ヤクザ娘の生き方

翠華

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買い物

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カランカラン。


中桜区で一番大きい(鈴音さんから聞いた)雑貨店に入る。


「雑貨店ですか」


「僕こういうとこ入るの初めてだなー」


「まっちも初めてなんだ!ウチもだよ!」


「入った事ないのによく来ようと思ったね」


「えへへっ」


「褒めてないんだけど」


「ったく、 何で俺がこんな主婦が入りそうな店に来なきゃいけねぇんだよ」


「いいじゃんいいじゃん!どうせまた来る事になるだろうし!」


「これからも買い物に付き合わせる気満々じゃねぇか」


「えへへっ」


「たまには買い物もいいな」


「お、おい叶真!?」


「僕も嫌いじゃないかな」


「私も別に買い物くらい構いませんよ」


「………うん」


「お前らどうしちまったんだよ!」


「まあまあ!さっちもきっと買い物の良さが分かるよ!」


広い店内をウロウロしながらあかりが喜びそうな物を探す。


「ねぇねぇ、女の子って何貰ったら嬉しいの?」


「知らねぇよ!てかお前女だろ」


「いやぁ、ウチそういうのはちょっと」


「ちょっと、じゃねぇよ!」


「化粧品とかいいんじゃないか?」


「お、とっち詳しいね!じゃあ化粧品コーナー行こう!」


「何でそんな事分かんだよ…」


「何となくだ」


気乗りしない皆を引き連れて化粧品コーナーに向かう。


男の子って、こういう女の子が来るようなとこあんまり来たくないのかな。ま、最後まで付き合ってもらうけど。


「ほぉ、色々あるなぁ」


「ちょっと、早く選んでよ。僕早くここから出たいんだけど」


「ごめんごめん。てかまだ来たばっかなんだけど!?」


「さっさとしろよ。メスザル」


「おい」


「んだよ」


「さっち、そんな事言うならあと一時間はここで選んでやるからな」


「あ!?ざけんなよ」


「ちょっと、喧嘩してる暇があるなら早く選んで下さい。私もこういう所は苦手です」


「あ、ごめん。ゆっち!すぐ選ぶから!」


とは言ったものの…どれにするかなぁ。女の子が喜ぶ物なんて分かんないからなぁ…。


悩んでいると、


「…これ」


なんとかっちが口紅を持って来た。


「お、かっちおすすめ?」


「…うん」


「ありがとう!じゃあこれ買ってくるから待ってて!」


「早くね?てか奏明…お前…女にプレゼントなんてした事あったのか!?」


「…ない」


「マジかよ」


会計でラッピングまでしてもらって店を出る。


「はぁ!良かった良かった!おかげで良いもの買えたよ!ありがとう皆!」


「ま、メスザルのお前にはプレゼントなんて選べねぇだろうからな」


「なんだと!ウチがメスザルならさっちはオスチンパンジーか!?あ!?」


「はぁ!?誰がチンパンジーだと!」


「やんのかコラ!」


「上等じゃねぇか!」


二人で睨み合っていると、


ぐぅぅぅ。


「…お腹空いた」


「そう言えば最近、まともにご飯食べてなかったよね」


「そうですね。考えないようにしていても体は正直で困ります」


「………」


「っち」


「…どうしたの?皆まともにご飯食べてないの?」


皆の顔が曇る。


聞いちゃ駄目なのかな。でも…


「ま、気にしてもしょうがねぇ」


「さっち…」


どうしよう。家でご飯食べさせてあげたいけどヤクザの娘だってバレる。そしたら皆も危険に巻き込まれてしまうかもしれない。


「うーん…皆ちょっと待ってて!」


皆から少し離れた所で電話をかける。


プルルルルル、プルルルルル、ガチャ。


「はい、一条でございます」


「あ、鈴音さん?」


「花子お嬢様。どうされましたか?」


「実は…かくかくしかじかで…」


「そうですか。その方達は大切なお友達なのですね?」


「うん!とっても大事な友達なんだ!それに、今日買い物にも付き合ってくれたし、どうにか出来ないかな?」


「そうですね。飛春様に相談して参りますので、少しお待ち下さい」


「うん。分かった」


それからしばらくして鈴音さんが戻って来る。


「飛春様は花子お嬢様が良ければ連れて来ても良いと仰っています」


「そっか」


父さんも相変わらずだな。ウチが良ければ良いって事は、ウチがどれだけ相手にさらけ出せているのか探ってるのかな。いや、こういう考え方のウチがひねくれてるのか。


前、久遠さんに言われたからな。相手を知りたい時はまず自分の弱い部分から見せなきゃいけないって。


別に弱い部分ってわけではないけど、知られて困るって点では弱い部分とも言えるのだろう。


「花子お嬢様?どうされました?」


「ううん。じゃあ今日皆を連れて行くから。鈴音さんの美味しい料理、楽しみにしてるよ。いつもより量多めに沢山作っといてね!」


「かしこまりました。腕によりをかけて作りますね。では失礼致します」


ウチもとっち達のこと少しだけ知ったからな。施設で暮らしてるとか、その程度だけど。これからもっと知りたいならウチの事ももっと知ってもらわなきゃね。それに、早いうちからとっち達には桜組の皆と仲良くなって貰いたい。今のうちに出来るだけ手助けしてあげたいから。


「ねぇ皆!これから時間ある?」


「あ?んだよ」


「何かあったんですか?」


「ううん。これからさ、ウチの家に来ない?」


「花子の家?」


「そうそう!とっちも来てみたいよね!?」


「いや、今日はもう遅いし、遠慮する」


「そう言わないでよ!今日買い物付き合ってくれたお礼に美味しい料理ご馳走するから!って言ってもウチが作るわけじゃないけど!」


「しかし…」


「…腹減った」


「そうだよね!かっち!素直で宜しい!じゃあ決定!」


「またそんな勝手に…」


「いいじゃん!まっちだってお腹空いてるでしょ!」


「そりゃそうだけどさ…」


「ま、いいんじゃねぇの?施設の奴らも俺らの事なんか気にしちゃいねぇよ。何時に帰ろうが一緒だろ」


「…そうだな。じゃあ有り難くご馳走になる」


「よっしゃあ!じゃあ皆でウチの家にレッツゴー!」


正直どういう反応されるか少し怖いが、何となく皆なら大丈夫だと思ってしまった。


暗くなり始めた空には、月が綺麗に輝いている。
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