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十一話 有り余る愛情の行き先
しおりを挟むネイビーとの二回目の交尾
それは、他の奴よりも抵抗は無いが、相手は一週間前に産んだばかり
流石に、疲れてるんじゃ無いかなって心配してたんだがそれが無意味の様に、彼はその気だ
「 ハァー、最初とは違って……手慣れたな……んっ…… 」
『 全然……理性がぶっ飛んで、本能のままになってるだけ…… 』
鼻に付く女王蜂を誘う、雄のフェロモンの香り
甘く食欲すら湧きそうな程に、嗅いでいたい匂い
指先を絡めて握り締め、向き合ったまま深く挿入したまま、浅く腰を揺らせばネイビーは密かに息を吐き、時より肉壁を締め付けては卵子を欲するように中は強弱をつけ動く
それが気持ちよくて、敢えて射精せずいれば彼は気付いてるように開いていた脚を、俺の腰へと回し、自ら腰を揺らすのがなんともいやらしい
「 それなら……、本能のままに……俺に産ませたいと、思うか……? 」
『 思うか、じゃないだろ……思ってくれるか?じゃない? 』
デレ期は出産間際だけ?随分と連れないな~
口角を上げ口付け落とせば、彼は受け入れ繋いでない手で後頭部に触れ口付けを返す
「 ん……思って…くれるか? 」
『 どうだろ……ネイビー次第かな 』
「 はっ、っ……! 」
俺がこんなにも、なんて文句の一つでも言いそうな彼に気付き、引き抜こうとすれば阻止するように脚に力が入るのに笑みは溢れる
「 はぁ……、止めんな……。孕ませて、くれ…… 」
『 俺の……卵子、欲しい? 』
「 ほしい……くれ、ぁ、っ…… 」
何で急にそんな求めるわけ?
一度目の練習相手になった時には不機嫌だったのに、今は必死な感じがある
まるで、俺が孕んでない雄には興味無いみたいな……
『( いや……あ、そうか…… )』
思い返せば思い当たる点は幾つもあるが、きっとネイビーは勘違いしてる
確かに俺は、子供が生まれてくるのが楽しみで仕方無かったし、御腹にいるネイビーの腹ばかり触っていた
卵が生まれた瞬間から、ネイビーと廊下ですれ違っても触れる事は無くなった
此所、一週間……彼と触れ合ったのは唯一、誘われた時と今やってる行為中だけ
『( もしかして……ヤキモチ? )』
魔物であり魔王の彼がそんな気持ちを持ってるかは分からないが、触らなくなった事で子を欲しがってるのなら、それはきっと必要ない
『 ふっ……上げても……いいが、一つ聞きたい 』
「 なんだ……? 」
『 俺のこと、好きか? 』
言い方を間違えたかもしれない
恋愛とか愛情とか全く知らない彼に聞いても無意味だろ
案の定、キョトンとした表情を向けられ彼は疑問符を浮かべた後に真顔で告げた
「 女王蜂を嫌う理由がどこにある? 」
『 女王蜂な…… 』
俺の心に槍でも突き刺さったような感覚がした
一気に、鼻先が痛くなりどんな顔を向ければいいか分からず、首筋へと顔を埋め、荒く腰を打ち付け押し上げれば、彼は悲鳴に似た声を漏らす
「 いっ、あぁっ!急に、なんで……ぁ!やめっ、いっ!!っ、くっ!ぁ! 」
『( 俺は結局、繁殖の為の女王蜂……それ以上、それ以下でも無いんだな…… )』
筋のある咬みやすい首筋へと、犬歯を当て強く痕が残るほどに噛み付き、快楽ではなく単純に力任せに荒々しく打ち付ければ、中はキツく締め付け、ネイビーが背中にある羽を掴むのが分かる
「 そんな、やめっ、やっ!イッ、ぁ、あぁ!まて、まってくれ……でるっ、さきにっ、くっ、っ~~!! 」
『 はっ……一人で、射精するなんて酷いよな……。俺が卵子、注ぐまで待って 』
「 ああっあっ!!むりっ、っ、ぐっ!むりだ、ぁ!そんな、ぁ、っ! 」
促すだけで射精するのは本能であり、ぐっと堪えた俺は八つ当たりのこどく休憩する暇も与えずピストンを動かし、中に感じる精子のヌメリと感じる度に溢れる体液が混じった水音が響き
肉体のぶつかる音と共に、ネイビーの顔が赤く染まりだらしなく唾液を垂らし、彼は雌のように喘ぐしか出来ない
『 はぁ……卵子、出そう……射精できる? 』
「 まって、くれ……まだ、準備が……ぁあっ!ひっ、あぁあぁっ!! 」
直ぐに二回目は無理だよな
仕方無いから、待ってあげると耳元で囁き
太くガチガチに勃起した、輸卵管を擦り上げれば彼は先に二度目の欲を吐き出し、腰に巻いていた脚をほどき、自ら股を大きく開いたまま腰を反り上げ、欲に逃げようともがく
『 二回目……ほら、俺まだ…… 』
「 っ、すまない……すま、ない、ひっ、ぁ! 」
この交尾って確率はいいけど、雄のタイミングが早ければ意味無いことも知った
腰を動かす度に、精子は穴から漏れ使い物にならないし、きっと今卵子を入れても彼の精子が間に合わないだろ
不味いと思ったときにはもう遅い、雄としてのように謝り、羽を掴んでいた手を背中に当て
絡めていた指さえほどけば、彼は両手で抱き締めるように身体を密着させる
「 はぁ、だから……はやく……らんし、くれ、ぁあっ、もう、くらさいっ……らんし、ひっ、ぁ! 」
『 ふっ……欲しがりだな……でも、やらない……これは、俺からの……反撃 』
「 なっ、ぁ、ンンッ、だめっ、くっ!! 」
行為をされても貰えないことを実感すればいい
何故、貰えなかったのか……何故、孕まなかったのか
そして、俺がこんなにも不機嫌な理由を少しでも考えればいいと思い、何度も何度もしつこいほどにネイビーだけ、射精せれば彼は快楽よりも不安が強くなってきたのだろ
俺が離れようとする度に、抱き締めてくる腕に力が入る
到頭、俺より年上だし男っぽくて格好いいのに彼は駄々を捏ねるように泣き始めた
『 えっ…… 』
流石に、俺も驚いて引き抜いた後に見下げれば彼は両手を顔に当て涙を流す
「 うぅ、くっ……なんで、二人目……作ってくれないんだ……そんな、ハクやブラオンがいいのか……。御前は、俺がイヤか……そんな、駄目な魔力だったか…。あぁ、くそ……なんで、俺は……泣いてんだよ…… 」
八つ当たりする人を間違えたのだろうか
いや、あっ「」てるはずだ
ハクのように清々しい程に忠実で、繁栄のために喜ぶなら協力してやりたくもなるし
ブラオンは、根本的に十人分は交尾しなくて済んでることに安心してる
問題はこいつが、クールに気取ってたと思ったら子供みたいに泣くか?
俺でも、こんな泣かないぞってぐらいに泣いてるネイビーにどうしてらいいのか迷い、眉間にシワは寄る
『 知るかよ……勝手に泣いてろ 』
卵子が欲しくて、妊娠したいために泣く
"俺との子"を欲してるわけじゃ無いと知ってるために心は冷たく凍り付いていく感覚がする
「 待ってくれ……頼む、受精してから出てくれ……。二人目……欲しいんだ…… 」
『 ……なんでそんなに、二人目に拘るわけ?あぁ、兵士が欲しいもんな。生憎、御前じゃなくてもこれから生まれる子供に守ってもらうし 』
俺も素直じゃない
只一言、"俺との子が欲しい"と言われたいが為に、泣かせる必要の無い奴を泣かせてる
これじゃ、只の強姦だし……一方的に射精させて後は放置
期待させるだけ期待させて、放り出した俺は酷い奴と分かっていても口から放つ言葉は止めれない
『 そう……ネイビーじゃなくても、他の雄がいるんだから孕ませるタイミングが合う奴に…… 』
「 っ……なんで、そんな事を言うんだ…… 」
俺が泣く理由は、死んだことよりも、忙しくて非日常でもない
少しでも、愛されたいと望んだことによる無謀な涙だと知ったときには頬へと滴が落ち顔を背けていた
「 子が成長するまで俺に守らせてくれ……。他のやつじゃなくて、俺じゃ駄目なのか……俺を特別に……お気に入りにしてくれりゃ…… 」
『 逆に聞くけどな、なんでそこまで拘るようになったんだよ。ほんの前まで……誰にでも孕ませて子を増やせと言ってた御前が、なんで 』
「 知るかよ……ルイが、撫でる手が心地いいだけだ……他の奴と交尾してるなんて、聞くだけで苛々す…… 」
『 苛々するのはこっちだ、自分達の都合を押し付けて……孕ませてとか増やせとか。そんなの……好きな奴とゆっくり子供増やしたいって思うんだよ!俺に、誰かを好きになる権利はないのかよ! 』
思っていた事を吐き出した時には、自分が馬鹿みたいな思いがあった事を実感して
大粒の涙を流していた
こんなにも泣くなんて初めてだと思うぐらいに、溜めていた涙は拭くこともなく溢れ落ち
行き場の無い感情に、只何処に向ければいいか分からずベッドから下りていた
「 っ、待ってくれ……ルイ!! 」
『 触んな。もう二度と、許可無く俺に触るな。全員だ……子供以外、全員……俺に触るな!! 』
女王蜂の言葉は、どんなに離れていても意思のこもった命令は魔界に住む全ての雄に届く
手を伸ばしていたネイビーの手は、行き場を失えば俺は部屋から飛び出し出ていた
まるで、アランを振り払った時の様に一方的に言って逃げた事を思い出し、息苦しくなる
「 待って 」
『 だから、俺に触ん…… 』
部屋に戻ろうとしたときに、身体を隠すようにマントを羽織った程度の少年に掴まれた事に驚いて、振り返れば
紺色の髪に、赤い瞳をし、羊のような巻き角をした少年は二枚の羽を引き摺ったまま、此方を見上げた
「 ……どこ行くの? 」
『 っ…… 』
その面影が分からないわけもなく、気付いたときには細く小さな身体へと抱き締めていた
「 ねぇ……名をちょうだい…… 」
『 ルビー……御前は、ルビーだよ。我が子… 』
「 ルビ……ん、ボクはルビー……貴方の子だ 」
十歳も満たない子供、それでもしっかりとした思考を持ってるのだと分かった
卵から小鳥の姿で生まれた後に、人の姿になり俺を探しに来たらしい
部屋に戻れば、割れた卵がありルビーと名を付けた子は自慢気に羽を広げた後に姿を変えた
「 主人ではない……?お母さん?母さん……ボクの姿は、好き? 」
『 嗚呼、好きだよ……綺麗だ。ルビー 』
オナガドリの様に長い尻尾と黒い羽、けれど顔は狐や犬のようで、耳は羽毛が付いている
鳥のような二足歩行の脚で腕へと止まるルビーは、赤い瞳を細めて口元を上げる
「 そう、よかった。母さん……いつも声を聞いてた。やっと聞けた……母さん……母さん 」
『 ルビー……会えて嬉しいよ 』
「 ボクも嬉しい 」
片手で頭から背中を撫でれば、嬉しそうにしてから軽く羽を広げ、人の姿へと戻れば膝の上に座り抱き締めてくる
『 ……ルビー 』
誰に向けることも出来なかった愛情を……
俺は、この我が子に向けよう
けれど、直ぐに子供の存在の意味を知った
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