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57話、海の向こう
しおりを挟む地獄迷宮、四層。
海と砂浜のみが広がるエリアだったので、五層への階段は海の中かと思っていたのだが、砂浜をしばらく進むとボスを発見することが出来た。
ボスのいる場所の近くに階段があるはずなので、これで五層に降りることができる。海中じゃなくてよかった。
「でっかいヤドカリ」
「殻がかっこいいのです!」
めちゃくちゃかっこいい頭蓋骨を背負った蟹のような魔物がいた。前世のゲームで見た気がするな、こんなやつ。
ハサミも大きくて硬そう。前も後ろもしっかり防御力があるな。足が弱点か?
「ま、ボスならテイムだよね。テイム!」
「テイムなのです!」
というわけで、カニさんゲット。
キングガザミ。
ヤドカリではなく蟹。背中の頭蓋骨は自前の甲羅。
ハサミの間から水魔法を、背中の頭蓋骨の口部分から火魔法を放出する。
殻は非常に固く、アダマンタイトの剣ですら傷一つつかない。体正面は火に弱い。火魔法か、内部破壊のできる打撃で戦うといい。
うーん、ボスだからテイムしたけど使い道が思い浮かばない。
めちゃくちゃ硬いから、盾役としては優秀なのだろうけど。とりあえずイカちゃんに預けようかな?
と思ったけど、よく見たらこの子、お腹にめちゃくちゃ卵もってない?ボスなのに卵抱えてんの?……え、これ全部産まれたらどうなんの?これは一旦、ドワーフに預けておこうかな。産まれるまでは面倒みててもらおう。産まれたらそれはそのとき考え直そう。
さて、カニさんにはひとまずその場で待機してもらって、五層へ降りる事にする。ゲートを登録して、できればどんなものか確認だけして、攻略するか帰るか決めよう。
カニさんの近くにあった階段を降り、五層へ。
ゲート登録を済ませ、すこし見てみる。
「小部屋……だけ?」
ボスもいない。下への階段もない。行き止まりのようだ。
ゲート登録まであるのに……?
「……あれ、あそこ、変な壁なのです」
「お、隠し通路かな?」
変な壁は、通る事ができた。
壁の先には、扉があった。いつもの転移扉だろう。
「こんなところに……?」
あらためて五層を調べても、この扉しか変なところはない。
下層へのルートは間違えたか。やっぱり海の中だったのかな?……扉、通るか?
「マリア、どうする?」
「いくのですよ?」
というわけで、突入だ。
扉の先は、どこかの洞窟だった。
「迷宮じゃないのです」
「扉は?あるね、よかった。……どこだろ?」
洞窟から出てみる。
切り立った崖にでた。飛べないと降りるのは無理だな。
遠くの方のひらけた草原に、村が見える。
「魔族の村なのです」
まったくちゃんと見えないが、あの動いてるのは魔族のようだ。
となると、ここは……
「魔大陸?」
「うーん、そうなのです?」
魔大陸とは、名のとおり、魔族が占有する大陸だ。
我々の街のある大陸にも、魔族は隠れ住んでいるが、多分それらじゃないと思う。
あんなにひらけた場所に集落をつくれるなら、それはもう魔族ではないか、人の大陸ではないか、どっちかだと思う。多分。
ふと、視線を感じる。村から見られてる?
『何故そんなところにいる?助けは必要か?』
テレパシーのようなものがとんできた。あら、心配されてる。
マリアはともかく、人間の私がいるのは多分不味いだろう……か。
『大丈夫ですよ』と返事。
『そうか』と帰ってきた。
テレパシー、受けてから数秒は、スキルのないこっちからも返せるようだ。便利だな……
「マリア、一旦帰ってまた来よう」
「わかったのです」
カニさんを連れて帰宅。ドワーフにカニさんを任せ、ゼストのところに行く。
魔大陸の話をしてくれたのはゼストなので、報告だ。
「なるほどな、テレパシーを使える魔族が草原のど真ん中に……魔大陸で間違いないだろうな。平和そうだったか?」
「うん、長閑な感じだった、ね、マリア」
「牛さん飼ってたのです。にこにこしてたのです」
「それはなんとも……平和だな。南の方の魔大陸か……?島の可能性もあるが」
魔大陸もいくつかあるんだろうか。
とりあえず、近いうちにまた行くことにした。次はゼストも連れて。
崖を降りるのに、扉をくぐれて空を飛べる魔物を連れていかないとな。
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