聖剣変化のチートスキル ~触れるもの全て聖剣に変える僕の勇者ライフ~

maisonEX

文字の大きさ
14 / 19
第1章

第14話「時止め=最強」

しおりを挟む
 ハルネの警告が耳に響く。逃げろと。しかし、俺の足は地面に釘付けになったままだった。目の前でニヤリと笑うルーク。その狂気の目を見つめながら、俺の中で決意が固まっていく。

「和奏、ハルネ」俺は静かに、しかし断固とした声で言った。「下がってくれ」

「え?でも...」和奏が不安そうに俺を見上げる。

「大丈夫だ」俺は彼女たちに微笑みかけた。「俺に任せてくれ」

 ハルネが俺の腕を掴んだ。「主様、無理です!あの方は...」

「わかってる」俺は優しくハルネの手を解いた。「でも、こんな危険な奴を見過ごすわけにはいかない。俺たちの世界を、守らなきゃいけないんだ」

 ルークが不敵に笑う。「ほう?お前が相手をしてくれるのか?面白え!さあ、かかってこいよ!」

 俺は深く息を吐き、左手の文様を見つめた。そうだ、この力を信じよう。

「聖剣変化」俺は呟いた。

 左手が輝き、その光が俺の腕時計を包み込む。次の瞬間、時計は光り輝く剣へと姿を変えた。その刀身には、複雑な歯車の模様が刻まれている。

 ルークが舌なめずりをした。「へえ、面白い剣だな。どんな力が...」

 その言葉は途中で途切れた。

 世界が、静止した。

 風の音が消え、雲の動きが止まる。ルークの口は半開きのまま、その表情は挑発的な笑みで固まっていた。

 俺は息を呑んだ。まさか、本当に時間を止められるとは。

 慎重に、俺はルークの周りを歩いた。彼の動きは完全に止まっている。指一本すら動かない。

「凄いな...」俺は思わず呟いた。

 しかし、時間は無限ではない。何かもっと強力な武器が必要だ。

 そこで、俺の目に入ったのは、先ほどルークに倒されたダークウィングの亡骸だった。

「生き物は聖剣にできない」俺は考えを巡らせた。「でも、これはもう...」

 躊躇いながらも、俺はダークウィングの遺体に手を触れた。

 まばゆい光が広がり、次の瞬間、俺の手には漆黒の翼を持つ巨大な剣が握られていた。その剣からは、尋常ではない力が溢れ出ている。

「これなら...!」

 俺は新たな聖剣を握りしめ、ルークに向き直った。彼はまだ時間停止の中で動きを止めたままだ。

 深く息を吐き、俺は剣を構えた。

「悪いな、ルーク」俺は呟いた。「でも、俺たちの世界は、お前には渡さない」

 全身の力を込めて、俺は剣をルークの腹部めがけて突き出した。

 その瞬間、時間が動き出した。

「...あるんだ...って、何!?」

 ルークの言葉が途切れたのと同時に、漆黒の剣が彼の腹を貫いた。

 衝撃波が走る。ルークの目が見開かれ、口から血が溢れ出す。

「ぐあっ...!」

 彼の体が、まるでスローモーションのように宙を舞う。そして、轟音と共に校舎の壁に叩きつけられた。

 壁が大きく陥没し、粉塵が舞い上がる。

「神城くん!」和奏の声が聞こえた。

 俺は息を切らせながら、ゆっくりと振り返る。和奏とハルネの顔には、驚きと安堵が混ざっていた。

「大丈夫か?」俺は尋ねた。

 二人は頷いたが、その目は俺の後ろ、ルークが叩きつけられた場所を見つめていた。

 俺も振り返る。粉塵が晴れてくると、そこにはルークの姿があった。彼は壁に埋まったまま、動かない。

「まさか...」ハルネが震える声で言った。「あの『大物喰い』ルークを...」

 俺は剣を構えたまま、慎重にルークに近づいた。

 彼の目は虚ろに開かれ、口からは血が滴り落ちている。その胸の動きはない。

「倒した...のか?」

 その言葉が空気中に漂う瞬間、突如として轟音が鳴り響いた。瓦礫が爆発的に吹き飛び、粉塵が渦を巻く。

「んなわけあるかよ!」

 ルークの声が響き渡る。粉塵が晴れると、そこには全身から異様なオーラを放つルークの姿があった。彼の腹部には大きな傷があるが、それを気にする様子はない。むしろ、その目は以前にも増して狂気に満ちていた。

「面白ぇ!マジで面白ぇぞ、お前!」ルークは獰猛な笑みを浮かべながら、ゆっくりと近づいてくる。「久しぶりに本気で殺したくなったぜ!」

 和奏が小さく悲鳴を上げ、ハルネが俺の袖を掴む。「主様、逃げましょう!もう...」

 しかし、俺は静かに二人の手を払いのけた。

「大丈夫だ」俺は冷静に言った。「もう、わかったからな」

 ルークが眉をひそめる。「あ?何がわかったって...」

 その言葉は、再び宙に浮いたまま止まった。

 世界が再び静止する。

 俺は深く息を吐いた。「さて、やるか」

 まず、周囲にあるありとあらゆるものを聖剣に変えていく。机、椅子、扉、窓ガラス、さらには床のタイルまで。次々と光に包まれ、様々な形状と色彩を持つ剣へと姿を変えていく。

「これで十分かな」

 俺は最初の剣を手に取り、動きを止められたルークに近づいた。

「悪いな、ルーク。でも、お前を生かしておくわけにはいかない」

 そう言って、俺は剣をルークの脳天に叩き込んだ。

 次の剣。また次の剣。

 何度も何度も、ありとあらゆる聖剣をルークの頭部に叩き込んでいく。時が止まっている今、彼には反応する術もない。

「これで...もう大丈夫だろう」

 最後に、俺はダークウィングの遺体から作った漆黒の剣を手に取った。

「さよなら、ルーク」

 剣を天に掲げると、その刃から濃密な闇のエネルギーが溢れ出す。それは次第に大きくなり、巨大な光線となってルークを包み込んだ。

 そして―

 時が動き出す。

「...んだよ!」

 ルークの言葉の続きが聞こえた瞬間、彼の体が宙に浮かび上がる。

「な...何だ...これ...は...」

 彼の声が遠ざかっていく。暗黒の光線に包まれたルークの体が、まるでロケットのように空へと飛んでいく。

 ゴォォォォン!

 轟音と共に、ルークの姿が遥か彼方へと消えていった。

 静寂が訪れる。

 俺は深く息を吐いた。全身から力が抜けていくのを感じる。

「神城くん...」和奏が震える声で呼びかけてきた。

 振り返ると、和奏とハルネが呆然とした表情で立っていた。

「大丈夫だ」俺は微笑んだ。「もう...終わったよ」

 ハルネが目を丸くして言った。「主様...一体何が...」

「時間を止める能力を使ったんだ」俺は説明した。「その間に、ありとあらゆるものを聖剣に変えて...ルークを倒した」

「でも...どうやって...」和奏が周囲を見回す。確かに、彼女たちの目には何も変わっていないように見えるはずだ。

「信じられないかもしれない」俺は言った。「でも、本当にそうしたんだ。時間の狭間で、何度も何度も...」

 俺の言葉に、二人は言葉を失ったようだった。

 しばらくの沈黙の後、ハルネが小さく呟いた。「まさか...主様が『大物喰い』ルークを...」

「うん」俺は頷いた。「でも、これで終わりじゃない。まだ、やるべきことがある」

 俺は空を見上げた。遥か彼方に、小さな光点が見える。おそらく、ルークだろう。

「あいつが言ってた、世界の危機」俺は静かに言った。「それを、何としても止めなきゃいけない」

 和奏が俺の隣に立ち、小さく頷いた。「うん。一緒に...頑張ろう」

 ハルネも、決意の表情で頷く。

 俺たちは、再び肩を寄せ合った。これが終わりではない。むしろ、本当の戦いはこれからだ。

 だが、今はこの勝利を噛みしめよう。そして、次の戦いに備えよう。

 俺たちは、ゆっくりと屋上を後にした。新たな冒険が、俺たちを待っている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。 「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。 だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに! サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...