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第5章 月のしずくと、ふたりの秘密
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「ユレアに……会いたいな」
朝のぬくもりが残る枕に顔をうずめながら、僕はぽつりとつぶやいた。
昨夜、確かにユレアはここにいて、僕の腕の中にいた。
あのやわらかい感触、恥ずかしそうな声、そして――心の奥まで染みるような体温。
それは全部、夢じゃない。僕だけの大切な記憶。
だけど、あの子はいなくなっていた。
朝日が昇ると、まるで霧のように、ユレアの姿は消えてしまう。
「……今日は、会えるかな」
胸に残るあの香りを抱きしめるようにして、僕はまた湖へ向かった。
その夜、湖はいつもよりも静かだった。
月は、満ちきったように丸く、光が湖の水面を真っ白に染めていた。
「……来てくれたんだね」
その声だけで、体の力が抜けていく気がした。
僕はゆっくりと振り返った。
そこに、ユレアがいた。
だけど――その姿は、これまでと少し違っていた。
「ユレア……?」
「ふふ……どうかな?」
ユレアは、いつもの白いドレスではなく、
光をまとったような透明な布を羽織っていた。
その下に、柔らかいシルクのような衣が肌にぴったりと張りついていて、彼女の身体のラインがはっきりと浮かび上がっている。
特に――胸元は、まるで主張するように張りつめていて、ドレスの薄布がその丸みにそって形を変えていた。
太ももは大胆に露出していて、月の光を浴びてしっとりと艶めいていた。
「な、なんで……そんな格好……!?」
「……月が満ちたから。今日は、“本当のわたし”に近づく日なの」
そう言ってユレアが一歩近づくたびに、ドレスがふわりと揺れて、
足元のラインが浮かびあがる。
「でも……少し、恥ずかしいかも……」
彼女が手で胸元を押さえると、その豊かなふくらみがむにゅっと歪んだ。
思わず目をそらしそうになったけれど――無理だった。
「その……目、そらさないで。今日だけは、ちゃんと見てほしいの」
ユレアの瞳が、まっすぐ僕を見ていた。
逃げられない。そう思った。
「今日はね、ちょっとだけ……お願いがあるの」
「な、なに?」
「……この湖に、いっしょに入ってほしいの」
「えええっ!?」
「月のしずくを、ふたりで浴びると、絆が深くなるって言い伝えがあるの。だから、わたしと――入ってくれる?」
僕は、頷くしかなかった。
湖の水は、思ったよりあたたかかった。
ふたりで岸辺まで入り、足首ほどの深さまで進む。
ユレアの衣装は水を吸って肌に貼りつき、もうほとんど“まとっていない”状態になっていた。
「わっ……!」
彼女がバランスを崩し、僕の腕の中に倒れ込んできた。
「だ、大丈夫っ……て、うわああっ!?」
彼女の体が、全身ぴたっと僕にくっついている。
胸元が押しつけられ、濡れた布越しに形や弾力がはっきりわかる。
さらに、脚が絡まってしまって、僕の腰のあたりにユレアの太ももがぎゅっと挟まっている。
「ぅ……や、やだ……へんなとこ……当たって……」
「ち、ちがっ……これは事故っ……!!」
「も、もう……ちょっと、動かないで……あっ、そんな擦れたら……!」
ユレアが顔を真っ赤にして、僕の胸に顔をうずめてきた。
「ぅぅ……ご、ごめん……ほんとに、わざとじゃないからっ……!」
「……ふふ。知ってるよ」
「えっ?」
「……あなたが、ちゃんと恥ずかしがってくれてるの、うれしいの」
そう言って、彼女はそっと僕の背中に腕をまわした。
「もう少しだけ、このままでいてくれる……?」
「うん……もちろん」
そのまま、ふたりは月の水の中で、そっと抱きしめあった。
体中がしびれるような、柔らかい感覚。
濡れた肌と肌が触れ合い、重なり合って、
まるで世界がふたりきりになったような気がした。
「あなたとこうしていられるのが……わたし、いちばん幸せ」
「……僕もだよ、ユレア」
そう言った瞬間――
空に一筋の光が走った。
流れ星。それは、ほんの一瞬だったけれど、
ふたりの間に、何かを刻んだように思えた。
湖から上がったふたりは、小屋へ戻り、並んでタオルにくるまった。
ユレアは、僕の肩にもたれて、すぅすぅと寝息をたてている。
彼女の髪の香り。
体に残る、あのやわらかい感触。
そして、彼女の心のぬくもり。
すべてが、僕の胸をぎゅっと締めつけてくる。
「……もう、手放せないよ」
そう、そっと呟いた。
(つづく)
朝のぬくもりが残る枕に顔をうずめながら、僕はぽつりとつぶやいた。
昨夜、確かにユレアはここにいて、僕の腕の中にいた。
あのやわらかい感触、恥ずかしそうな声、そして――心の奥まで染みるような体温。
それは全部、夢じゃない。僕だけの大切な記憶。
だけど、あの子はいなくなっていた。
朝日が昇ると、まるで霧のように、ユレアの姿は消えてしまう。
「……今日は、会えるかな」
胸に残るあの香りを抱きしめるようにして、僕はまた湖へ向かった。
その夜、湖はいつもよりも静かだった。
月は、満ちきったように丸く、光が湖の水面を真っ白に染めていた。
「……来てくれたんだね」
その声だけで、体の力が抜けていく気がした。
僕はゆっくりと振り返った。
そこに、ユレアがいた。
だけど――その姿は、これまでと少し違っていた。
「ユレア……?」
「ふふ……どうかな?」
ユレアは、いつもの白いドレスではなく、
光をまとったような透明な布を羽織っていた。
その下に、柔らかいシルクのような衣が肌にぴったりと張りついていて、彼女の身体のラインがはっきりと浮かび上がっている。
特に――胸元は、まるで主張するように張りつめていて、ドレスの薄布がその丸みにそって形を変えていた。
太ももは大胆に露出していて、月の光を浴びてしっとりと艶めいていた。
「な、なんで……そんな格好……!?」
「……月が満ちたから。今日は、“本当のわたし”に近づく日なの」
そう言ってユレアが一歩近づくたびに、ドレスがふわりと揺れて、
足元のラインが浮かびあがる。
「でも……少し、恥ずかしいかも……」
彼女が手で胸元を押さえると、その豊かなふくらみがむにゅっと歪んだ。
思わず目をそらしそうになったけれど――無理だった。
「その……目、そらさないで。今日だけは、ちゃんと見てほしいの」
ユレアの瞳が、まっすぐ僕を見ていた。
逃げられない。そう思った。
「今日はね、ちょっとだけ……お願いがあるの」
「な、なに?」
「……この湖に、いっしょに入ってほしいの」
「えええっ!?」
「月のしずくを、ふたりで浴びると、絆が深くなるって言い伝えがあるの。だから、わたしと――入ってくれる?」
僕は、頷くしかなかった。
湖の水は、思ったよりあたたかかった。
ふたりで岸辺まで入り、足首ほどの深さまで進む。
ユレアの衣装は水を吸って肌に貼りつき、もうほとんど“まとっていない”状態になっていた。
「わっ……!」
彼女がバランスを崩し、僕の腕の中に倒れ込んできた。
「だ、大丈夫っ……て、うわああっ!?」
彼女の体が、全身ぴたっと僕にくっついている。
胸元が押しつけられ、濡れた布越しに形や弾力がはっきりわかる。
さらに、脚が絡まってしまって、僕の腰のあたりにユレアの太ももがぎゅっと挟まっている。
「ぅ……や、やだ……へんなとこ……当たって……」
「ち、ちがっ……これは事故っ……!!」
「も、もう……ちょっと、動かないで……あっ、そんな擦れたら……!」
ユレアが顔を真っ赤にして、僕の胸に顔をうずめてきた。
「ぅぅ……ご、ごめん……ほんとに、わざとじゃないからっ……!」
「……ふふ。知ってるよ」
「えっ?」
「……あなたが、ちゃんと恥ずかしがってくれてるの、うれしいの」
そう言って、彼女はそっと僕の背中に腕をまわした。
「もう少しだけ、このままでいてくれる……?」
「うん……もちろん」
そのまま、ふたりは月の水の中で、そっと抱きしめあった。
体中がしびれるような、柔らかい感覚。
濡れた肌と肌が触れ合い、重なり合って、
まるで世界がふたりきりになったような気がした。
「あなたとこうしていられるのが……わたし、いちばん幸せ」
「……僕もだよ、ユレア」
そう言った瞬間――
空に一筋の光が走った。
流れ星。それは、ほんの一瞬だったけれど、
ふたりの間に、何かを刻んだように思えた。
湖から上がったふたりは、小屋へ戻り、並んでタオルにくるまった。
ユレアは、僕の肩にもたれて、すぅすぅと寝息をたてている。
彼女の髪の香り。
体に残る、あのやわらかい感触。
そして、彼女の心のぬくもり。
すべてが、僕の胸をぎゅっと締めつけてくる。
「……もう、手放せないよ」
そう、そっと呟いた。
(つづく)
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