すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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食事を終え、沢山食べた事に満足した俺はレジの前に立っていれば御手洗いに行ってた海斗はやって来るなり焦っていた

「 俺が払います 」

「 えーと、 」

『 割り勘で 』

「 うぅ、颯さん!! 」 

俺に払わせて~なんて情けない海斗が可笑しくなり、会計の金額見てから大体半分より少な目を財布から出せば見上げた

『 それじゃ、御言葉に甘えてご馳走さまです 』

人の前だから裏声で告げれば、渋々と言ったように残りの金額を出し呟く

「 どういたしまして....俺、まともに仕事してるのにな 」

『 関係無いさ。割り勘って大事だよ 』

外へと出て背伸びをする俺におつりを財布にいれポケットの中に突っ込む海斗は首を傾げた

『 何でも半分。此れから悲しいことも楽しいことも半分ずつにすれば平気だろ? 』

「 !!そうですね! 」

『( 本質はかわんねぇな.... )』

やっぱり素直に納得する可愛い奴だなと思って、小さく笑ってからふっと自分の唇に気付き店へと戻る

『 悪い、俺も御手洗い行ってくる 』

「 どうぞ、此処で待ってますね 」

すまないと告げてから、店に戻り御手洗いを借りることを御願いし
流石に男子も女子も入れないため障害者用のトイレを借り
ポケットからポーチを出す

『 陽がメイク直せって言ってたからな.... 』

口紅を塗り同じ色のグロスを塗り、艶がありぷるんとさせれば自分でも気持ち悪いと思いながら溜め息を吐く

ポーチの中に入ってる口臭予防の飴を口にいれ噛み砕いてからトイレを出て海斗の元にいく

『 あれ? 』

外で待ってると言ってた筈だが?と傾げた俺は不意に感じた気配に降り向く前に海斗はガバッと抱き付いてきた

『 うわっ!? 』

「 驚いた?なぁ、驚いた? 」

ぎゅっと抱き締められた事に驚くというより下手に心臓止まるかと思ったと見上げれば、海斗はじっと俺の方を見てきた

『 心臓止まるかと....ンッ!? 』

「 ン...... 」

抱き締められたまま唇が重なり、深く重なったままもう一度口を離し角度を変え口付けは落とされる

『 かい、と.... 』 

唇が離れやっとまともに呼吸できると息を吐く俺に、彼はもう一度抱き締め肩口へと顔を埋める

「 ....ホテル、行きませんか....? 」

その言葉に俺は驚くも分かった為に否定は出来なかった

『 ....いいよ 』

彼はもう高校生じゃない

何処に行こうが入ろうが俺も気にする必要は無いんだからと返事をすれば、彼は顔をあげ大きく息を吸った

「 はー。よし、連れていきます 」

『 其処まで気合い入れるか? 』

「 ....慣れてないんで 」

何処かムスッとした海斗に可笑しくなり笑みを返し、歩き出せば彼は俺の手を取り歩き進めていく

ホテルは此処からさほど離れてない、場所であり其処までは何故か気恥ずかしいほどに無言だった

ラブホテルに見えないビルの各部屋としてある、その一室を選び入れば
キングベットのある綺麗な場所だった

「 あの、仕事終わりなのでシャワー浴びますね.... 」

『 どうぞ 』

コートを脱いでいれば手を差し出す彼にコートを渡せば、2人分のコートを衣紋掛けにかけ先に海斗は風呂へと向かった

俺はその間に部屋のエアコンのリモコンを弄り、適温にしてからソファーに座り

端末を取り出せばデートだと言ってるのに黒澤君から仕事の連絡が入ってることに眉は寄る

『 書類の件って明日いえ、明日!朝イチにホテルに呼ぶぞ.... 』

マジで其処まで仕事熱心なら呼んでやろうかと思ったが、風呂場から見えるシャワーの音を聞けばそんな事も出来るわけもない

寧ろ、ヤった後に俺はきっと黒澤君に茶化されたら冷静に慣れないと思う

気持ちは若いが、もうオッサンだと言う事は自覚はある

ソファーの上で膝を抱えて呟く

『 ....若くねぇな 』

目尻のシワとか其なりに見えてきた為に32歳の頃に比べて若々しさが余り感じられないことに申し訳なくなる

相手はまだ若い25歳の青年

これから結婚して子供だって出来る歳なのに俺でいいのかと改めて覚えば胸は痛む

『 ....俺がもっと若ければな 』

せめて先に死ぬなんてへまはしたくないからもっと若くして出逢いたかったと思う
けれど今はもうそれは遅くて....受け入れるしかない

「 上がりました....ってどうかしましたか!? 」

海斗が上がったと髪を拭きながらやって来れば俺は膝を抱えていた姿勢のまま目線だけを向けた

『 ....ヤりたくねぇ、なって.... 』

「 急にどうしたんですか? 」

此処まで来たのに、今更色々考えてるとヤるのが申し訳無くて目線を外した

風呂上がりのコイツは見間違える程、

色っぽく格好いい



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