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罰
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すっかり暗くなってしまった。これはまずい。
ガタン、キィィィィ。
「お帰りなさいませ、花子お嬢様」
門を開けると、鈴音さんがいつものように迎えてくれる。
ただ、明らかにほっとした表情だ。この寒い中、心配してずっと待っていてくれたのだろう。
包帯外しといて良かった。怪我したなんてバレたら鈴音さん冬休み中つきっきりになるからなぁ。ただでさえ家の事全部してくれてて忙しいのに。
「ただいま鈴音。心配かけてしまってすみません」
両手で鈴音さんの手を握る。
やっぱり冷たい。
「ありがとう」
心からお礼を言う。
「良いのです。それより、飛春様がお待ちです」
「…そう。ありがとう」
一度深呼吸をして歩き出す。
部屋の前に辿り着くと、張り詰めた空気が肌に突き刺さる。
「花子です」
「入れ」
「失礼します」
障子を開けると、そこにはいつも通り右に蓮と翠、左に遥人と彰人が座り、目の前に桜組七代目がいる。
冷や汗をかきながら着流し姿の七代目の前に正座する。
「ただいま帰りました」
「…花子」
「はい」
「門限は覚えてるな?」
「はい。21時です」
「何で門限があるか分かるな?」
「桜組であり、七代目の娘である私は他の組や不良達の動きが盛んになる21時以降、狙われる可能性が高くなるからです」
「そうだ。それで、今は何時だ?」
「22時40分です」
「自分が何をしたか分かってるな?」
「はい」
門限は仕事がない以上、桜組の全員が守らなければならない規則だ。それを破った場合、罰を受けなければならない。そしてその罰は七代目が決める。
「よし。お前はクリスマスの宴会で鈴音の手伝いをするな。俺達に近づくのも禁止だ。その日は一日組員と行動を共にしろ」
「っ!!」
なんて酷い罰だ。七代目はウチが組員と一緒に居たくない理由を一番よく知ってるはずなのに。その上近づくななんて…最悪のクリスマスだ。
「いいな?」
「……はい…」
「それと…」
七代目が近づいて来る。
「…血の匂いがするな」
ドキッ。
「………」
怪我をしたのがバレてしまった。洗ったとはいえ、傷が開いたままなんだからそれだけじゃごまかせない。
「何をした?」
七代目がウチの右肩に手を伸ばす。
思わず少し後ずさってしまう。
「………」
嘘はつけない。ついてはいけない。でも、なんて言えば…
「服を脱いで怪我した所全て見せろ」
「………」
「どうした」
「……はい…分かりました…」
七代目の言葉を拒む事は許されない。
ポロシャツの上のボタンをいくつか外し、肩と胸上部が出るように下ろす。
露わになった右肩と左胸上部に大きな痣が出来ていた。
「その痣は何だ」
「………」
「何故何も言わない?」
「いえ、その…」
「俺に言えない事か」
「それは…」
「………」
「…あ、の……はぁっ…」
呼吸が荒くなる。
極度の緊張状態になると呼吸困難になってしまう。
「…ここまでだな」
「まっ、て…はぁっ、はぁ…下さ、い…」
「何も言うな。落ち着いて深呼吸しろ」
「うっ…はぁっ、ううっ…」
「まずいな」
「はぁっ、はぁ…は……」
「しっかりしろ」
バタン。
倒れたウチは、そのまま意識を手放した。
ガタン、キィィィィ。
「お帰りなさいませ、花子お嬢様」
門を開けると、鈴音さんがいつものように迎えてくれる。
ただ、明らかにほっとした表情だ。この寒い中、心配してずっと待っていてくれたのだろう。
包帯外しといて良かった。怪我したなんてバレたら鈴音さん冬休み中つきっきりになるからなぁ。ただでさえ家の事全部してくれてて忙しいのに。
「ただいま鈴音。心配かけてしまってすみません」
両手で鈴音さんの手を握る。
やっぱり冷たい。
「ありがとう」
心からお礼を言う。
「良いのです。それより、飛春様がお待ちです」
「…そう。ありがとう」
一度深呼吸をして歩き出す。
部屋の前に辿り着くと、張り詰めた空気が肌に突き刺さる。
「花子です」
「入れ」
「失礼します」
障子を開けると、そこにはいつも通り右に蓮と翠、左に遥人と彰人が座り、目の前に桜組七代目がいる。
冷や汗をかきながら着流し姿の七代目の前に正座する。
「ただいま帰りました」
「…花子」
「はい」
「門限は覚えてるな?」
「はい。21時です」
「何で門限があるか分かるな?」
「桜組であり、七代目の娘である私は他の組や不良達の動きが盛んになる21時以降、狙われる可能性が高くなるからです」
「そうだ。それで、今は何時だ?」
「22時40分です」
「自分が何をしたか分かってるな?」
「はい」
門限は仕事がない以上、桜組の全員が守らなければならない規則だ。それを破った場合、罰を受けなければならない。そしてその罰は七代目が決める。
「よし。お前はクリスマスの宴会で鈴音の手伝いをするな。俺達に近づくのも禁止だ。その日は一日組員と行動を共にしろ」
「っ!!」
なんて酷い罰だ。七代目はウチが組員と一緒に居たくない理由を一番よく知ってるはずなのに。その上近づくななんて…最悪のクリスマスだ。
「いいな?」
「……はい…」
「それと…」
七代目が近づいて来る。
「…血の匂いがするな」
ドキッ。
「………」
怪我をしたのがバレてしまった。洗ったとはいえ、傷が開いたままなんだからそれだけじゃごまかせない。
「何をした?」
七代目がウチの右肩に手を伸ばす。
思わず少し後ずさってしまう。
「………」
嘘はつけない。ついてはいけない。でも、なんて言えば…
「服を脱いで怪我した所全て見せろ」
「………」
「どうした」
「……はい…分かりました…」
七代目の言葉を拒む事は許されない。
ポロシャツの上のボタンをいくつか外し、肩と胸上部が出るように下ろす。
露わになった右肩と左胸上部に大きな痣が出来ていた。
「その痣は何だ」
「………」
「何故何も言わない?」
「いえ、その…」
「俺に言えない事か」
「それは…」
「………」
「…あ、の……はぁっ…」
呼吸が荒くなる。
極度の緊張状態になると呼吸困難になってしまう。
「…ここまでだな」
「まっ、て…はぁっ、はぁ…下さ、い…」
「何も言うな。落ち着いて深呼吸しろ」
「うっ…はぁっ、ううっ…」
「まずいな」
「はぁっ、はぁ…は……」
「しっかりしろ」
バタン。
倒れたウチは、そのまま意識を手放した。
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