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Episode10
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裏路地の奥の方にある錆びた扉の前まで来て、ノックをせずに開ける。
「ルナお嬢様、危険です。ここは私に任せてここでお待ち下さい」
「いいえ、私も行きます。行かなければいけません」
理由は分からないが、そう感じた。
「では、私が先導致します」
「分かりました。お願いします」
ギィィと鈍い音をたてながら扉を開けると、錆びた匂いの中に微かに血の匂いがする。
「うっ…」
思わず口を手で覆う。
なるべく足音をたてないように中に入って行く。
少し歩くと、真っ暗でよく見えないがリビングのような部屋にたどり着いた。
「なんてこと…」
そこには生きているのか死んでいるのかも分からない子供達が横たわっていた。
「大丈夫ですか?私の声が聞こえますか?」
大きな声を出さないように耳元で尋ねるが、何も応答はなかった。
「まずいですね。レイ様、申し訳ありませんが、治癒魔法が使える方を連れてきて下さいませんか?ユーリ様、ここの子供達の事を頼みます。私はこの先に進みます」
「いけません。おひとりでは危険です。私が行きますので、ルナお嬢様はここでお待ち下さい」
「いいえ、私が行きます。ユーリ様はここの子供達をお願いします。もし誰かが来てしまったら私には守ってあげられません。自分の命を守るので精一杯なんです」
「ですが…」
「お願いしますね、ユーリ様」
私はユーリ様の手を優しく握る。
納得していない様な表情のユーリ様を置いて、私は先に進んだ。
リビングの奥にある部屋も真っ暗で何も見えない。
『だ…れか……』
先程から聞こえている声はだんだんと小さくなっている。
ここ…?
私は床に耳を傾け、声を頼りに歩き回る。
ギィィィ。
部屋の窓際まで来ると、床板が音を立てながら開いた。
中を覗くと、階段が下まで続いている。
失礼しまーす。
心の中でそう呟いて階段を降りていく。
嫌な空気だなぁ。何か出てきそうなんだけど。
階段を降りていくにつれ、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
下まで降りると、目の前に扉が一つ。
なるべく音を立てないように開けると、倒れている小さな女の子の下に魔法陣のようなものが描かれており、女の子の体からキラキラした綺麗な光のようなものが出てきそうになっている。
女の子はそれを細い腕で必死に掴んでいた。
一人で来たはいいけどどうしよう。
焦る気持ちを抑えて考えていると、ふと母の言葉が浮かんでくる。
『困った時は歌を歌いなさい。きっと良い事があるわ』
歌…とても久しぶりな感じがする。結局お茶会では歌えなかったからなぁ。
「ええい、なるようになるでしょ」
母の曲の中でも一番好きな歌を思い出して息を吸う。
「ルナお嬢様、危険です。ここは私に任せてここでお待ち下さい」
「いいえ、私も行きます。行かなければいけません」
理由は分からないが、そう感じた。
「では、私が先導致します」
「分かりました。お願いします」
ギィィと鈍い音をたてながら扉を開けると、錆びた匂いの中に微かに血の匂いがする。
「うっ…」
思わず口を手で覆う。
なるべく足音をたてないように中に入って行く。
少し歩くと、真っ暗でよく見えないがリビングのような部屋にたどり着いた。
「なんてこと…」
そこには生きているのか死んでいるのかも分からない子供達が横たわっていた。
「大丈夫ですか?私の声が聞こえますか?」
大きな声を出さないように耳元で尋ねるが、何も応答はなかった。
「まずいですね。レイ様、申し訳ありませんが、治癒魔法が使える方を連れてきて下さいませんか?ユーリ様、ここの子供達の事を頼みます。私はこの先に進みます」
「いけません。おひとりでは危険です。私が行きますので、ルナお嬢様はここでお待ち下さい」
「いいえ、私が行きます。ユーリ様はここの子供達をお願いします。もし誰かが来てしまったら私には守ってあげられません。自分の命を守るので精一杯なんです」
「ですが…」
「お願いしますね、ユーリ様」
私はユーリ様の手を優しく握る。
納得していない様な表情のユーリ様を置いて、私は先に進んだ。
リビングの奥にある部屋も真っ暗で何も見えない。
『だ…れか……』
先程から聞こえている声はだんだんと小さくなっている。
ここ…?
私は床に耳を傾け、声を頼りに歩き回る。
ギィィィ。
部屋の窓際まで来ると、床板が音を立てながら開いた。
中を覗くと、階段が下まで続いている。
失礼しまーす。
心の中でそう呟いて階段を降りていく。
嫌な空気だなぁ。何か出てきそうなんだけど。
階段を降りていくにつれ、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
下まで降りると、目の前に扉が一つ。
なるべく音を立てないように開けると、倒れている小さな女の子の下に魔法陣のようなものが描かれており、女の子の体からキラキラした綺麗な光のようなものが出てきそうになっている。
女の子はそれを細い腕で必死に掴んでいた。
一人で来たはいいけどどうしよう。
焦る気持ちを抑えて考えていると、ふと母の言葉が浮かんでくる。
『困った時は歌を歌いなさい。きっと良い事があるわ』
歌…とても久しぶりな感じがする。結局お茶会では歌えなかったからなぁ。
「ええい、なるようになるでしょ」
母の曲の中でも一番好きな歌を思い出して息を吸う。
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