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しおりを挟む兄が....実の父親?
けれどこのファイルにあった俺の紙には父親の部分に10499646と8桁の数字があり
陽妃の方にも彼の父親と言う颯さんが呼ばれていた10110103の数字があった
理解が出来ないと頭を悩ませる俺はラジオから聞こえる二人を呼ぶ声の彼等が、もうこれ以上聞こえないようスイッチを切った
それでも、兄と颯さんの声は届く事を見れば全体的に送る配線を止めたんだと思う
「 兄が....父で、俺は試験管ベイビー......そんな事って.... 」
有り得るのかと片足を抱え頭に手を置く
けれど、現在の日本は人口増加し働かない者や社会不適合者が増えてるのは事実だ
一世代前の年寄りが働き、若者は街に溢れ、遊び、両親となる親達は自由を求めていた
此が日本が犯した過ちなら、其を整えようとするのは納得はするが其こそやり方が汚すぎる
両親のいない子供を教育し、颯さんや兄みたいな人に殺しを依頼しては優秀な子孫を残すために試験管ベイビーだけを育てるなんて....
言葉にならないほどの哀しみと怒りがある
それでも、兄と過ごした時間は紛れもなく兄であり両親がいるように慕っていたのなは変わらない
二人がどんなに手を血で汚しても二人が好きなのももう変わらない事実なんだ
「 !! 」
一発の銃声音がラジオの方から流れた
それは紛れもなく3人の内の誰かが撃ったのであり、直ぐに誰か分かった
" 悪い子ですね "
" リク!! "
" お父さんに逆らうなんて。優秀な子なので残念ですが、陽妃さんもいますし....死んでください "
颯さんが殺される
其だけは嫌だ
あの日、刺されるときに見た彼の姿はもう見たくないと車の扉を開け外へと出た
「 っ、身体が動かない.... 」
落ちるように前屈みに倒れ、動かない脚や身体に眠いからと言う理由じゃ無いのが分かる
これは両親が死んだ日に、盛られた睡眠薬と同じ感じがする
二人がこの車にいたのなら俺を起こさないようにしたのは推測は出来る
「 俺だけもう、なにも知らないのは嫌なんだ....! 」
子供だとか大人だとか、親だとか兄だとかそんなの全て捨て去るほどに俺は颯さんが好きだ
一緒に居たいと望んでくれたなら俺はそれでけでいい
脚に重い鎖がついた感覚に其を懸命に引っ張り、そして鎖は切れたように俺の身体は動き始めた
「 っ、何処だ....上か! 」
高層マンションの駐車場に思える
それなら彼等がいるのは一番上だと思うのはマンションから銃声音が聞こえてこなかった
近くの階なら聞こえても可笑しくないが
明らかに外から聞こえない銃声は此処から離れた上だと分かる
俺は両親が亡くなる前にバスの中で聞いていた
聞こえていた子供は少なかったからこそ、先生に挨拶して直ぐに走り出したんだ
家の方から聞こえた音、そしてそれが反響して回数が増えたように聞こえたのも....
「 また!っ.... 」
エレベーターのボタンを押し最上階のボタンを押せば中央に来た辺りでもう一度銃声が聞こえた事に焦る
俺が行ったところでどうするの事も出来ないけれどそれでも、颯さんの元に行きたかった
兄にも謝らないといけないことがある
兄は颯さんと比べられないほど優しくて強い俺の唯一の兄なんだと
エレベーターの扉が開き、走ってワンフロアしかない扉へと手をかければ閉まっていたかに見えたそれはガチャと音を立て開く
ロックの忘れかと思うが丁度よくて、中へと入れば目の前に通路へと蹴飛ばされた兄の姿に驚く
「 兄貴!! 」
「 がはっ、海君....?なんで、あの....っ、来たらダメ!! 」
血を吐いた兄の腹は赤く染まり、俺を見ては止めることに駆け寄ろうとすればもう一人出てきた
『 いっ、拓海....しっかりしろよ 』
「 むちゃ、な....っ 」
颯さん、その名を呼ぶ前に彼は銃口を前に向け兄を庇うように立ち
兄はそれを見て壁に手を付き立ち上がる
どちらも撃たれてるのだろ、服は赤くなってる事に息は詰まると同時に兄は俺の方へとヨロヨロと歩きながらやって来れば身体へと抱きついてきた
「 っ、兄貴.... 」
「 海君、話は後....逃げるよ 」
「 !! 」
その言葉と共に鳴り響く銃声に肩は揺れ、兄は俺の手を引き玄関へと戻る
颯さんは、そう告げる前に肩に手を付いた彼は俺達の方に走ってきた
『 逃げるなんて負け犬みたいじゃねぇか 』
「 地の利が悪すぎる....海君、あんな薬から目が覚めるとかどんだけ強いの 」
『 今はそんな話してる場合じゃないだろ。御前はさっさと止血しろ 』
「 車の中でね.... 」
死んだと言われた兄は平気そうに二人で笑って話してることについていけなかった
それでもあの人が追い掛けて来ないのを見ると此所では一度見逃したのだと二人は行っていた
あのバンの車に戻り、後ろの座席で俺は兄の服を捲れば横腹を貫通した皮膚を見て息が詰まる
「 兄.... 」
「 大丈夫、俺達って結構強いから....其処に簡単な救急箱ある....針と糸も.... 」
「 麻酔は?こんなの.... 」
『 やるんだ海斗、御前は医者だろ 』
麻酔無しで縫ったことなんてない
それも兄の身体を縫うなんて....
どれだけの痛みが襲うか分からないに、兄は汗を滲ませ口に布を咬み頷き
手摺へと掴んだ
俺は只、助けたいと言う意思で救急箱から手術用の針と糸を取り出し傷口へと刺した
痛みで顔を歪ませ動く身体を必死に動かないようさせる兄を見てると泣きそうになる
『 拓海、頑張れよ 』
片手で運転する颯さんの肩もまた血が滲んでるのを見れば悲しくなる
「 なんで、こんな無茶するんですか.... 」
腹部分を縫い終わり、後ろ側へと縫う俺に颯さんは微かに笑って答えた
『 好きな奴の為に、必死なのさ 』
俺が知らない間に怪我して、知らない間に先へと進む
立ち止まってるのは俺だけで彼等は次の道を行こうとする
「 海君.... 」
「 兄....貴.... 」
汗を流し俺の頬に触れる兄はこの状況なのに柔らかく笑った
「 リクと、一緒になることを....許すから、幸せになりな....でも、泣いても知らないから....リクって、自分勝手、だからさ.... 」
兄の優しさと俺を不安にさせないよう
告げた言葉はそっと途切れ、頬に当てていた手は落ちた
「 兄貴....?そんな!ま、っ、兄貴!! 」
まだ聞かなきゃならないことは沢山ある
其なのになんで、置いていくんだと涙は流れた
「 いや、マジで....ちょっと死にそ.... 」
「『 寝とけ!! 』」
コロッと起きて笑うなよ!
涙引っ込んだろ!くそ兄貴!!
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