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一歩目
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放課後。
バン!
「こんちわー!」
勢いよく扉を開けて元気よく挨拶してみる。
「うっせぇんだよ!」
「今度でかい音出したら殺す!」
金髪に銀色のピアス、ヤンキーの中のヤンキーみたいな見た目のイケメンと赤髪の美少年が相変わらず敵意剥き出しで睨んでくる。
てか殺すって何!?いきなり物騒な事言ってきたよこの美少年!
この間は退学の危機に陥ってしまったせいであまり気にしてなかったが、こうやって改めて見てみると雰囲気あるな。
「ここは貴方のような人が頻繁に来ていい場所では無いんですが」
相変わらず敬語で話すこのイケメンは茶髪でメガネをかけていかにも勉強出来ますって感じ。そしてこのイケメンもウチが嫌いみたいだ。
「………」
そして体育祭で初めてあった時から一言も声を聞いたことが無い…というより、一度も顔を見てくれないガタイのいいノースリーブのイケメン。
「何か掴んだのか?」
リーダーであろう黒髪のイケメン。真顔から表情が一切変わらない。全身からは冷たいオーラ。
こりゃ近づけねぇわ。てか表情筋どうした!?
全員イケメンのくせに人が寄ってこないのは一線引いてるからだろう。この小屋の中にいる人間しか信用してないって感じ。世界狭いなー。もったいな。
しゃあない。この狭い小屋の世界に入ってしまったのも何かの縁だ。ウチがこの五人を外の世界に引きずり出してやろうじゃないか!
「山田花子!16歳!好きな食べ物は肉!嫌いな食べ物は野菜!特にピーマンが無理!勉強はまあまあだけど足には自信あります!」
張り詰めた空気の中、急に自己紹介を始めたウチを見て全員が引いていた。
「こ、こいつマジでイカれてやがる」
「ちょっとこの人やばいよ!早く追い出さないと!」
「そ、そうですね…」
「………」
「…くっ」
ちょっと表情が緩くなったくらいだが、黒髪イケメンが笑った。
「笑った!今ちょっと笑ったよね!?ね!?」
「…お前は何がしたい?」
「いや、今日ちょっと思ったんだけどさ、名前とか歳とか聞いてなかったなって」
「知ってどうする」
「え?別にどうもしないよ?ただ名前で呼びたいだけ!ウチも名前で呼んで欲しいし!」
「アホくさ」
「ほんと。何でそう言う意味無い事するかな」
「そういうのは他でして下さい。ここは仲良しごっこする場ではないので」
「うーん…ごめん。ウチさ、正直友達とか友達じゃない人に対しての接し方とかよく分かんないけど、調べて名前知ったりとかしたくないんだよね」
「だから知る必要ねぇって言ってんだろうが」
「いやぁ、情報を提供する相手の名前くらいは知っとかないと誰か分からない相手に情報なんて渡したくないし、それにさ、」
言葉を止めて挑発するように五人を見る。
「もしウチが色々調べて名前以外の他人に知られたくない事とか知っちゃったらまずいんじゃない?ウチに弱みなんて握られたくないでしょ?情報なんてどこから誰に漏れるか分からないんだし」
「脅しか?」
黒髪イケメンが言う。
ほんと何考えてんのか表情見ても分かんないな。てかかなり脅しみたいになっちゃったけど知られたくない事あるんだ。結構賭けだったんだけど。
「違うよー。ウチはそういう事したくないし、そんなんで知ったってそれこそ意味ないじゃん」
「意味?」
「そうだよ!ウチは君達に近づきたいだけだよ!」
その瞬間全員が驚いた顔をした。
今まで周りに距離を置かれてばかりで、近づこうとする人間はいなかったのだろう。自分達自身も距離を置いてるくらいだから。
バン!
「こんちわー!」
勢いよく扉を開けて元気よく挨拶してみる。
「うっせぇんだよ!」
「今度でかい音出したら殺す!」
金髪に銀色のピアス、ヤンキーの中のヤンキーみたいな見た目のイケメンと赤髪の美少年が相変わらず敵意剥き出しで睨んでくる。
てか殺すって何!?いきなり物騒な事言ってきたよこの美少年!
この間は退学の危機に陥ってしまったせいであまり気にしてなかったが、こうやって改めて見てみると雰囲気あるな。
「ここは貴方のような人が頻繁に来ていい場所では無いんですが」
相変わらず敬語で話すこのイケメンは茶髪でメガネをかけていかにも勉強出来ますって感じ。そしてこのイケメンもウチが嫌いみたいだ。
「………」
そして体育祭で初めてあった時から一言も声を聞いたことが無い…というより、一度も顔を見てくれないガタイのいいノースリーブのイケメン。
「何か掴んだのか?」
リーダーであろう黒髪のイケメン。真顔から表情が一切変わらない。全身からは冷たいオーラ。
こりゃ近づけねぇわ。てか表情筋どうした!?
全員イケメンのくせに人が寄ってこないのは一線引いてるからだろう。この小屋の中にいる人間しか信用してないって感じ。世界狭いなー。もったいな。
しゃあない。この狭い小屋の世界に入ってしまったのも何かの縁だ。ウチがこの五人を外の世界に引きずり出してやろうじゃないか!
「山田花子!16歳!好きな食べ物は肉!嫌いな食べ物は野菜!特にピーマンが無理!勉強はまあまあだけど足には自信あります!」
張り詰めた空気の中、急に自己紹介を始めたウチを見て全員が引いていた。
「こ、こいつマジでイカれてやがる」
「ちょっとこの人やばいよ!早く追い出さないと!」
「そ、そうですね…」
「………」
「…くっ」
ちょっと表情が緩くなったくらいだが、黒髪イケメンが笑った。
「笑った!今ちょっと笑ったよね!?ね!?」
「…お前は何がしたい?」
「いや、今日ちょっと思ったんだけどさ、名前とか歳とか聞いてなかったなって」
「知ってどうする」
「え?別にどうもしないよ?ただ名前で呼びたいだけ!ウチも名前で呼んで欲しいし!」
「アホくさ」
「ほんと。何でそう言う意味無い事するかな」
「そういうのは他でして下さい。ここは仲良しごっこする場ではないので」
「うーん…ごめん。ウチさ、正直友達とか友達じゃない人に対しての接し方とかよく分かんないけど、調べて名前知ったりとかしたくないんだよね」
「だから知る必要ねぇって言ってんだろうが」
「いやぁ、情報を提供する相手の名前くらいは知っとかないと誰か分からない相手に情報なんて渡したくないし、それにさ、」
言葉を止めて挑発するように五人を見る。
「もしウチが色々調べて名前以外の他人に知られたくない事とか知っちゃったらまずいんじゃない?ウチに弱みなんて握られたくないでしょ?情報なんてどこから誰に漏れるか分からないんだし」
「脅しか?」
黒髪イケメンが言う。
ほんと何考えてんのか表情見ても分かんないな。てかかなり脅しみたいになっちゃったけど知られたくない事あるんだ。結構賭けだったんだけど。
「違うよー。ウチはそういう事したくないし、そんなんで知ったってそれこそ意味ないじゃん」
「意味?」
「そうだよ!ウチは君達に近づきたいだけだよ!」
その瞬間全員が驚いた顔をした。
今まで周りに距離を置かれてばかりで、近づこうとする人間はいなかったのだろう。自分達自身も距離を置いてるくらいだから。
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