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しおりを挟む『 俺はこの任務から抜ける。彼奴と一緒になるために....陽妃に普通の社会人として生活して欲しいために....貴方を殺す.... 』
俺達がどんな人間だろうと後戻りは出来ないし、今更その罪を償うことも出来ない
けれど、歩むことはことは出来る
海斗が6年間ひたすら待っていたことも
陽妃が6年間拓海を待ってることも
全て此れからの未来を共に歩きたいと望んだから俺は今、此処に居て銃口を向けていた
「 悪い子ですね 」
『 っ!! 』
強さの違いも、俺が本気で撃てるわけも無くて只鳴り響いた銃声の後に感じた痛みに銃をもった手で肩を押さえた
「 リク!! 」
焦って声を掛ける拓海は銃口を黒澤君へと向けるが向けられた本人は気にもせず
俺達を嘲笑っていた
「 お父さんに逆らうなんて。優秀な子なので残念ですが、陽妃さんもいまし....死んでください 」
陽妃は俺の血を受け継ぎ、俺より賢くそれにて優しい子だ
彼奴はもうすぐで日本を離れるのを勤めてる病院から外国に行くことを促されるだろ
けれどそれだと....
チラッと見た拓海の横顔を見れば、陽妃と離すことを望みたくはない
兄としても、父としても好きな人と一緒になることを望んでやりたいと思うものだろ
向けられた銃口に動く気力もなく、黒澤君が引き金を引いた瞬間驚いた
「 っ、なに....ぼさっと立ってるの.... 」
『 ぐっ、拓海....なんで 』
俺の前に出た拓海に驚くと同時に彼の横腹を貫通した銃弾がそのまま俺の横腹を撃ち抜き中に止まったのを感じる
「 俺だって、海君と君を一緒にしたい....でも、それだとこの人に逆らうことになる....君と違って、俺には、そんな勇気なかった.... 」
俺達が、この人によって決められたように惹かれあったとしてもそれでもホテルに行くの時の写メを見せたりして揺すりをかけてくるのは、全て認めていても認められない理由があったのだと思うと辛くなる
『 御前の....勇気の方が、立派だな。嫌われる勇気....俺にはなかった.... 』
人にドブネズミと蔑まれ、野良犬のようにゴミを漁っては死体処理をし嫌われるこいつが、笑って過ごせる程、俺は強くない
八方美人であり目の前のこの人の言うことを聞いて過ごしてるしか無かったんだ
「 犬同士の傷の舐め合いですか?素晴らしい愛情。でも、颯....貴方の噛み付く相手が誰かご存知ですか? 」
『 っ!! 』
「 まずは、お一人邪魔なんですよ 」
「 がはっ!! 」
後ろへと蹴り飛ばされた拓海はそのまま廊下の壁に当たれば声をあげた
海斗が来てしまった、あの薬を嗅いでも起きたその身体に驚くが一度使ってるなら耐性が出来ても可笑しくはない
「 颯....貴方は俺の" 実の子 "なんですよ?その親に向かって銃を向けますか? 」
『 ....親だと知っていた。だから慕っていた....貴方が傍にいた時間....本当に、幸せだった....こんな、事だと知らなかったら....ずっと、黒澤君を...... 』
「 好きだった。そう、俺も貴方を愛してましたよ。我が子以上に.... 」
向けられた銃口が、ゆっくりと引き金を引いた
鳴り響く銃声に目を見開くも顔の横を通り過ぎ態と外したんだと思った時には彼は静かに答えた
" 貴方を殺させないで "
どんなに悪人でも、どんなに血も涙もない人間だと言われても我が子を殺したくないのは誰も同じだ
我が子を守る為に必死になって庇った親も見てきた
だからこそ、あの人にも血と涙が流れていたのだと知った
「 お兄ちゃん!?拓海さん!!てか!海斗さんもなんで!!? 」
『 陽妃、ごめん....話は後だ 』
俺と陽妃が暮らしてる家へと行き、海斗に支えられた拓海を直ぐに寝かせてやりたくて部屋へと入った
全てのカーテンと鍵を閉め、そしてリビングのソファーに横にさせた拓海の呼吸が落ち着けば、俺は冷蔵庫から酒を取り出し痛みを誤魔化すよう飲む
「 颯さん!怪我をしてるでしょ?俺に手当てさせて下さい! 」
目の前に立った海斗の真剣な言葉に、俺は小さく笑いその頭に触れ撫でた
『 拓海を見てやれ。陽妃、すまないがシャワー浴びてくるから拓海の血を拭いて四人分の飯の準備頼んだぞ 』
「 えっ、私がって....お兄ちゃん!!....もう、分かったよ 」
陽妃がいるなら大丈夫だろ
そう思う俺は何か言いたそうな海斗を放置し脱衣場へと行き
服を脱ぎ捨て、鏡を見てからハサミとタオルを持ちシャワールームに入り
口に布を咥え深く息を吐く
『 ....よし 』
吹き出すような汗と傷み、それでももう誰かを心配かけたくはなかった
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