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愛という縛り
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「それでは、失礼します」
「待て」
立ち上がろうとしたが引き止められる。
「命令だ。自分の命を最優先させろ」
「………」
「花子」
「……私は、目の前で母が死ぬのを見ました…また、家族が死ぬかもしれない状況で…見ていろと言うのですか……」
「そうだ」
「…どうして……」
「家族として話そう」
「…今は仕事の、組の人間としての話です」
「違う。俺は家族として話している」
「どうして!」
「お前を愛しているからだ」
「そんなの…理由にならない…」
「俺には十分な理由だ」
「………」
「花子、お前には生きて欲しい。ずっと生きて、幸せになって欲しい」
「…じゃあ、私の思いはどうなるの…」
「………」
「私の、家族に対する思いは無視するの…?」
「………」
「父さんや翠ちゃんや蓮やはるちゃんやあきちゃんや組の皆が命懸けで戦っている時に一人だけ無事で生きていたって何の意味もないじゃん…そんなの、死んだも同然だよ…」
「………」
「父さんの愛は私を生かすけど、私の愛は誰も救えないんだね…」
「………」
「そうだよね。愛があってもお腹は満たされないし、他人を救う事なんか出来るわけない…」
「………」
「勘違いしてたよ。愛があればなんだって出来るって。でも、そんなの世間知らずの戯言でしかない」
「花子」
「申し訳ありません。命令には従えません」
「俺の話を聞け」
「七代目の言いたい事は分かります。ですがこれだけは…絶対に頷けません」
「絶対、か」
「はい」
「…分かった。翠」
「はい」
「花子は事が終わるまでセルに入れる」
「…はい」
セル…仲間に罰を与える為の牢獄。
父さんは私をずっと閉じ込めておくつもりなのか。
「行け」
「…失礼します」
父さんの表情が見えない。今どんな気持ちなの?心配してる?怒ってる?
顔を見てるのに何も分からない。
周りは父さんの考えてる事が分からないと言う。気持ちが分からないと言う。
でも私には分かった。顔を見てればその内側にある気持ちが伝わってくる。
でも今は分からない。何も伝わってこない。
こんな事、今まであったかな……。
----セル----
地下の長い階段を降りると、そこには鉄格子がある。
ギィィィ…ガシャンっ。
錆びた鉄と土の匂い。
しばらく使われてなかったからな。
カチッ。
「事が終わるまでこちらでお待ち下さい。食事や必要な世話は鈴音に頼んでおきます」
「…はい」
「花子お嬢様…」
「何でしょう?」
「七代目の事は私が必ず守ります」
「…違います」
「え?」
「…私は誰にも死んで欲しくないんです。怪我さえも許せないんですよ」
「………」
「もし誰かが怪我でもして帰ってきたら…きっと私は私のままでいられない」
「…っ」
「だから、ちゃんと私が納得出来るように無事に帰って来て下さい」
翠は頭を下げて出て行った。
私がここから出られる日はくるのだろうか…父さんの気持ちが分からなくなってしまった今、それを確かめる事は出来なくなってしまった。
「待て」
立ち上がろうとしたが引き止められる。
「命令だ。自分の命を最優先させろ」
「………」
「花子」
「……私は、目の前で母が死ぬのを見ました…また、家族が死ぬかもしれない状況で…見ていろと言うのですか……」
「そうだ」
「…どうして……」
「家族として話そう」
「…今は仕事の、組の人間としての話です」
「違う。俺は家族として話している」
「どうして!」
「お前を愛しているからだ」
「そんなの…理由にならない…」
「俺には十分な理由だ」
「………」
「花子、お前には生きて欲しい。ずっと生きて、幸せになって欲しい」
「…じゃあ、私の思いはどうなるの…」
「………」
「私の、家族に対する思いは無視するの…?」
「………」
「父さんや翠ちゃんや蓮やはるちゃんやあきちゃんや組の皆が命懸けで戦っている時に一人だけ無事で生きていたって何の意味もないじゃん…そんなの、死んだも同然だよ…」
「………」
「父さんの愛は私を生かすけど、私の愛は誰も救えないんだね…」
「………」
「そうだよね。愛があってもお腹は満たされないし、他人を救う事なんか出来るわけない…」
「………」
「勘違いしてたよ。愛があればなんだって出来るって。でも、そんなの世間知らずの戯言でしかない」
「花子」
「申し訳ありません。命令には従えません」
「俺の話を聞け」
「七代目の言いたい事は分かります。ですがこれだけは…絶対に頷けません」
「絶対、か」
「はい」
「…分かった。翠」
「はい」
「花子は事が終わるまでセルに入れる」
「…はい」
セル…仲間に罰を与える為の牢獄。
父さんは私をずっと閉じ込めておくつもりなのか。
「行け」
「…失礼します」
父さんの表情が見えない。今どんな気持ちなの?心配してる?怒ってる?
顔を見てるのに何も分からない。
周りは父さんの考えてる事が分からないと言う。気持ちが分からないと言う。
でも私には分かった。顔を見てればその内側にある気持ちが伝わってくる。
でも今は分からない。何も伝わってこない。
こんな事、今まであったかな……。
----セル----
地下の長い階段を降りると、そこには鉄格子がある。
ギィィィ…ガシャンっ。
錆びた鉄と土の匂い。
しばらく使われてなかったからな。
カチッ。
「事が終わるまでこちらでお待ち下さい。食事や必要な世話は鈴音に頼んでおきます」
「…はい」
「花子お嬢様…」
「何でしょう?」
「七代目の事は私が必ず守ります」
「…違います」
「え?」
「…私は誰にも死んで欲しくないんです。怪我さえも許せないんですよ」
「………」
「もし誰かが怪我でもして帰ってきたら…きっと私は私のままでいられない」
「…っ」
「だから、ちゃんと私が納得出来るように無事に帰って来て下さい」
翠は頭を下げて出て行った。
私がここから出られる日はくるのだろうか…父さんの気持ちが分からなくなってしまった今、それを確かめる事は出来なくなってしまった。
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