ヤクザ娘の生き方

翠華

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本当の姿

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「あー、重いんだけどー」


「そんなに重くないと思うけど、まぁ頑張って!あともうちょっとだから」


「もうちょっとって屋敷までまだ先じゃん。いい加減な事言わないでよ」


買い物袋を二つ持ってまっちが仏頂面で言う。


「それよりさ、気づいてる?」


「まぁ、うん」


「ちょっと走るよ」


「いいけど、ウチ足だけは自信あるよ?大丈夫?」


「うるさいよ。僕だって足には自信あるんだ」


「ごめんごめん」


二人で顔を見合わせて全力で走る。


追いかけてきているのは桜組に敵対してる組員だろう。


今まで何度もそういう事はあったからな。おかげで足だけはめちゃくちゃ早くなったけど。


「ちょっ、どこ行くわけ!?そっち行き止まりだって!」


まっちの警告は無駄に終わってしまう。


「やっちまったぁぁぁぁ!」


目の前の壁に声を上げる。


「だから言ったじゃん!何やってんの!?馬鹿なの?」


「いや、マジでごめんしか言えない!」


「やっと追いついた。ほんと、すばしっこいガキだぜ」


「よぉ、桜組のお嬢様」


「俺らと一緒に来てもらうぜ」


「いや、ちょっとデートのお誘いはまた今度にして貰えると有難いです」


「君この状況で何言ってんの?マジで馬鹿なの?」


まっちは蔑んだ目でウチを見る。


「やめて!そんな目で見ないで!」


「大丈夫だって。ちょっと俺らと一緒に来てくれればいいから」


いやいやいや、一緒に行ったらウチの人生終わりだわ!確定だわ!


「ほんと、今日はツイてるのかツイてないのか分かんないなぁ」


まっちの雰囲気が変わる。


「まっち、何する気?」


「え?そんなの見てたら分かるよ」


やばい。父さんが言ってた"危ねぇ感じがする"って意味が分かった。


まっちは殺気で溢れている。明らかに今、いけない事をしようとしている。


頭の中で警報が鳴っている。"見てはいけない"と。でも、目が離せなかった。


「ぐぁぁぁ!」


「や、やめてくれ!」


「ぎゃあああ!」


これは現実なのか?まるで悪夢でも見ているかのようだった。


逃げ惑う組員達の逃げ道を完全に塞いでから一人、また一人と倒していく。


倒れている組員達の息はもう途絶えている。それが近づかなくても分かる程、酷い姿だ。


命乞いなんて耳に入ってこないかのように、無視するまっち。普段の可愛らしい顔からは想像も出来ないような恐ろしい姿。それなのに、今まで見た事が無いくらい楽しそうな表情でとても喜びに溢れていた。


「ふははははっ!楽しい!久しぶりに興奮してきちゃったよ!」


「こ、こいつよく見たらクインテットとかいうグループの一人じゃねぇか!」


「何!?まさか、あざみ組をたった五人で壊滅させたっていう奴の事か!?」


「そんな事はどうでもいいんだよ!こいつイカれてやがる!さっさと逃げねぇと全員やられちまうぞ!」


「くっ、はははははっ!僕から逃げられると思ってるの?全員、逃がさないよ?」


まっちはまるで遊び回る子供のようにはしゃいでいた。


その光景は誰にも見せられたものでは無い。特に、警察官に見つかったらまずいだろうな。


しばらくすると、人の声がしなくなった。本当に誰も逃げられなかった。皆、地面に倒れたまま、ピクリとも動かない。


「君には感謝してるよ。こんな人気のないところまで逃げて来てくれたんだから。おかげで誰にもバレずに楽しめたよ」


まっちは笑顔で言った。
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