猫かぶりのライオン

翠華

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売った喧嘩?

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むさくるしい体育館に行くと、ステージ前に3年、その後ろに2年、1番後ろに1年が集まっていた。


3年と2年は綺麗に並んでいたが、1年はぐちゃぐちゃだ。クラスどころかどこに誰がいるのかも分からない。


「今日は待ちに待った親善試合です。試合に出る生徒も出ない生徒もしっかり見て下さい。きっと良い勉強になるでしょう。特に入学したての1年生は貴重な時間を無駄に過ごさないように頭を使って下さい」


多分校長であろう60代程のおじさんが1年の殺気を受けながらも淡々と話している。


校長してるだけあって貫禄が違うなぁ。


「では、これにて親善試合開会式を終了します。試合に出る生徒はステージ前に集まって下さい」


そう言うと、3年はステージ側に、2年は反対側に分かれ、真ん中を空ける。


1年は先輩なんて関係なく押しのけて試合に出る生徒や周りの先輩にガン飛ばしている。


妙だな。3年と2年が静か過ぎる。乱暴な言葉を使っている人はいないし、ガン飛ばしている人もいない。


力が全てのこの学校で何でこんなに大人しく指示に従って動いているんだ?


何か目的が?


それに、3年も2年も1年と比べて人数が少ない。ここら辺は不良も多いし入学希望者は毎年凄いって聞いたんだけどな。


何か秘密でもあるのかな?


一人であれこれ考えていると、


「てめぇ何してんだ」


「え?」


「ここは俺らの場所だ」


「邪魔だ」


「さっさとどけや」


いつの間にかタチの悪い同級生達に囲まれていた。


「おっとごめん」


早く出場者が集まるステージ前に行かないと。


そう思って先に進もうとするが、案の定どこも道が空いていない。


「おいおい、勝手に人の場所奪っといてごめんだけか?そりゃあねぇよなぁ?」


「………」


「怖くて声も出ませんってか?」


「こいつ本当に特待生かよ」


「人選ミスだろ」


「こりゃここの生徒も案外チョロいんじゃね?」


よく見ると、ゲラゲラと笑う同級生達の後ろで出席番号2番が嫌な笑みを浮かべていた。


さっき教室で見た時何かニヤニヤしてると思ったらこういう事か。


全校生徒の前で特待生の誰かをボコボコにして特待生の座を奪っちゃお☆って作戦を立てて、それにめでたく俺が選ばれましたと。


一番弱そうな俺を相手にするなんてなんて残酷な人達っ。


ぐすっ俺泣いちゃう。


うーん、でもなかなか手を出してこないって事は俺が何かしら提案するのを待ってるな。


どうしても引く気はないみたいだし、これ以上時間潰されるのもちょっとなぁ。俺には"願い事"がかかってるからな。


仕方ない。


「俺を集団リンチしても特待生の枠は得られませんよ。1対1なら検討の余地有りでしょうけど」
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