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68話、腐り落ちる
しおりを挟む群れに接敵寸前。
まず、ゴーストモスキートを向かわせる。
……どうやら支配権の上書きは難しいようだ。少しだけ動きを鈍らせるに留まった。
「ありがとね、先に戻ってて」
ゴーストモスキートを街に帰らせる。
まずはトロちゃんに、ブレス攻撃を命じる。
「正面、ど真ん中にやっちゃって!」
轟ッ!と空気が震える。前方に、極太のソニックブレスが放出される。
先頭にいたゴブリンやスケルトンから、半ばほどにいたオークやオーガまで、ソニックブレスに触れた魔物は八つ裂きになって吹き飛ばされた。
「前より威力あがった?いいねぇ!よし、踏み潰すぞー!」
そのまま魔物を踏み潰していく。
ただ走り回る、それだけで必殺になるのがロックドラゴンだ。質量は強さなのだと言わんばかりに、蹂躙していく。
トロちゃんの蹂躙から逃れた魔物も、当然いた。
しかし、それらもすぐに息を引き取る。
霧が、薄く広がっている。ただ、それに触れただけで。息が止まる。目が見えなくなる。音が聞こえなくなる。魂が、抜け落ちる。
静かになった死体の間を、ゴージャス・キャバリーがゴージャスに闊歩する。騎手の前に霧が集まり、少女の形になった。
「魅了と支配、ママに使い方教わっててよかったのです」
トロちゃんに追従するようについてきたヘッグちゃんが、トロちゃんの前に出た。
前方、大型の魔物がいる方に向けて、口から黒い塊をいくつも放出する。
黒い塊に触れた魔物は、煙をあげ腐り落ちていった。そして、その黒い塊から、黒い蛇がわらわらと生み出されていく。
ゴブリンほどの大きさの蛇は、塊から数十、数百生み出され、それぞれが大型の魔物にたいして攻撃を開始する。魔物は蛇に噛まれた所から煙をあげ、激痛で悶え、動きをとめる。魔物も抵抗して蛇を潰していくが、潰れた蛇の体液でも皮膚が溶けるため、どう足掻いても被害が広がっていく。
もちろん、蛇の攻撃が通らない魔物もいるが……ヘッグちゃんが、大型の魔物の上を飛行しながら、黒紫のブレスをばら撒く。
肉のある魔物は、白く腐り、崩れ落ちた。
骨の魔物は、ぶくぶくと泡立ち、破裂した。
実体のない魔物は、姿が歪み、解け、消えてしまった。
ブレスに直撃した魔物は、全て、腐ってしまった。
「うわぁ、アレやばいね……ヘッグちゃん、ほんとに強いんだ」
それからは、その繰り返しだ。
数万だろうが数十万だろうが、雑魚がどれだけ集まっても私たちには勝てない。
今回も完全勝利だな。
と、思っていたのだが。
「む、危険です、マリアさん!離れて!」
「うおあ!危ないのです!」
霧になっていたマリアに向けて、光線が発せられた。
これは、太陽属性の光線だ。……放たれた方向をみる。
とてつもない魔力の奔流を感じるスケルトンがいた。あいつは、強い。
「はいテイム!お前はこちら側だ!やれ!」
即テイムし、光線を魔物軍に撃たせる。魔物が蒸発していく。強いな。
魔物情報を見ておこう。
セイント・エルダー・リッチ。
神に全てを捧げた聖職者の成れ果て。死してなお神に尽くさんとする狂信者。
神のように慈悲深い彼は、異教徒に対しても慈悲深く対処する。 聖属性が覚醒した太陽属性の魔法により、異教徒は痛みを感じる間もなく神の身元へ捧げられるだろう。そして彼は、手をかけた異教徒たちの安寧を願い、今日も祈る。
なるほど狂ってるね、よし。
彼にはそのまま、周りの敵に攻撃してまわって混乱を呼んでもらおう。
といっても、もうすぐ終わりそうなのだが。
セイント・エルダー・リッチより強そうな魔物は出てこず、多少は強そうだと思った魔物も、ヘッグちゃんかトロちゃんに砕き潰され。
空に逃げようとした愚か者は、ベルゼの蝿によって黒い炎に包まれ。
こそこそと死体に紛れながら近づいてこようとする雑魚は、マリアの霧によってなにも感じないまま絶命していった。
そして、全てを片付けた。
やはり、戦闘で空いた穴を埋めにくる習性があると楽に殲滅できる。楽しいくらいだ。
「さて……終わりかな。お疲れ様」
街に帰ろう。
今回も、被害は無しだ。
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