ヤクザ娘の生き方

翠華

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それから(世視点)

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「今のお前らに何を言っても無駄だろうが、中央区に黒根が戻ってきた。クロユリの刺青を入れ、クロユリ団の幹部だった男だ。お前らもよく知ってるだろ。クロユリ団は"あの日"お前らが壊滅させた。調べたが、生き残りは黒根だけだ」


何も頭には入っていないだろう三人を見ながら、それでも話を続ける。


「これから黒根の居場所を突き止める。その後、花子次第で俺は動く」


「…………」


少しだけ見るに耐えなくなった七代目から目を逸らし、横を見ると見覚えのある娘がいた。


「ああ、お前らは知らないのか。花子に出来た初めての友人というのがあそこで横になっている娘だ。廃校でお前らが薬を飲ませて記憶を消した娘。だが、今回の件で少しは思い出したか?」


「何、だと……?」


「それは花子が目覚めたら自分で話すんだな。花子は知らない。誘拐された事も忘れてる」


そう言って今度は後ろで立ち尽くしている五人を見る。


「お前達は俺達夜叉を探していたな。何か用か?」


「…俺達は……」


「どうした?」


「…お礼が、言いたかったんだ……」


リーダーであろう男子が言う。


「お前達も黒根の被害者か」


「黒根……?」


「ああ。奴は自分の実験の為に子供を利用している。金が必要な親、ごろつき、黒薔薇組、色んな奴に多額の金を渡して子供を得ている。お前達もそうだったんだろ。夜叉に助けられ、夜叉に入りたいと思った、そうだな?」


少し気まずそうに頷く男子。


「まぁ、夜叉がしている事を知って入りたいと思わないお前達の方が正しい。今夜叉として動いてる奴は俺にとっては大切で全てだが、世間からしてみれば犯罪者と同じだ」


「そんな事…思ってない……」


「別に気にしない。それより、この男の息子はお前だったな」


五人の中で唯一、ずっと男に視線を送っていた男子が俺を見る。


「どうする?この男より他の男達からの方が情報が聞き出せそうだし、選択させてやる。この男を殺したいか?無理なら夜叉で回収する。どうしたい?」


「…俺は……」


「無理するな。お前には荷が重いだろう。人を殺すのは簡単な事じゃないらしいからな」


ちらっと七代目を見る。


「……俺が…殺ります」


「出来るのか?」


「今やらなくてはいけない…ような気がするので」


そう言って演壇に来る男子。


男子に銃を手渡す。


両手で持った銃をゆっくりと男の頭に向ける。


カタカタカタ…


初めて持った命を奪う武器に対してか、今からやろうとしている事に対してか、手が震えて銃の照準が定まらない。


男は息子に絶望の目を向け、言葉も出ない様子だ。


「どうした?撃たないのか?」


「………っ」


引き金を引こうとしたが無理だったのか、銃を下ろす。


「やめるか?」


「はい……俺には、無理でした…」


「それでいい」


俺は男子から銃を取る。


「お前達は家に帰れ。今からする事を見る必要は無い」


「ですが…」


「最期は俺が見ている。この男は俺が殺る。お前達は七代目達を連れて行け。家に着いたら警察と救急車に連絡するんだ。いいな?」


「一度だけ…一度だけでも、夜叉に会えないか……?」


リーダーであろう男子が言う。


「だめだ。夜叉は顔を知られる訳にはいかない。お前達の気持ちは伝えてやる。早く行け」


「そう、か。ありがとう」


動揺しているくせに律儀な奴らだ。


五人は演壇にいる七代目達を連れて外に出て行く。


その後ろ姿を見ながら、これから変わっていくであろう桜組の未来を想像してみる。


そして黙ったまま絶望の目をした男に銃を向ける。


「はぁ…やっとか」


溜め息混じりに引き金を引く。


バンっ


静かになった体育館に不気味に響く音。


事切れた男の目に何かが映る事はもう無い。
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