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- 実那斗 視点 -
早朝から、体力がマイナスを超え、氷点下ぐらい減った状態での勤務は、正直辛いものがあった。
秘書が話した内容の9.8割は覚えてない程に、
仕事中の記憶が全く無い。
疲れ切って、帰ったら即寝ると考えていたのに…。
「 おかえりなさい!あの、早速なんですけど…お散歩行きたいです! 」
何故か、俺の自宅の方である玄関内で待っていた大型犬より少し大きめの犬は、昨日より綺麗になった毛並みをし、仕切りなしに尻尾を振っていた。
足元に置いている安物のリードに片手を当て、
キラキラの期待を込めた眼差しを向けて来る。
「 今日は、ちゃんと美容院とエステにも行ったんですよ 」
「 そうなのか… 」
「 はい!毎日頂いていたお小遣いから行かせて貰いました! 」
確かに、犬とは言えど…見違える程に綺麗だが…。
つまり、俺が言ったから御褒美をくれと言う訳か…。
「 はぁー…わかった。行くか 」
「 ふぁっ!!ありがとうございます!! 」
疲れているが、彼女の期待を裏切る訳にはいかない。
此処で、どれだけの時間…俺の帰りを待っていたかは知らないが、楽しみを奪う気はない。
例え、6kmをフルマラソンの選手と同じ速度で爆走しようとも……。
「 はぁー……はぁー………もう、歳かも…知れねぇ… 」
「 何を言ってるんですか。私より若いでしょう 」
「 いや…息を切らしてない奴に言われたくないな… 」
何故…こんなにも差があるんだ?
仕事で動き回る執事とビル内を歩いたり、車移動が多い俺とでは、運動量が根本的に違うのか?
どっちにしろ…。
この二人の体力と一緒にしてはならない事は、察しがつく。
19時までの散歩を終えると、そこからは麗菜は、自宅で風呂に入り、俺も自分の家の方でシャワーやら簡単な夕食を終え、持ち帰った仕事を行う。
深夜1時過ぎ頃に、仕事を終えて眠りに付くと、
翌朝の4時半には、昨日と同じ様に犬の姿になっている麗菜が飛び込んで、起こしてきた。
「 ワンッ!! 」
「 ……わか、た……。起きる…から、退いてくれ… 」
凄く眠いし、脚は気怠くて動きたくないが…。
ダイエットすると宣言した以上、弱音を吐く訳にはいかない。
寝起き10分も経過せず、自宅を出ては麗菜に引っ張られるように猛ダッシュの散歩を行った。
其れが3日、4日と続いてみろ。
体力が付く前に、走りながら寝るという謎のスキルを習得した。
「 流石に…今日は、休ませてもらおう… 」
5日目。
げんなりとしたまま帰宅をし、玄関に麗菜と悪魔に見えてきた執事が居ない事を期待して、ドアを開けた。
「 ただいま… 」
「 おかえりなさい。実那斗さん 」
「 おかえりなさいませ 」
散歩なんて、もう行きたくねぇと言ってやりたいのに、健気に尻尾を振り、立ち耳がヒコーキ耳になるぐらい後ろに耳を下げて、俺の帰りを待っている彼女を見ると、そんな言葉は言えなくなった。
「 嗚呼…… 」
「 ふぁっ…… 」
只、今日は…。
ずっと我慢していた事が、疲れによって限界で、理性が外れていた。
もう少し…彼女が、俺に慣れてから…だと思っていたが、日々出迎えてくれる姿が可愛らしく、我慢など出来はしなかった。
頭が理解するより先に、その首元に抱き着いて鼻先を、頭の方へと寄せ匂いを嗅いでいた。
「 スゥーーー……良い匂いがするな……。ただいま… 」
「 え、えっと、はい……おかえりなさい… 」
甘いスィーツと花の香りは、彼女の使うシャンプーの匂いだろうか…。
どんな匂いだろうと、只今はだけは何度も嗅いでは、柔らかい毛に頬を寄せていた。
そんな俺に、彼女は硬直し、湊は呟く。
「 今日の散歩は止めましょうか…。実那斗様…疲れ過ぎて、頭のネジ飛んでますので 」
「 で、ですよね…… 」
「 あー……癒やされる…… 」
健気に出迎えてくれる子っていいな…。
犬にしろ、女性にしろ…。
いや、麗菜にされるからいいのだろう。
そして何故か、その日の散歩は無くなった。
「 そう言えば、やっと発注していた首輪とリードが届いたんだ。見てくれるか? 」
「 はい! 」
思ったより随分と時間掛かったが、やっと出来たオーダーメイドをした首輪とリードの箱を持ってくると、犬の姿をしている彼女の横に腰を下ろし、その2つの箱を開ける。
「 わぁ……え……… 」
「 カーフスキンだ。子牛の革で出来た素材で、飾りにはピンクダイヤモンドや複数の宝石を使用している。ネームタグには俺の名前と電話番号、そして麗菜の名前が刻まれてるが、中にGPS機能も備わってるから、迷子防止のタグでもある…それに… 」
「 待ってください… 」
「 なんだ? 」
「 犬の首輪にしては…高価過ぎませんか? 」
内側にはクッション素材があり、毛の摩擦を減した首輪だが、どこに不満があるのかと疑問になったが、彼女の問い掛けにそんな事かと鼻で笑い、市販の首輪を外しては、着け直した。
「 俺が、中途半端な贈り物を渡すわけ無いだろ。よく似合ってるぞ 」
「 ……あ、ありがとうございます 」
耳を下げて、複雑そうに喜んでる彼女を眺めては、俺は渡したいものも渡せた事でスイッチが切れて、カーペットに突っ伏し、気を失う様に寝落ちしていた。
「 実那斗さん!!? 」
「 お疲れでしたね…。少し無茶をさせ過ぎました 」
本当は、その首輪をした彼女と直ぐに散歩に出たかったのだが、その体力は持ち合わせてはいなかった。
徐々に、体力をつけようと思う…。
「 やばい……いつの間にか寝て……、は……? 」
寝落ちから目を覚ました後自分の寝室だとは察しがついたが、起きやがったタイミングで、右手に当たった感触に気づき、視線を落とすと硬直してしまった。
「 スゥー…… 」
そこには何故か…。
全裸で、こっちを向いて寝ている麗菜の姿があり、頭を抱えた。
「 犬の姿になると、全裸だもんな…。あの姿で寝たのか…そして、人に…。てか……湊、連れて帰れ…… 」
こうなる事が分かってるなら、連れて帰ってくれ…。
御前の大事な妹だろう……。
余り見ない様にしようと目線を逸らしていたが、麗菜は、軽く寝返りを打ち仰向けになった。
「 ……これでも未婚の男なんだけどな… 」
溜息混じりに息を吐き、整った顔立ちで眠っている彼女の白い頬にそっと触れ、犬の首に合わせて着けているボカっとした首輪に指を滑らせ、そっと額へと顔を寄せる。
「 …調子狂う。犬として扱うべきか…一人の子として扱うべきか、君は…どっちがいいだ… 」
どっちになれ、なんて強制する気はない。
彼女の幸せを望み、連れて来たんだ。
幸せを奪う気はないが…
何方の扱いをしていいのか決めてくれなければ、少し困る。
なんせ……、幼馴染みの妹に向けては行けない感情が、暴走しそうだからだ。
「 ほら、風邪を引くぞ… 」
胸元を隠すように布を掛け直し、横に戻り二度寝をしようとすと、彼女は条件反射で俺の溝内辺りに顔を埋めた。
犬が飼い主の匂いや体温を求めるのに似てると分かっていても…。
流石に少し……くるものがある……。
「 くっそ、俺のムスコが素直だ……。はぁー…男って…面倒だな… 」
手を出したくないと分かっていても、本能がそれを掻き消そうとする。
なんとか理性を留めて、眠りについた…。
「 湊…。麗菜は、ちゃんと家に連れて帰ってくれ… 」
「 何故ですか?」
「 ……俺も男だ。察しろ 」
起きる寸前に犬に戻った彼女が、朝食後の身支度の際にいないのをきっかけに、敢えて夜の事を告げると、湊は態とらしく首を傾げた。
「 存じ上げていますよ? 」
「 いや、そうじゃなくて…… 」
「 知ってますとも。実那斗様は、無責任な行動はしない主義でしょう 」
「 おま…………それって… 」
その言葉に驚き、視線を上げて見詰めると、湊は緩く笑みを浮かべた。
「 …私がよく知っている実那斗様だからこそ、麗菜様を任せられるのです。他の誰の物になって欲しくないので…。あぁ、でも…麗菜ちゃんの心は一番に考えて欲しいですけどね 」
「 ……もし、彼女が…俺でいいと言うなら、貰っていいと言う事だな?本気で落としにかかるぞ 」
「 ふふっ…。どうぞ、後勝手に。口出しは致しませので 」
てっきり俺は、麗菜を誰のものにもせず…。
優しく、過保護に匿って居るのかと思っていたから、湊の言葉には意外だと思った。
いや……、金持ちである俺だからこそってのもあるのかも知れないが…。
どの道、兄であり…父となっている湊が許可を出したなら、俺の心は決まった。
「 よし、なら麗菜を必ず…俺の花嫁にする。その為に、振り向かせてやろう 」
「 頑張って飼い主から、男性に…そして、好きな人になるよう、変えてくださいね 」
「 ……頑張ります 」
そうだな、まずは…男性だと思ってくれなければ。
それは性欲のある男と言う意味ではなく、
気になる人…と言う認識を持って貰いたいものだ。
「 だが、俺は恋愛経験ゼロなんだよな…。今思うと、ずっと麗菜の事しか考えてなかったわ… 」
「 ある意味、一途で宜しいのでは? 」
「 そうだな。よし一途なんだ、俺は。そういう意味なら恋愛経験無くていい。なんとかなる、そう…まずは自分磨きをしよう 」
なんとなく、湊が凄く親御さんみたいな温かい視線を向けてきたが、敢えてそれに突っ込む気はなかった。
なんせ俺は、自覚があるぐらい……馬鹿だ。
早朝から、体力がマイナスを超え、氷点下ぐらい減った状態での勤務は、正直辛いものがあった。
秘書が話した内容の9.8割は覚えてない程に、
仕事中の記憶が全く無い。
疲れ切って、帰ったら即寝ると考えていたのに…。
「 おかえりなさい!あの、早速なんですけど…お散歩行きたいです! 」
何故か、俺の自宅の方である玄関内で待っていた大型犬より少し大きめの犬は、昨日より綺麗になった毛並みをし、仕切りなしに尻尾を振っていた。
足元に置いている安物のリードに片手を当て、
キラキラの期待を込めた眼差しを向けて来る。
「 今日は、ちゃんと美容院とエステにも行ったんですよ 」
「 そうなのか… 」
「 はい!毎日頂いていたお小遣いから行かせて貰いました! 」
確かに、犬とは言えど…見違える程に綺麗だが…。
つまり、俺が言ったから御褒美をくれと言う訳か…。
「 はぁー…わかった。行くか 」
「 ふぁっ!!ありがとうございます!! 」
疲れているが、彼女の期待を裏切る訳にはいかない。
此処で、どれだけの時間…俺の帰りを待っていたかは知らないが、楽しみを奪う気はない。
例え、6kmをフルマラソンの選手と同じ速度で爆走しようとも……。
「 はぁー……はぁー………もう、歳かも…知れねぇ… 」
「 何を言ってるんですか。私より若いでしょう 」
「 いや…息を切らしてない奴に言われたくないな… 」
何故…こんなにも差があるんだ?
仕事で動き回る執事とビル内を歩いたり、車移動が多い俺とでは、運動量が根本的に違うのか?
どっちにしろ…。
この二人の体力と一緒にしてはならない事は、察しがつく。
19時までの散歩を終えると、そこからは麗菜は、自宅で風呂に入り、俺も自分の家の方でシャワーやら簡単な夕食を終え、持ち帰った仕事を行う。
深夜1時過ぎ頃に、仕事を終えて眠りに付くと、
翌朝の4時半には、昨日と同じ様に犬の姿になっている麗菜が飛び込んで、起こしてきた。
「 ワンッ!! 」
「 ……わか、た……。起きる…から、退いてくれ… 」
凄く眠いし、脚は気怠くて動きたくないが…。
ダイエットすると宣言した以上、弱音を吐く訳にはいかない。
寝起き10分も経過せず、自宅を出ては麗菜に引っ張られるように猛ダッシュの散歩を行った。
其れが3日、4日と続いてみろ。
体力が付く前に、走りながら寝るという謎のスキルを習得した。
「 流石に…今日は、休ませてもらおう… 」
5日目。
げんなりとしたまま帰宅をし、玄関に麗菜と悪魔に見えてきた執事が居ない事を期待して、ドアを開けた。
「 ただいま… 」
「 おかえりなさい。実那斗さん 」
「 おかえりなさいませ 」
散歩なんて、もう行きたくねぇと言ってやりたいのに、健気に尻尾を振り、立ち耳がヒコーキ耳になるぐらい後ろに耳を下げて、俺の帰りを待っている彼女を見ると、そんな言葉は言えなくなった。
「 嗚呼…… 」
「 ふぁっ…… 」
只、今日は…。
ずっと我慢していた事が、疲れによって限界で、理性が外れていた。
もう少し…彼女が、俺に慣れてから…だと思っていたが、日々出迎えてくれる姿が可愛らしく、我慢など出来はしなかった。
頭が理解するより先に、その首元に抱き着いて鼻先を、頭の方へと寄せ匂いを嗅いでいた。
「 スゥーーー……良い匂いがするな……。ただいま… 」
「 え、えっと、はい……おかえりなさい… 」
甘いスィーツと花の香りは、彼女の使うシャンプーの匂いだろうか…。
どんな匂いだろうと、只今はだけは何度も嗅いでは、柔らかい毛に頬を寄せていた。
そんな俺に、彼女は硬直し、湊は呟く。
「 今日の散歩は止めましょうか…。実那斗様…疲れ過ぎて、頭のネジ飛んでますので 」
「 で、ですよね…… 」
「 あー……癒やされる…… 」
健気に出迎えてくれる子っていいな…。
犬にしろ、女性にしろ…。
いや、麗菜にされるからいいのだろう。
そして何故か、その日の散歩は無くなった。
「 そう言えば、やっと発注していた首輪とリードが届いたんだ。見てくれるか? 」
「 はい! 」
思ったより随分と時間掛かったが、やっと出来たオーダーメイドをした首輪とリードの箱を持ってくると、犬の姿をしている彼女の横に腰を下ろし、その2つの箱を開ける。
「 わぁ……え……… 」
「 カーフスキンだ。子牛の革で出来た素材で、飾りにはピンクダイヤモンドや複数の宝石を使用している。ネームタグには俺の名前と電話番号、そして麗菜の名前が刻まれてるが、中にGPS機能も備わってるから、迷子防止のタグでもある…それに… 」
「 待ってください… 」
「 なんだ? 」
「 犬の首輪にしては…高価過ぎませんか? 」
内側にはクッション素材があり、毛の摩擦を減した首輪だが、どこに不満があるのかと疑問になったが、彼女の問い掛けにそんな事かと鼻で笑い、市販の首輪を外しては、着け直した。
「 俺が、中途半端な贈り物を渡すわけ無いだろ。よく似合ってるぞ 」
「 ……あ、ありがとうございます 」
耳を下げて、複雑そうに喜んでる彼女を眺めては、俺は渡したいものも渡せた事でスイッチが切れて、カーペットに突っ伏し、気を失う様に寝落ちしていた。
「 実那斗さん!!? 」
「 お疲れでしたね…。少し無茶をさせ過ぎました 」
本当は、その首輪をした彼女と直ぐに散歩に出たかったのだが、その体力は持ち合わせてはいなかった。
徐々に、体力をつけようと思う…。
「 やばい……いつの間にか寝て……、は……? 」
寝落ちから目を覚ました後自分の寝室だとは察しがついたが、起きやがったタイミングで、右手に当たった感触に気づき、視線を落とすと硬直してしまった。
「 スゥー…… 」
そこには何故か…。
全裸で、こっちを向いて寝ている麗菜の姿があり、頭を抱えた。
「 犬の姿になると、全裸だもんな…。あの姿で寝たのか…そして、人に…。てか……湊、連れて帰れ…… 」
こうなる事が分かってるなら、連れて帰ってくれ…。
御前の大事な妹だろう……。
余り見ない様にしようと目線を逸らしていたが、麗菜は、軽く寝返りを打ち仰向けになった。
「 ……これでも未婚の男なんだけどな… 」
溜息混じりに息を吐き、整った顔立ちで眠っている彼女の白い頬にそっと触れ、犬の首に合わせて着けているボカっとした首輪に指を滑らせ、そっと額へと顔を寄せる。
「 …調子狂う。犬として扱うべきか…一人の子として扱うべきか、君は…どっちがいいだ… 」
どっちになれ、なんて強制する気はない。
彼女の幸せを望み、連れて来たんだ。
幸せを奪う気はないが…
何方の扱いをしていいのか決めてくれなければ、少し困る。
なんせ……、幼馴染みの妹に向けては行けない感情が、暴走しそうだからだ。
「 ほら、風邪を引くぞ… 」
胸元を隠すように布を掛け直し、横に戻り二度寝をしようとすと、彼女は条件反射で俺の溝内辺りに顔を埋めた。
犬が飼い主の匂いや体温を求めるのに似てると分かっていても…。
流石に少し……くるものがある……。
「 くっそ、俺のムスコが素直だ……。はぁー…男って…面倒だな… 」
手を出したくないと分かっていても、本能がそれを掻き消そうとする。
なんとか理性を留めて、眠りについた…。
「 湊…。麗菜は、ちゃんと家に連れて帰ってくれ… 」
「 何故ですか?」
「 ……俺も男だ。察しろ 」
起きる寸前に犬に戻った彼女が、朝食後の身支度の際にいないのをきっかけに、敢えて夜の事を告げると、湊は態とらしく首を傾げた。
「 存じ上げていますよ? 」
「 いや、そうじゃなくて…… 」
「 知ってますとも。実那斗様は、無責任な行動はしない主義でしょう 」
「 おま…………それって… 」
その言葉に驚き、視線を上げて見詰めると、湊は緩く笑みを浮かべた。
「 …私がよく知っている実那斗様だからこそ、麗菜様を任せられるのです。他の誰の物になって欲しくないので…。あぁ、でも…麗菜ちゃんの心は一番に考えて欲しいですけどね 」
「 ……もし、彼女が…俺でいいと言うなら、貰っていいと言う事だな?本気で落としにかかるぞ 」
「 ふふっ…。どうぞ、後勝手に。口出しは致しませので 」
てっきり俺は、麗菜を誰のものにもせず…。
優しく、過保護に匿って居るのかと思っていたから、湊の言葉には意外だと思った。
いや……、金持ちである俺だからこそってのもあるのかも知れないが…。
どの道、兄であり…父となっている湊が許可を出したなら、俺の心は決まった。
「 よし、なら麗菜を必ず…俺の花嫁にする。その為に、振り向かせてやろう 」
「 頑張って飼い主から、男性に…そして、好きな人になるよう、変えてくださいね 」
「 ……頑張ります 」
そうだな、まずは…男性だと思ってくれなければ。
それは性欲のある男と言う意味ではなく、
気になる人…と言う認識を持って貰いたいものだ。
「 だが、俺は恋愛経験ゼロなんだよな…。今思うと、ずっと麗菜の事しか考えてなかったわ… 」
「 ある意味、一途で宜しいのでは? 」
「 そうだな。よし一途なんだ、俺は。そういう意味なら恋愛経験無くていい。なんとかなる、そう…まずは自分磨きをしよう 」
なんとなく、湊が凄く親御さんみたいな温かい視線を向けてきたが、敢えてそれに突っ込む気はなかった。
なんせ俺は、自覚があるぐらい……馬鹿だ。
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