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謝罪
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ドクンドクンドクン……
心臓が痛い。
扉の前に立ち、深呼吸をする。
叶真達が引きこもったままの翠、蓮、遥人、彰人そして鈴音さんを何とか父さんの部屋に連れて来てくれた。
ウチはあれから3日間部屋に籠って考え続けた。
会いたい気持ち、謝りたいという気持ち、感謝の気持ち、その全てが一時の思い込みじゃない事を確認したかったんだ。
よかった。叶真達のおかげで本当に心から変われた。
あとは、ウチ次第だ。
「失礼します」
その瞬間、扉の中から緊張が伝わってくる。
震える手で何とか扉を開ける。
ズキンっ
ああ……ウチは、なんて事を……
父さんも、翠も蓮も遥人も彰人も、鈴音さんも、全員が視線を落としたまま、誰もこっちを見ようとしない。いや、見られない、のか……
ウチはゆっくりと膝をつき、両手を前に置いて頭を床につける。
「…今まで私のせいで皆の幸せを奪ってしまって、本当に申し訳ありませんでした」
静かな時間が余計に苦しい。
今まで自分が皆にしてきた事を考えると頭を上げることは出来ない。
皆の顔を見られない。
「………っ」
許して貰えないのは仕方ない。でも、でもせめて誰か、誰か怒って。怒鳴って。殴ってもいい。お願い、誰か…何も言われない事の方が辛い……
体中から冷や汗が出てくる。
それでも、姿勢は崩さない。
どんなに辛くても、これはウチがしてきた事の結果だ。
「……花子、何故…謝る?」
こんなに動揺した父さんの声は初めて聞く。
「…ウチは、今まで自分の為に皆の幸せを、幸せになれる時間を奪って、皆をずっと苦しめ続けてしまった。ずっと、ウチの幸せを願ってくれていたのに、それに気づけなかった…本当に、ごめんなさい…っ」
ポタポタポタ…
涙が溢れてきてしまう。
泣く資格なんてない。泣きやめ!泣きやめ!
強く唇を噛み締め、涙を堪えようとしても駄目だ。涙が止まらない。
「それは、違う」
父さんが押し殺した声で否定してくれる。
でもウチは頭を下げたまま首を振った。
「俺は、花子の大切な時間を自分の都合で奪い、全て無駄にしてしまった…」
「違う、違うよ!それはウチの幸せの為だって、気づいたんだ。でも、ウチは違う。自分の為にだけ時間を使ってきた…皆の事なんか少しも考えた事…なかった…」
さらに強く唇を噛もうとしたが、伸びてきた大きな手がそれを阻む。
「…と、父さん……」
やっと見た父さんの顔は、今まで見た事もない辛そうな顔だった。
「…血が出てる」
ウチの唇に懐から出したハンカチを当ててくれる。
「…ウチのせいで皆……」
翠、蓮、遥人、彰人、鈴音さん、父さんの顔を順番に見る。
ガンっ
「ごめんなさい…ごめんなさいっ」
床に頭を思いっきり叩きつけて謝り続ける。
何度謝罪しても、もう過ぎてしまった事なのだ。そう分かっている。だからこそ、謝罪する度に絶望が大きく膨らんでいく。
心臓が痛い。
扉の前に立ち、深呼吸をする。
叶真達が引きこもったままの翠、蓮、遥人、彰人そして鈴音さんを何とか父さんの部屋に連れて来てくれた。
ウチはあれから3日間部屋に籠って考え続けた。
会いたい気持ち、謝りたいという気持ち、感謝の気持ち、その全てが一時の思い込みじゃない事を確認したかったんだ。
よかった。叶真達のおかげで本当に心から変われた。
あとは、ウチ次第だ。
「失礼します」
その瞬間、扉の中から緊張が伝わってくる。
震える手で何とか扉を開ける。
ズキンっ
ああ……ウチは、なんて事を……
父さんも、翠も蓮も遥人も彰人も、鈴音さんも、全員が視線を落としたまま、誰もこっちを見ようとしない。いや、見られない、のか……
ウチはゆっくりと膝をつき、両手を前に置いて頭を床につける。
「…今まで私のせいで皆の幸せを奪ってしまって、本当に申し訳ありませんでした」
静かな時間が余計に苦しい。
今まで自分が皆にしてきた事を考えると頭を上げることは出来ない。
皆の顔を見られない。
「………っ」
許して貰えないのは仕方ない。でも、でもせめて誰か、誰か怒って。怒鳴って。殴ってもいい。お願い、誰か…何も言われない事の方が辛い……
体中から冷や汗が出てくる。
それでも、姿勢は崩さない。
どんなに辛くても、これはウチがしてきた事の結果だ。
「……花子、何故…謝る?」
こんなに動揺した父さんの声は初めて聞く。
「…ウチは、今まで自分の為に皆の幸せを、幸せになれる時間を奪って、皆をずっと苦しめ続けてしまった。ずっと、ウチの幸せを願ってくれていたのに、それに気づけなかった…本当に、ごめんなさい…っ」
ポタポタポタ…
涙が溢れてきてしまう。
泣く資格なんてない。泣きやめ!泣きやめ!
強く唇を噛み締め、涙を堪えようとしても駄目だ。涙が止まらない。
「それは、違う」
父さんが押し殺した声で否定してくれる。
でもウチは頭を下げたまま首を振った。
「俺は、花子の大切な時間を自分の都合で奪い、全て無駄にしてしまった…」
「違う、違うよ!それはウチの幸せの為だって、気づいたんだ。でも、ウチは違う。自分の為にだけ時間を使ってきた…皆の事なんか少しも考えた事…なかった…」
さらに強く唇を噛もうとしたが、伸びてきた大きな手がそれを阻む。
「…と、父さん……」
やっと見た父さんの顔は、今まで見た事もない辛そうな顔だった。
「…血が出てる」
ウチの唇に懐から出したハンカチを当ててくれる。
「…ウチのせいで皆……」
翠、蓮、遥人、彰人、鈴音さん、父さんの顔を順番に見る。
ガンっ
「ごめんなさい…ごめんなさいっ」
床に頭を思いっきり叩きつけて謝り続ける。
何度謝罪しても、もう過ぎてしまった事なのだ。そう分かっている。だからこそ、謝罪する度に絶望が大きく膨らんでいく。
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