ヤクザ娘の生き方

翠華

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指導(関城 真白視点)

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「おはようございます。叶真です」


「入れ」


早朝。


蓮さんの部屋に来た僕はこれから何をするのか、少しわくわくしていた。


「失礼します」


「座れ」


「はい」


叶真を先頭に全員正座する。


「今日からお前達には俺の指示に従ってもらう」


「はい」


「その前に、お前達は今の自分に足りないものが何か分かるか?」


「足りないもの、ですか?」


「そうだ」


「………」


「分からねぇよな」


「…はい」


叶真は小さく返事をした。


「お前らの今までの事を考えればすぐに答えを出すのは無理だ。しっかり考えろ。あまり時間はない」


「はい」


「全員出かける支度をして門の前に集合だ」


「え?」


「自分の身以外は必要ない。行け」


「はい」


何も分からないまま、言われた通りに門の前に行く。


「一体何だってんだ?」


「何かあるのは確かでしょうけど」


「とりあえずついて行くしかない」


「………うん」


皆不安なんだ。


「僕達どこに連れてかれるんだろうね」


「お前は楽しそうだな」


咲也に言われて僕は思わず笑みを浮かべる。


「まぁそうだね。七代目のボディガードと一緒に行く場所なんて限られてるじゃん?」


「だが七代目は俺達を養子として拾ってくれた。桜組の一員になったとはいえ、わざわざ危険な事をさせるとは思えない」


「それは分からないよ?だって僕達に足りないものは"実戦"でしょ?」


「七代目や花子は俺達にそんな事望んでない」


「…分かってるよ。でも僕は……」


それ以上はここにいる全員が望んでいない言葉だ。


叶真も咲也も優も奏明も良い奴だ。人の事を自分の事の様に悲しんだり喜んだり出来る。


でも僕は違う。


他人の事なんか上辺でしか見ない。興味が無いんだ。


僕の興味は一つだけ。


他人の恐怖、憎悪、怒り。そしてそれを自分に対して向けられた時、自分にはそれを"解決"する権利がある。


僕はそう思ってる。


それを"解決"出来た時……


僕は最高に幸せを感じる。


「全員揃ってるな」


蓮さんは僕達一人一人に目を向ける。


「はい」


「車に乗れ」


そう言って門の前に止まっている長い車を指さす。


----3時間後----


「ついた」


車から降りると、目の前には森があった。


ここに敵がいるのか?


「ここは桜組が所有している森だ」


「え?」


「ただの森じゃない。中には色んなトラップや仕掛けがある」


「……?」


「今からお前達にはここで鬼ごっこをしてもらう」


「「「鬼ごっこ??」」」


全員の目が丸くなっている。


それはそうだろ。


意味が分からない。とんだ期待外れだ。


思わず肩を落とす。


「その為に今日は組から二人、鬼役として来てもらった」


気配はしなかったのに、いつの間にかジャージを着た強面の男と30代位の男が立っていた。


「久遠だ。宜しく」


「波田野だ。手加減はしねぇよ」


「今から二時間、こいつら二人から逃げてもらう」


「………」


「ルールは、五人一緒に行動する事。捕まらない限りは一緒に行動しろ。トラップや仕掛けに引っかかっても捕まらなければセーフだ。鬼二人は捕まえて倉庫に連れて行くか、水鉄砲を当てれば勝ち。但し、倉庫に入る前に助けられればセーフだ。森の中にある物は何でも使っていい。一人でも逃げ切れれば勝ちだ。質問は?」


「何の為ですか?」


「やればわかる」


叶真が投げつけた疑問に正確な答えはなかった。


本当に訳が分からないんだけど。ここまで来て皆で遊ぼうってわけじゃないよね?もしかして実践練習のつもり?


「何か言いたそうだな」


蓮さんは僕を見る。 


「………」


「まぁいい。10分時間をやる。先に森に入って作戦を立てるなり、隠れるなり好きにしろ。但し、全員が捕まるか水鉄砲に当たった場合は罰を受けてもらう。以上だ。始め」


疑問や不安、不満。それぞれの思いが交わる中で始まった鬼ごっこは、大変なんてもんじゃなかった。
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