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第六章 上洛
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岐阜城に戻った織田信長が、足利義昭を奉戴し、上洛を開始したのは、九月七日だった。
するとこれまで反義昭勢力についていた、三好義継や松永久秀らは信長に寝返った。これにより反義昭勢力は急速にその力を失っていった。
十二日、信長率いる織田勢は、六角親子が籠る南近江観音寺山城を包囲し、それを攻め落とした。辛くも城から脱出ることが出来た六角親子は甲賀郡まで逃げ落ち、以降織田勢に対し小規模なゲリラ戦を仕掛けるに至った。
二十六日、信長は山科郷粟田口などを経て、東寺に進軍した。そして東福寺に布陣した。また義昭自身も東山の清水寺に入り、遂に悲願の上洛を果たした。
十月十八日、義昭は朝廷から将軍宣下を受けて、室町幕府の第十五代将軍に就任。加えて従四位下、参議、左近衛権中将にも昇叙、任官した。
本圀寺に入った義昭の許を信長が家来を伴い現れたのはそれから間もなくのことであった。
「御父信長殿……この御恩は決して忘れはせぬ」
義昭は信長を御父と呼んで厚遇する。
更に、
「我が足利家の家紋、桐紋と二引両を御貴殿に遣わす」
また、
「斯波氏の家督と管領職を、そうじゃ副将軍に御取立て致そう」
などと破格の待遇を与えようとした。
だが、信長はその全てを断り、
「堺、草津、大津を我が織田の領地として御認め頂きたく願い奉る」
と義昭に願い出た。
義昭にとっては意外だった。
「しかし御父信長殿は欲のない御仁よの」
残念そうに言う義昭に対し、信長はその心中でほくそ笑んでいたのだ。
彼は虚名よりも実利を重視する現実主義者だった。
信長は領国である美濃国に引き上げる際、丹羽長秀、村井貞勝、木下秀吉らを奉行人に任命し、彼らの下に数千名の兵を付け、京の政務を任せた。
永禄十二年(一五六九)一月五日。
信長が岐阜城に戻った隙を衝き、反対勢力である三好三人衆と斎藤龍興らが挙兵し、義昭の仮の住まいである六条本圀寺を襲った。本圀寺の変である。
明智光秀、細川藤賢らは義昭を護るため本圀寺にて籠城した。
知らせを受けた受けた信長は、その折、岐阜に赴いていた松永久秀らと供に、大雪の悪天候の中を僅か二日間で京へ駆け付けたのだ。
他にも、細川藤孝、摂津の池田勝正、河内の三好義継などが援軍として将軍足利義昭の許に駆け付けた。幕府軍と援軍の奮戦あって、三好三人衆らは義昭を討ち取ることを諦め退却した。
信長は義昭の身の安全を考慮して、急遽二条御所の造営を決定した。その陣頭指揮を信長自ら執るという力の入れようだった。
四月十四日に二条御所が完成すると、義昭はそこに移った。
信長は二条御所完成に先立つこと一月十四日に、殿中御掟九箇条を義昭に示し、これを認めさせた。信長の狙いとしては、将軍権力を制限するためだった。
二日後の十六日には更に七箇条を追加した。
義昭には信長に逆らう意思はなく、それを素直に認めたのだ。
二条御所の完成を待って岐阜城に戻ると信長は、この年の八月に伊勢侵攻を開始した。
するとこれまで反義昭勢力についていた、三好義継や松永久秀らは信長に寝返った。これにより反義昭勢力は急速にその力を失っていった。
十二日、信長率いる織田勢は、六角親子が籠る南近江観音寺山城を包囲し、それを攻め落とした。辛くも城から脱出ることが出来た六角親子は甲賀郡まで逃げ落ち、以降織田勢に対し小規模なゲリラ戦を仕掛けるに至った。
二十六日、信長は山科郷粟田口などを経て、東寺に進軍した。そして東福寺に布陣した。また義昭自身も東山の清水寺に入り、遂に悲願の上洛を果たした。
十月十八日、義昭は朝廷から将軍宣下を受けて、室町幕府の第十五代将軍に就任。加えて従四位下、参議、左近衛権中将にも昇叙、任官した。
本圀寺に入った義昭の許を信長が家来を伴い現れたのはそれから間もなくのことであった。
「御父信長殿……この御恩は決して忘れはせぬ」
義昭は信長を御父と呼んで厚遇する。
更に、
「我が足利家の家紋、桐紋と二引両を御貴殿に遣わす」
また、
「斯波氏の家督と管領職を、そうじゃ副将軍に御取立て致そう」
などと破格の待遇を与えようとした。
だが、信長はその全てを断り、
「堺、草津、大津を我が織田の領地として御認め頂きたく願い奉る」
と義昭に願い出た。
義昭にとっては意外だった。
「しかし御父信長殿は欲のない御仁よの」
残念そうに言う義昭に対し、信長はその心中でほくそ笑んでいたのだ。
彼は虚名よりも実利を重視する現実主義者だった。
信長は領国である美濃国に引き上げる際、丹羽長秀、村井貞勝、木下秀吉らを奉行人に任命し、彼らの下に数千名の兵を付け、京の政務を任せた。
永禄十二年(一五六九)一月五日。
信長が岐阜城に戻った隙を衝き、反対勢力である三好三人衆と斎藤龍興らが挙兵し、義昭の仮の住まいである六条本圀寺を襲った。本圀寺の変である。
明智光秀、細川藤賢らは義昭を護るため本圀寺にて籠城した。
知らせを受けた受けた信長は、その折、岐阜に赴いていた松永久秀らと供に、大雪の悪天候の中を僅か二日間で京へ駆け付けたのだ。
他にも、細川藤孝、摂津の池田勝正、河内の三好義継などが援軍として将軍足利義昭の許に駆け付けた。幕府軍と援軍の奮戦あって、三好三人衆らは義昭を討ち取ることを諦め退却した。
信長は義昭の身の安全を考慮して、急遽二条御所の造営を決定した。その陣頭指揮を信長自ら執るという力の入れようだった。
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