ヤクザ娘の生き方

翠華

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「おーい!さっち!まっち!ゆっち!かっち!とっち!」


走り寄ると、明らかに嫌な顔をされた。


「ちょっと、そんな嫌な顔しないでよー傷つくなぁ」


「…何の用だ?」


「見かけたからちょっと話したいなと思って!皆で何してたの?」


「特に何も」


そう言うと、背を向けて歩き始める。


「ちょ、ちょっと待って!」


とっちの腕を掴む。


「何だ」


「ちょっとだけ話そうよ!」


「話す事は無い」


「ちょっとだけ!ちょっとでいいから!ね?」


「しつこい」


掴んだ腕を放される。


「えー」


五人はまたウチを無視して歩き出した。


そっちが無視ならこっちはストーカーしてやる!


ウチは気づかれないように後をつける。


賑やかな商店街や路地裏など、一通り中桜区を歩き回り、気づけば日が暮れていた。


え!?てか一日中歩き回ってんですけど!ほんとに何してんの!?


五人は人通りの少ない道に入り、ひっそりと佇む建物の中に入ろうとする。


すると、道角に人影が三つ隠れているのが見えた。


あれは…五人を見てる?ん?何か手に持ってるような…あっ!


思わず飛び出して五人と人影の間に入る。


「っ!!」


その瞬間、頭と胸、右肩に激痛が走る。


「てめぇ!何してやがる!?」


「あ、れ…さっち…ど、した…の?」


頭から生ぬるいものが流れてくる。


「おい!大丈夫か!?」


「な、にが…」


「これで押さえてろ!」


さっちがハンカチで頭の痛い所を押さえてくれる。


「お…だ……」


さっちが何か言ってるけどあんまり聞こえない。


だんだん意識が遠くなり、すぐに目の前が真っ暗になる。


どこからか懐かしい声が聞こえてくる。


《花子の大好きな花子団子、たっくさん買って来たわよー!》


《やったぁ!おかぁさんだぁい好き!》


《お母さんの方が100倍花子の事大好きだよー!》


《あっはは!お母さんそんなにくっついたら苦しいよぉ!はははははっ》


《ふふっ、花子は可愛いなぁ》


「ふへへへへっ」


「この人頭大丈夫?」


「さっきのでおかしくなってしまったんでしょうね。全く、私達に着いてくるなんて何を考えてるんだか」


「ったく、世話かけさせやがって」


「………」


「………」


いつの間にか懐かしい声は消え、ウチを罵倒する声に変わった。でも前より棘はなく、優しさのある声だ。


「……はっ!」


飛び起きると、目の前にはとっち。右にさっちとまっち、左にゆっちとかっちがいた。


「ここどこ?」


「俺らの部屋だよ」


「部屋?」


「…ここは施設の中だ」


とっちが静かに言う。


「施設…もしかして、皆が住んでるっていう施設?」


「そうだ」


「俺らの部屋って事はこの部屋に五人で寝てるの?ちょっと狭くない?」


「別に」


「そう…」


「お前、何でついてきた?」


「…え!?あ、えーっと…何してんのかなぁって気になっちゃったらつい!はははははは!」


「てかさぁ、何で出てきたわけ?」


「え?何でって…何で?」


「いや、こっちが聞いてるんだけど」


まっちが呆れたように見てくる。


「そんな目で見ないでよ!危ないと思ったら体が動いたんだよ!しょうがないじゃん!」


「馬鹿な奴」


「何だと!それを言うなら皆だって馬鹿じゃん!」


「あ!?俺らのどこが馬鹿だってんだよ!」


「だって、気づいてたくせに全く避ける気無かったじゃん!当たる気満々だったじゃん!馬鹿!」


「うっせぇよ!そんな事関係ねぇだろ!」


「またそうやって関係ない関係ないって!いつまでウチと距離置くつもり?ウチはそうやって距離置く皆も皆を傷つける大人や子供も嫌いだよ!そんな関係大っ嫌いだよ!」


「てめぇは俺らに近づいて何がしたいんだ?」


「名前呼んで欲しい!普通に話して欲しい!話しかけて欲しい!仲良くしたいし、仲良くして欲しい!」


「…変な奴」


「変でもいいよ!ほんとにそれだけだし!他は何も無いよ!」


静まり返った空気の中、全員が驚いた顔でウチを見る。
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