最有力王妃候補に転生しましたが、何がなんでも回避しようと思います

翠華

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Episode17

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「………」

聞きたい事は沢山あったが、それよりもただ見とれてしまった。

「どうした?」

「はい!?」

はっと我に返ると、コアの顔が目の前にあった。

「変か?」

「いいえ!とても可愛らしいです!」

「そう。ありがとう」

言葉遣いも何だか大人びて聞こえる。

「ですが、どうして姿がこんなに変わったのですか?髪も伸びて色も違いますし、背も少し伸びましたか?何より、健康的な体になってますし」

「そう。名前貰うとその者と心が繋がってこうなる。姿は名前をくれた者に似る。そして契約出来るようになる」

「契約ですか?」

「そう。と言っても、主従契約じゃない。私達イフリータは何人たりとも主従しない」

「では、どういった契約なのですか?」

「唯一無二の存在になる」

「?」

意味は分かっても中身がよく分からなかった。

「イフリータは基本的に名前を欲しいと思う事はない。でも、本当に欲しいと思う者が現れた時、心が繋がる。お互いに心で会話出来るようになり、言わなくてもして欲しい事や考えている事が分かるようになる。そして、その者が心から信頼する者にしか私の姿は見えなくなる」

「そうなのですか…ですが、本当に私で宜しかったのですか?」

「私がそうしたかった。自信を持って欲しい」

「……嬉しいです」

「じゃあ契約しよう」

「どうすれば良いのですか?」

「目を閉じて」

コアは私の額に自分の額をくっつける。

『ルナ』

呼ばれた名前が頭の中で響く。

『…コア』

思考が停止した中、当たり前のようにコアの名前を呼んだ。

一瞬体が光に包まれ、コアと一体化したような、2人で1つの心を共有しているような不思議な感覚を覚えた。

「?」

目を開けて体中を確認してみたが、全く変化はない。

変な感じ。でも、とても温かな気持ちだ。

「見て」

髪を掻き上げ、コアが額を見せてくる。額には、先程まではなかった4つのハートがくっついた四葉のクローバーのようなマークがあった。

「この印は命が1つになった証。ルナの額にも同じマークがある」

言われて思わず自分の額を触る。

「そのマークは私とルナにしか見えない」

「何だか…とても不思議な気持ちです」

「命が1つになった」

「どういう事ですか?」

「私が死んだらルナも死んで、ルナが死んだら私も死ぬ。このマークには、4つの意味がある。1つは"命"、1つは"体"、1つは"能力"、1つは"知識"。その全てが共有される」

「それは、コアにとって都合の悪い事もあるのではないですか?」

「ない。1度信頼した者に隠す事はない。ただ、ルナも私に隠し事は出来ない」

「最初から隠し事は出来ていませんでしたけどね」

思わず笑いが出てしまう。

「そう。出来ない。これからは1つも隠せない。悲しい事も辛い事も2人で分け合う」

「…そうですね。ありがとうございます」

暖かな風が吹き、庭園の花が穏やかに揺れる。
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