【R18】生真面目騎士様の不真面目な愛読書

綾瀬ありる

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生真面目騎士様の淫靡な夢

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 ――馬乗りになって、嫌がる彼女の腕をひとまとめに掴むと、それを頭の上に固定する。
 何かを叫ぼうとする口に無理やり唇を重ねると、舌を差し込み蹂躙した。その間にも、空いた片手で制服を脱がせていく。自分が思ったより器用で驚いた。
 彼女の口の中は温かく湿っていて、どこもかしこも甘い。舐めまわして、舌を吸い出して軽く噛むと、彼女の身体がびくんと跳ねる。それだけでもう自身がガチガチになっている。
 甘い唾液を吸い出して飲み込む。彼女にも自分の唾液を飲み込ませる。まだそれだけなのに、まるで繋がったみたいに背筋が甘くしびれるからたまらない。早く、早くと自分の内側から声がする。
 くったりと力の抜けた頃合いを見計らって唇を離すと、飲み込み切れなかった唾液が口の端からこぼれていくのが見えた。紅潮した頬、涙をいっぱいに貯めた瞳と相まって、とても扇情的だ。
 はだけたブラウスの間から、引きずり落されたコルセット。シュミーズはめくり上げられ、白くて弾力のある二つの膨らみが露にされている。ピンク色の頂に吸い付くと、彼女の口から悩まし気な声があがった。
 その甘い響きに陶然となる。
 眼に映る姿も、聞こえてくる声も、甘い味も、何もかもが自分を酔わせる媚薬のようだ。
 すっかり抵抗を忘れた腕を離すと、もう片方の胸へと手を伸ばす。すっかり立ち上がった尖りを捏ね、口の中の分は唾液をまぶしてちゅくちゅくと吸う。彼女の身体がびくびくと跳ねて、快感に震えているのが判る。早く、彼女の中に入りたい、その想いを必死で堪える。まだ、早い。
「やっ……嫌、ダメ……っ」
 弱々しい声が上がるが、全く抵抗できていない。むしろ、その声でますます興奮は高まっていく。
 腰に手を滑らせ、吸い付くような肌をさわさわと撫でれば、またそれに反応するように彼女の声は甘い喘ぎ声に変わっていく。
 そっと腰の後ろに手を回し、スカートのリボンを解く。緩んだウエストから手を差し入れると、彼女の身体が一瞬こわばった。足をばたつかせて、侵入を阻止しようとした――らしいが、かえってその動きによってスカートはずりさがってしまった。
「あっ、やだ、そんな」
 慌ててスカートを引き上げようと伸ばした手を抑え込むと、ドロワーズの紐を緩めて一気に引き下げる。守るものもなく露にされてしまった草むらに指を差し入れると、かすかにくちゅりと濡れた音がした。反応してくれていることに歓喜する。もっと、もっと先へ。
「こんな風にされても感じるなんてね」
 興奮を押し隠し、揶揄するようにそう告げると、彼女は一瞬目を見開き唇をかみしめた。悔しそうな彼女の顔を眺めながら、その潤った場所を刺激する。狭間をゆるゆると指が行き来し始めると、彼女はたまらずに口を開き、甘い声を上げてしまう。ぬるぬると滴る蜜に、知らず口角があがる。
「可愛い声、もっと聴かせて」
 気を良くして刺激を強めていく。彼女ももう、抵抗できずにされるがままだ。指が芯をかすめると、喘ぎ声は一段と高くなった。空いた手で、胸を揉み、体中を撫でまわす。唇で、舌で、更に彼女の弱いところを探り出しては刺激する。
 じゅぶじゅぶと音を立てて狭間を責め立てると、彼女の手が縋り付いてきた。
「あ、だめ……だめなの」
 蕩け切った声で彼女がそう繰り返す。もはやそれは制止の声ではなかった。
 彼女の中へと指をそっと進めていく。蜜を滴らせたそこは、熱く誘うように指にからみつく。くちゅくちゅといやらしい音を立てて抜き差しすると、彼女の身体が弓なりにしなった。
「あ、あっ……なに、やだ」
 未知の快感に混乱して、激しく首をふる彼女の髪を、できる限り優しく撫でる。宥めるようにキスをして、それでも責める指を休めない。
「やっ、こんな……あ、あっ……!」
「いいんだよ、リズ、達して」
 そう耳元に囁いて、彼女の芯を同時に擦り上げると、彼女は全身を震わせた――



 ♢

 ヒューバートが目を覚ましたとき、あたりはまだ真っ暗だった。時計を見ると、夜明けまでまだ二時間近くある。身体中から汗が流れているようで気持ち悪い。
「……また、こんな夢を」

 前回のリズベスの訪問から一週間、アッカーソンの提案で、データ計測は週三回に増やされた。そして、その日にはアッカーソンが必ず姿を見せるようになった。忙しい職務の合間を縫って現れるアッカーソンは、大抵リズベスに近づいて何かと二人で話をしている。
 ヒューバートがリズベスと話せるのは、送り迎えの時とデータ計測の必要事項の確認だけだ。あれからリズベスは必要以上に接近して来ない。
 恋愛小説を実践しよう、などと言い出したのは彼女のくせに。ヒューバートは何故だか面白くなかった。
 リズベスとの接触が減れば、こんな夢を見ることも減るはずで、だからこれは歓迎すべき事態のはずなのだ。
 それなのに――。ヒューバートはため息をついた。
 アッカーソンが現れると、ヒューバートの胸にはもやもやとした気持ちがわき起こる。
 二人の距離は、あまりにも近すぎるように見えたし、リズベスが妙に嬉しそうなのもいただけない。何度か用件を装って割り込んでみたが、その度にアッカーソンがにやにやしながらその様子を見ているのも癪にさわる。
 上司に対して失礼な態度を取るわけにもいかず、さりげなくリズベスに注意してみるものの、
「アッカーソン団長さまは、私をお気遣いくださってるだけです」
 と、そっけなくかわされる始末だ。それかまた妙にむっとくる。
 そして始末の悪いことに、夢を見る頻度は増える一方なのだ。そしてその大部分が、自分が無理にリズベスを犯す、という救い難い内容になっていた。

「俺は、こんなことは……」
 頭をぐしゃぐしゃとかきむしって、ヒューバートは俯いた。硬く目を閉じて、唇を噛む。
 リズベスに直接触れたのは、二回だけだ。あの王宮図書館と、花の小道。
 もっと彼女に触れたら、どうなるだろう。
 柔らかさを知ってしまったがための淫夢だとしたら、触れれば、夢でなく実際に触れて満足すれば終わるのだろうか。それとも――実際にリズベスを組み敷いて、彼女の中で欲望を解放すればこの夢からも解放されるのだろうか。
 ヒューバートは首を振った。
 それで夢から解放されたとして、あとに残るのは後悔だけだ。実際にそんなことをすればリズベスが傷つく。信頼は地に落ち、幼馴染としての好意は欠片もなく砕け散るだろう。
 彼女を傷物にして、責任を取って結婚する?そんなことをしても、リズベスの心は砕けて、もう元には戻らないだろう。
 愛すべき幼馴染を傷つけて、壊してしまう。
 幼少期から良くしてくれた彼女の両親も、アーヴィンも自分を許しはしない。
 そして、自分自身がまず、自分を許しはしないだろう。
 ヒューバートは、自分がおぞましく、また救い難い愚かな男に思えた。

 それでも、リズベスに触れてみたいと願う自分に気が付いてしまったから。
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