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本編
エピローグ
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季節は冬を越し、まもなく春になろうとしている。
佑が木製の扉を開けた。
「いらっしゃい」
「マンマ、二人で」
「ごめんなさいね。今テーブルがいっぱいで、カウンターでもいいかしら」
「大丈夫ですよ。いいよな、屋島」
「はい。大丈夫です」
「悪いわね。今日はパンナコッタサービスするわ。食べてって」
「僕パンナコッタ大好きです。マンマありがとう!」
最近では、週末は決まって『泥棒かささぎ』に来るのが定番になってしまった。一応20時までに仕事が終わらなければ難しいのだが、年末商戦も何とかクリアしここまで互いに時間を作ることができている。
「何にしようかな」
佑がメニューを眺めていると屋島がこれからの予定を尋ねた。
「今日は未神さん家でいいですか?」
「ああ、そうしよう。近いし」
週末はどちらかの家で過ごすことも、年を越したあたりから定番化したことだ。
メニューから目を離さずに屋島に返事を返していた佑は、こっちを向けとばかりに屋島に肩をツンツンとつつかれた。
「なんだよ。お前、何頼むか決めたのか?」
「来る前から頼むものは決まってるので、お気になさらず」
そう言って、頬杖をつきながらニヤニヤと佑を眺める屋島は終始ご機嫌そうだ。
またメニューに目線を移した佑は、何を食べようかと悩み始める。
ふと耳元にふーっと、吐息を感じた。振り返ろうかと思ったが、耳元に添えられた屋島の手にさえぎられる。
コソっと、屋島が囁いた。
「今日は一緒にお風呂入りましょうね」
カウンター席には俺たちの他に誰もいない。テーブル席はここから離れているし、キッチンにいる店主も奥のコンロでフライパンを振っている。料理を運んでるマンマもテーブル席で談笑をしてるみたいだ。
瞬時に今の店内の状況を確認した佑は、屋島の頭を上から小突いた。
「コノヤロー」
「痛っ! 誰にも聞こえてないですよ」
「そういう問題じゃないだろ」
「早く食べて、早く帰りましょうね♡」
今の俺たちの状況を見て色々察してくれて構わない。
この甘酸っぱい感覚は未だに慣れない。が、恋をすると決めたのだ。少しずつでも慣れていかなければ……。
「そう、……だな」
ぶっきらぼうだが、そう答えた佑を見る屋島は「してやったり」と言わんばかりの、勝ち誇った顔をしてるのであった。
佑が木製の扉を開けた。
「いらっしゃい」
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「ごめんなさいね。今テーブルがいっぱいで、カウンターでもいいかしら」
「大丈夫ですよ。いいよな、屋島」
「はい。大丈夫です」
「悪いわね。今日はパンナコッタサービスするわ。食べてって」
「僕パンナコッタ大好きです。マンマありがとう!」
最近では、週末は決まって『泥棒かささぎ』に来るのが定番になってしまった。一応20時までに仕事が終わらなければ難しいのだが、年末商戦も何とかクリアしここまで互いに時間を作ることができている。
「何にしようかな」
佑がメニューを眺めていると屋島がこれからの予定を尋ねた。
「今日は未神さん家でいいですか?」
「ああ、そうしよう。近いし」
週末はどちらかの家で過ごすことも、年を越したあたりから定番化したことだ。
メニューから目を離さずに屋島に返事を返していた佑は、こっちを向けとばかりに屋島に肩をツンツンとつつかれた。
「なんだよ。お前、何頼むか決めたのか?」
「来る前から頼むものは決まってるので、お気になさらず」
そう言って、頬杖をつきながらニヤニヤと佑を眺める屋島は終始ご機嫌そうだ。
またメニューに目線を移した佑は、何を食べようかと悩み始める。
ふと耳元にふーっと、吐息を感じた。振り返ろうかと思ったが、耳元に添えられた屋島の手にさえぎられる。
コソっと、屋島が囁いた。
「今日は一緒にお風呂入りましょうね」
カウンター席には俺たちの他に誰もいない。テーブル席はここから離れているし、キッチンにいる店主も奥のコンロでフライパンを振っている。料理を運んでるマンマもテーブル席で談笑をしてるみたいだ。
瞬時に今の店内の状況を確認した佑は、屋島の頭を上から小突いた。
「コノヤロー」
「痛っ! 誰にも聞こえてないですよ」
「そういう問題じゃないだろ」
「早く食べて、早く帰りましょうね♡」
今の俺たちの状況を見て色々察してくれて構わない。
この甘酸っぱい感覚は未だに慣れない。が、恋をすると決めたのだ。少しずつでも慣れていかなければ……。
「そう、……だな」
ぶっきらぼうだが、そう答えた佑を見る屋島は「してやったり」と言わんばかりの、勝ち誇った顔をしてるのであった。
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