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Episode15
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あれから3日後、ヘルック様の呼び出しで食堂に来ていた。
「失礼致します」
部屋の中に入ると、中心にある長い机に椅子が6脚。
その1番奥の1脚にヘルック様、右奥の1脚に蒼髪の美女が1人座っていた。
「ルナお嬢様、どうぞお座り下さい」
「はい」
「ユーリとレイも座りなさい」
「はい」
なるべくお嬢様っぽく椅子に座る。
「体調が回復してすぐのお呼び出し申し訳ありません」
「いいえ、こちらこそ面倒をおかけし、申し訳ありません。部屋まで用意して頂き、ありがとうございます」
「それは当たり前の事です。お気になさらないで下さい」
「ありがとうございます」
「それで、今日お呼びしたのは話があったからなのですが、その前に私の妻を紹介させて下さい」
そう言って蒼髪の美女を見る。
やっぱり奥さんだったのか。めっちゃ美人!羨ましい!
「妻のメイリーンです」
ヘルック様が言うと、メイリーン様は頭を下げる。
「ルナと申します。宜しくお願い致します」
ニコッと笑ったメイリーン様は面影が少し母に似ていた。
「では、早速ですが本題に入っても宜しいでしょうか?」
「はい」
「ルナお嬢様も一度会われたと思いますが、医者のヴェンの話によると、ルナお嬢様が助けられたイフリータの少女はもう手の施しようがないほど酷い状態だったそうです。ですが、ルナお嬢様が部屋に入られてから全て完治していたそうで、とても驚いておりました」
「そうですね」
「ルナお嬢様も知っておられましたか」
「はい。ですが、私は何もしていませんし、よく分からないのです。イフリータには再生能力があるのではないですか?」
「その可能性は考えました。しかし、イフリータの生態について今は殆ど知られていません。なので今、ヴェンに調べてもらっています」
「そうですか。宜しければ、生態について分かった事があれば私にも教えて頂けませんか?」
「もちろんです。イフリータの少女を助けられたのはルナお嬢様ですし、ルナお嬢様に心を開いたからこそ命が救われたとも考えられます」
「そうだと嬉しいです」
「その可能性はありますね。イフリータは心の綺麗な者にしか見えず、心もあまり開かないと聞いた事があります」
ユーリ様が私を見て言う。
「そんな、私は……」
「部屋に入る事が出来たのはルナお嬢様だけです。それは間違いようのない事実ですよ」
「ですが、私には見ている事しか出来ませんでした…」
「ルナお嬢様、この世には能力を持つ者が沢山いますが、本当に他人を思いやれる者は限りなく少ないのですよ。ルナお嬢様のような方はとても重要で必要な存在なのです」
「…ありがとうございます」
優しい言葉をかけてくれる人がいるのはとても嬉しくて、とても有難い事だ。でも……
王宮にいる時に聞いた。私には能力が何もないのだと。だから王に守られ、誰かを犠牲にして生きていく事しか出来ない。転生してもただの人間だった。何も出来ない無力な人間だった。
転生したら何かしらの力が貰えて、誰かを犠牲にして生きる事もなくて、誰かを笑顔にできる。幸せにしてあげる力が持てる。そう期待していた。
でも……駄目だった。そんな事望んではいけなかった。無償で何かを得ようとするなんて…だから罰が当たったのだ。私には結局何もなかった。ならせめて、迷惑をかけないように王妃を回避して、ここを離れよう。ちゃんと恩返しもして、それから誰にも知られないように。
「失礼致します」
部屋の中に入ると、中心にある長い机に椅子が6脚。
その1番奥の1脚にヘルック様、右奥の1脚に蒼髪の美女が1人座っていた。
「ルナお嬢様、どうぞお座り下さい」
「はい」
「ユーリとレイも座りなさい」
「はい」
なるべくお嬢様っぽく椅子に座る。
「体調が回復してすぐのお呼び出し申し訳ありません」
「いいえ、こちらこそ面倒をおかけし、申し訳ありません。部屋まで用意して頂き、ありがとうございます」
「それは当たり前の事です。お気になさらないで下さい」
「ありがとうございます」
「それで、今日お呼びしたのは話があったからなのですが、その前に私の妻を紹介させて下さい」
そう言って蒼髪の美女を見る。
やっぱり奥さんだったのか。めっちゃ美人!羨ましい!
「妻のメイリーンです」
ヘルック様が言うと、メイリーン様は頭を下げる。
「ルナと申します。宜しくお願い致します」
ニコッと笑ったメイリーン様は面影が少し母に似ていた。
「では、早速ですが本題に入っても宜しいでしょうか?」
「はい」
「ルナお嬢様も一度会われたと思いますが、医者のヴェンの話によると、ルナお嬢様が助けられたイフリータの少女はもう手の施しようがないほど酷い状態だったそうです。ですが、ルナお嬢様が部屋に入られてから全て完治していたそうで、とても驚いておりました」
「そうですね」
「ルナお嬢様も知っておられましたか」
「はい。ですが、私は何もしていませんし、よく分からないのです。イフリータには再生能力があるのではないですか?」
「その可能性は考えました。しかし、イフリータの生態について今は殆ど知られていません。なので今、ヴェンに調べてもらっています」
「そうですか。宜しければ、生態について分かった事があれば私にも教えて頂けませんか?」
「もちろんです。イフリータの少女を助けられたのはルナお嬢様ですし、ルナお嬢様に心を開いたからこそ命が救われたとも考えられます」
「そうだと嬉しいです」
「その可能性はありますね。イフリータは心の綺麗な者にしか見えず、心もあまり開かないと聞いた事があります」
ユーリ様が私を見て言う。
「そんな、私は……」
「部屋に入る事が出来たのはルナお嬢様だけです。それは間違いようのない事実ですよ」
「ですが、私には見ている事しか出来ませんでした…」
「ルナお嬢様、この世には能力を持つ者が沢山いますが、本当に他人を思いやれる者は限りなく少ないのですよ。ルナお嬢様のような方はとても重要で必要な存在なのです」
「…ありがとうございます」
優しい言葉をかけてくれる人がいるのはとても嬉しくて、とても有難い事だ。でも……
王宮にいる時に聞いた。私には能力が何もないのだと。だから王に守られ、誰かを犠牲にして生きていく事しか出来ない。転生してもただの人間だった。何も出来ない無力な人間だった。
転生したら何かしらの力が貰えて、誰かを犠牲にして生きる事もなくて、誰かを笑顔にできる。幸せにしてあげる力が持てる。そう期待していた。
でも……駄目だった。そんな事望んではいけなかった。無償で何かを得ようとするなんて…だから罰が当たったのだ。私には結局何もなかった。ならせめて、迷惑をかけないように王妃を回避して、ここを離れよう。ちゃんと恩返しもして、それから誰にも知られないように。
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