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第一章(前半) まだ知らない光
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大学のキャンパスは、朝のうちはまだ静かだ。
正門を抜けると、芝生の上に細い影がいくつも伸びている。
風が通り抜けて、ポスターの端がかすかに揺れた。
教室に入ると、もう何人かが席に着いていた。
ノートパソコンを開いている子、
イヤホンをしたままうつむいている子。
紬は教室の隅、いつもの席に腰を下ろす。
誰かと話すでもなく、
ただノートを広げてペンを手に取る。
けれど、ページの白さがやけにまぶしくて、
少し目をそらした。
――今日も、ちゃんと笑えるかな。
胸の奥に浮かんだその言葉を、
自分でそっと打ち消す。
そのとき、背後から明るい声が飛んできた。
「つむぎー!おはよ!」
振り返ると、瑠衣が手を振っていた。
長い髪を低い位置でまとめて、
小さなピアスが光を受けて揺れている。
彼女が笑うたびに、周囲の空気が少し明るくなる。
男女問わず誰もが一度は目で追ってしまうような、
そんな自然な華やかさがあった。
「おはよう、瑠衣。」
紬が微笑むと、彼女は隣の席にどさりと荷物を置いた。
「ねえ、今日さ、駅前のカフェ寄ってかない?
新しい限定パフェ、SNSでめっちゃ流れてきてさ。」
瑠衣はスマホを見せながら楽しそうに言う。
その横顔を見て、紬は思わず笑ってしまった。
「いいね。疲れた頭に糖分補給。」
「でしょ?ほら、紬も行こ。
どうせ帰っても課題やる気でないでしょ?」
「……バレてる。」
二人の笑い声が、午前の光に溶けていく。
外では風が少し強くなり、
木の葉がちらりと窓辺をかすめた。
正門を抜けると、芝生の上に細い影がいくつも伸びている。
風が通り抜けて、ポスターの端がかすかに揺れた。
教室に入ると、もう何人かが席に着いていた。
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紬は教室の隅、いつもの席に腰を下ろす。
誰かと話すでもなく、
ただノートを広げてペンを手に取る。
けれど、ページの白さがやけにまぶしくて、
少し目をそらした。
――今日も、ちゃんと笑えるかな。
胸の奥に浮かんだその言葉を、
自分でそっと打ち消す。
そのとき、背後から明るい声が飛んできた。
「つむぎー!おはよ!」
振り返ると、瑠衣が手を振っていた。
長い髪を低い位置でまとめて、
小さなピアスが光を受けて揺れている。
彼女が笑うたびに、周囲の空気が少し明るくなる。
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そんな自然な華やかさがあった。
「おはよう、瑠衣。」
紬が微笑むと、彼女は隣の席にどさりと荷物を置いた。
「ねえ、今日さ、駅前のカフェ寄ってかない?
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瑠衣はスマホを見せながら楽しそうに言う。
その横顔を見て、紬は思わず笑ってしまった。
「いいね。疲れた頭に糖分補給。」
「でしょ?ほら、紬も行こ。
どうせ帰っても課題やる気でないでしょ?」
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外では風が少し強くなり、
木の葉がちらりと窓辺をかすめた。
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