらい事になっているらしい。
見に行くと、全ての作物が丁度いい熟れ具合かつ超巨大に実っていた。どうやら昨日の雨が大変な作用をしたようだ。土地の魔力、マジックトレントの能力、スラちゃんの栄養豊富な性質にした体液、そして黒龍の恵みの雨。このままだと食料自給率が200%とか300%とかになってしまうかもしれない。嬉しい悲鳴だ。野菜の街じゃないんだぞ。
朝ごはんは大変なことになった畑でとったレタスとパプリカ、そして二層の茹で鳥のサラダと、柔らかい蒸しパン。そしてホットミルクだ。
野菜の消費が大変そうなので、とりあえず今日は野菜デーとして、住民みんなに食べまくってもらおう。肉も結構余ってきているので、そろそろ住民が増えてくれてもいいんだが。ゴールドはいつ来るだろうな。
今日はどうしようか。
アビスの迷宮、十一層も見に行きたいが、地獄迷宮のほうも進めたい気持ちがある。
山の山頂も見たいし、荒野の向こう、砂漠に向かわない方角もまだ散策していない。
砂漠の奥の奥も本当に扉の向こうの海なのかも知っておきたいし。なにからしようかな。
「気分転換に、地獄迷宮いくかな。馬ちゃん最近乗ってない気がするし」
というわけで、砂漠へGOだ。
メンバーは、馬ちゃん、トロル君、メタスラちゃん、マリア、私。
地獄迷宮、三層。
一層は火山、二層は遺跡だったのだが、三層は草原だった。
「地獄とは……?」
「おだやかなのです」
おだやかな風の吹く、長閑な丘が続く。
今のところ、魔物はいない。
しばらく真っ直ぐ進むと、遠くから地響きが聞こえた。
「くるのです」
地響きの方向から、巨大なトカゲが走ってきた。
見た目はロックドラゴンに似ているが、あの子よりはとても小さい。我々に比べればとても大きいのだが。
「ひとまず倒そうか。トロル君、お願いね」
トカゲはこちらに一直線に向かってくる。
トロル君が地面を蹴り、トカゲに接近。正面からタックルをカマした。
トカゲは昏倒。トドメのパンチが頭蓋に叩き込まれ、戦闘終了。
強くはないのかな?いやまあ、普通の人間には脅威だろうが、こんな地獄にこれる人間からすれば大したことない気がする。
トカゲを眺めていると、また地響きが聞こえてきた。
足音の数が多い。またトカゲか、と思っていたのだが。
「ケンタウロスです?……馬なのです。なにか乗ってるのです!」
「騎兵隊?え、戦闘開始!一体だけ残して!」
重厚な鎧を纏った馬が、激しく地面を鳴らしながら近付いてくる。騎乗しているのは、グレートソードとシールドを構えた人型の鎧。それが数十ほど、槍状に展開して突進してくる。
マリアが霧になり、騎兵隊に向かって霧散する。トロル君は正面の一頭に向かって跳躍。メタスラちゃんは馬ちゃんの頭にヘルムのように被さり、銃口のようなものを生やした。馬ちゃんは正面から少しズレて突進。
両者がぶつかり合う。トロル君が正面の一体を粉々に粉砕する。馬も鎧も、中身は骨のようだ。
後続の馬が左右に広がり回避しようとするが、右は馬ちゃんに被さったメタスラちゃんの銃乱射と、馬ちゃん自身の突進によって崩されていく。左は徐々にスピードを失い、気を失ったかのように倒れていく。マリアがなにかしたのだろう。
右の一頭を残し、全て戦闘不能に。
残りの一体をテイムして、戦闘終了。
「ふう、数が多いと緊張するわ」
「たのしいのです!」
さて、テイムした子は、武器を下ろしてこちらに近付いてくる。
魔物情報をみてみよう。
ヘルキャバリー。
魔力により超硬質化した骨と、魔力を練り込み鍛えられた魔導鋼の鎧により、重騎兵としての役割をもったスケルトンライダーの上位種。
馬部分と人部分でひとつの魔物だが、離れても平気。
ヘルキャバリー同士であれば思考をリンクすることができる。騎兵隊として完成された種族といえるだろう。
重騎兵隊、欲しかったんだよね。なんとなく。
ケンタウロスもいるのだが、あの子は正面より側面を叩く方が向いている気がする。この子は正面突破に強そうね。数が欲しくなる。
「じゃ、バリちゃんテイムしたし一旦帰ろうかな」
「バリちゃんなのです……?」
軍隊としての魔物たちの運用も、少しだけ考えておきたいな。
この前みたいな襲撃が、もっと大規模だと……ちゃんと防衛戦をしないといけないかもしれないし。
街を守る壁もつくりたいかもしれない。その辺はまあ、ドーグに任せておくか……
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