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☆御気に入り100記念☆ 本編では語られない視点
アラン視点 ~ 変わった君3 ~
しおりを挟む時代劇村をささっと見て回りながら、腹の減りに立ち止まる
「 ねぇ、お腹空かない?流石に昼過ぎて歩き回ってるからペコペコだよ 」
『 ……そうだね。でも、この中で食べると高いし……出て食べよう?余り予算ないし…… 』
お小遣いの上限は三万円だった
それでも、余ってると思うことに疑問になり素直に問いかけた
「 えっ、なんぼ持ってきたの?流石に三万はあるよね? 」
『 残念だけど無いよ。修学旅行費だって無理して御願いしたし……手持ちは一万円だけど、お土産買ったら終わりそう…… 』
確かに値段を気にする様子はあった
そして、中々お土産を買わないのも納得した
俺は当たり前のように平均的な額は持ってると決めつけてたけど、今回の修学旅行に一生懸命に来た人も居るんだと初めて気付いた
「 あ、ごめん……。じゃ、俺が奢るから食べようよ 」
『 奢られるぐらいなら、離れるよ 』
「 やだ、奢るから一緒に食べよう。じゃんけんで俺が勝ったら奢る、黒銀さんが勝ったら外で食べよう 」
『 ……いいよ、最初はグー! 』
「 じゃんけん…… 」
「『 ポン!! 』」
なんとか説得してじゃんけんにこぎつけて、一緒に出せばあいこだった
緊張して二人して息を吐いてから、もう一回じゃんけんをすれば俺は、自分の出した答えにガッツポーズを決めた
「 よっし!!!ご飯だ~! 」
『 人様の金で食べるなんて……最悪 』
「 いいからいいから~さっき、美味しそうな蕎麦屋があったんだよね~抹茶パフェも食べようよ 」
『 ……安いのな、一番安いのにして 』
「 えー、俺が食べたいものを一緒に食べるんだよ 」
出来るだけ美味しい物を食べさせよう
そう思って昼時から時間がずれた為に、少しだけスペースの空いてる蕎麦屋に入り、注文をした
「 天せいろそば二つ下さい! 」
「 はい、少々お待ち下さい 」
早々に頼んで、文句言われる前に決めてしまえば、ルイは何処かふてくしたように視線を外して呟く
『 きっと余分に持ってきてるんだろうね 』
「 そりゃね、上限なんて無いものだよ 」
『 ……はぁー、親の金だろ 』
否定はしたくて真剣に答える
「 そうだけど、ちゃんと二年間。テストで何点とったらなんぼ、試合で何回点数入れたら、とかで条件付きで貰ってるんだから。クリアしてるよ? 」
『 へぇ……意外にちゃんとしてた…… 』
「 でしょ?俺って真面目なの 」
『 親が、だろ。ふっ、まぁいいよ……それなら 』
この日の為に、ちょくちょくと貰ってたお小遣いを持ってきただけ
だからお土産なんて、自分のものだけ買えばいいと両親から言われていた
俺は好きな事に使う、そう告げればルイは諦めたように視線を外す
嫌われたかな?そう様子を見ていれば、ルイは一人言のように呟く
『 ……頑張って得た金を、クラスメートの昼飯を奢っていいのか?自分のぐらい、自分で払うのに…… 』
「 好きな事に使ってるだけ、貢がして…なんて 」
『 ふっ、なにそれ 』
困ったような呆れたように笑った不器用な笑みを見て、一瞬胸が高鳴った
うん、班から分かれて良かったと改めて実感すれば天せいろそばがやって来れば一緒に食べ始める
「 ん、おいしい! 」
『 うん…凄く……これは、美味しいや 』
目についたお店に入ってみただけなのに、こんなに美味しい昼御飯にありつけたなら大満足
それに、ルイが美味しそうに食べる姿は見ていて気持ちがいい
『 ご馳走さまでした 』
「 いえいえ~!次は抹茶パフェ食べよ! 」
『 勝ったら自腹にする! 』
「 俺が勝ったら奢る! 」
行く先々の店の前でじゃんけんなんて、余りにも可笑しいだろうね
それも買った方が奢ることを喜んでるなんて
本気で負けて悔しがるルイに、俺は笑って抹茶パフェを食べたり、お土産を買ったりしていく
『 負けた~!!くそ、勝てない!!なんで!? 』
「 ふふんっ、君のパターンは読めてきた 」
『 全敗とか、本気で泣きそう…… 』
「 バスケでは勝てないけどじゃんけんは勝つ。俺って最強 」
『 黙れ 』
「 ははっ!支払いしまーす! 」
楽しくて仕方無い
ルイが笑ったり、怒ったり、悔しがったりする姿を見たくてきっと俺は奢ることを楽しんでる
そして、あいこの後に読めてきたパターンによって全勝してる俺は嬉しくて仕方無い
二人揃って笑ったり、遊んだり、両手一杯のお土産を共に買っては色んな所を見て回って、一緒に写真を撮る
まるでデートみたいだね、そう思うほどに二人で京都の街を楽しんだ
『 ここどこ…… 』
「 ごめん、バス間違えた…… 」
そろそろホテルに向かって帰ろうと話して、バスに乗ったものの着いた先は全く知らない場所だった
京都の中では、乗り放題のバスだったのに、此処から先は料金が発生するから降りて、なんて言われて降りたら全く知らないド田舎
流石に不味いと思って、地図を手に持ちバス停の時間表を見る
「 京都のバス多すぎ……。ホテルってどっち方面だっけ? 」
『 寧ろ、ホテルの場所すら忘れたよ 』
「 それ……商店街やペットショップは見たんだと思うけど…… 」
こんな時の専用の電話!なんて言いたいけど、他の班のメンバーが二つとも持っていったから、俺達に連絡手段はない
唯一腕時計を其々持ってるから時間は分かるけど、既に十七時になろうとしてたから焦る
さっきのバスで帰るつもりだったからこそ、ここはどこ状態
『 取り敢えず、人に聞いてみる。ちょっと待ってて 』
「 あ、うん 」
荷物を足元に置いたルイは、そのまま団子屋があった為にそこまで走って向かった
俺はその間に時間を見るけど、次のが早くて二十分後なんてある
今まで、散々直ぐに来てたバスが急に減るなんて……どこまで田舎に来てしまったんだ
「 えーと……この場所に行くには…… 」
目印だった建物を目安に、そこに行くためのバスの番号を探していくも、此処には書いてない
可笑しい、探し間違え?と悩んでいれば少ししてルイは手にお土産を持って帰って来た
『 道が分かったよ 』
「 えっ、そうなの? 」
『 なんか、この坂を降りた先にあるバス停から乗ったら着くらしい。それと、道聞くだけに入ったのあれだったから、団子かった……一本どうぞ 』
「 あ、ありがとう……坂ね…… 」
みたらし団子を一本受け取り、口に含めば甘い砂糖醤油の味に頬は緩み、そこで団子を食べてから荷物を持ち直し、坂を降りていく
『 遅刻して、怒られても別にいいよ。楽しかったし 』
「 そうだね。でも、ごめんね……俺が間違えなかったら…… 」
『 気にしてない。だって、此処に住んでる訳じゃないから今まで回れた事が凄いと思うぐらいだから、私は楽しかったよ、ありがとう 』
「 うん……どういたしまして 」
完璧に最後も遅刻せずに帰りたかった
悔しくて、胸が痛んでもルイの優しげな笑みと言葉に救われた
長い坂を降りて、バス停へと辿り着けば曲がり角からやって来た見覚えのある色のバスへと乗って、残りはホテル近くまで行く
『 足パンパン、明日のUSJ歩けるかな 』
「 きっと歩けるよ。楽しかったら忘れそうだし 」
『 確かにな 』
時計の時間は門限より過ぎていた
それでも、楽しかったと静かに話し合えばバスは辿り着き見覚えのある場所に喜んで、急いで二人で走って帰る
「『 遅れてすみません!! 』」
「 御前等ぁ、ギリギリだぞ! 」
『「 えっ? 』」
ホテルの前で待っていた教師の言葉に驚いて傾げれば、彼は時計へと指を向けた
「 きっと遅刻するだろう生徒のために、時計の針を三十分早めていた。まぁ、それでも、御前等は残り二十分もあったがな? 」
「 なんだ~!はぁー良かった! 」
「 よくねぇよ。班をバラバラに行動しやがって。色々言いたいが…荷物を置いて晩飯を食って風呂は入れ 」
「『 はい 』」
こっぴどく怒られるのは、三十分早めていた時計ですら遅れてくる、他のメンバー達だった
俺達はなんとかギリギリセーフなのことに安心しては
荷物に番号札をつけて預けてから、直ぐに夕御飯へとなる
此処からは完全に離れるために、後に出逢ったのは風呂上がりの自由時間
それは、ルイがホテルにあるお土産コーナーにいるのを見掛けたときだ
「 なんか、いいものあった? 」
『 この兎…着物を着て可愛いなって……でも、向き合ってるのがね…… 』
赤い着物を着たウサギと、黒い着物を着たウサギの向き合った姿のキーホルダー
それは確かにカップルがつけそうな事だけど、下の辺に“京都“と書いてるから気になるんだろうね
「 じゃ、じゃんけんしよ。俺も京都のキーホルダー欲しかったし 」
『 私は黒がいい 』
「 いいよ、俺は赤ね 」
静かにじゃんけんすれば、いつもならあいこになるはずのに、今日は何故か一発目でルイが勝った
無敗だった事に驚いてる俺に、ルイは早々にレジへと持っていき、階段の方にいけば
袋から取り出した赤色の着物を着た兎を差し出してきた
『 今日は色々ありがとう。気持ちだけど、あげる 』
「 !!ありがとう……大切にするね 」
『 まぁ、うん……ウサギちゃんが寂しくならない程度で持ってて 』
「 うん!もちろん! 」
どこに付けよう、ずっと持ってる携帯かな、それとも財布かな、今は無くしたくないから財布にしよって考えながらルイは満足気に階段を登り、振り返った
『 あ、おやすみ。またね 』
「 おやすみ!いい夢を 」
『 ん、君こそ 』
おやすみ、と言い合えるとは思えずに嬉しくて一人その場で悶えていた
家族に渡すお土産は、京都の八ツ橋とかクッキーがあるしキーホルダーみたいな着けるようなものは好かないのを知ってる
無くなる食べ物がいいために、それ以上は買わず自分達の寝床に戻る
「 なんかさー、暇だよな 」
「 マジそれ、女子達の場所に行く? 」
「 いいな!アランも行こうぜ! 」
「 えっ、いや……俺は遠慮するよ……教師に見付かったら怒られるし 」
「 いいじゃん!行こうぜ! 」
財布に取り付けてた俺は、無理矢理立たされた事で仕方無くポケットに財布を突っ込み
眠いのに、と言うか言葉を言わず二階へと降りていく
数人の男子達が辺りを見渡しながら女子の通路を歩けば、班の番号が書かれていた
「 お、いるかな~ 」
「 ビックリするだろうな! 」
此所は……ルイがいないっけ?
そう思いながら徐に開けた男子は、扉の先の光景を見て笑顔は一瞬で消えた
「 誰もいねぇ……あれ、どこにいんだろ? 」
「 別の部屋とか?行こうぜ! 」
部屋はもぬけの殻で、誰もいないことに男子は次の部屋へと行くなかで、俺は一ヶ所だけ膨らみがある布団と、枕元とリュックサックの柄で気付いた
通路を左右を見てからそっと部屋に入り、奥側の隅で寝てるルイに近づけば、彼女の枕元にある財布にキーホルダーがついてることに笑みは溢れた
「 もう、つけてくれてるんだ……ありがとう。風邪引くよ、よし……おやすみ 」
布団をかけ直して、早々に立ち去れば廊下に出た後に男子が走ってくるのが見えて急いで自分達の部屋へと戻った
「 マジであぶねー! 」
「 バレてそうだけだな…… 」
「( ルイ、お疲れだったんだね……。ゆっくり休めたらいいな )」
直ぐに寝るから、そういって端になってそうなルイにらしいと持っていれば教師が来る足音によって、俺達は布団に入り、寝たフリを決め込む
「 御前等、消灯時間前にいい子で寝てると、逆に怪しむからな?まぁいい、おやすみ 」
「「 おやすみなさーい 」」
教師が電気を消せば、寝たフリしてるのに挨拶をして男子に教師は軽く笑ってはその場を離れた
暗くなった部屋、それはいい時間なんだろうね
「 なぁ、ミサちゃんとはどうなんだよ?いい雰囲気っぽいって見掛けたやつが言ってたぜー? 」
「 別に……でも、やっぱすげー可愛い……。お揃いのぬいぐるみを買ったんだよ 」
「 やるなー?コノヤロー! 」
男子の恋ばな、どんな雰囲気なのか、どこまでヤれそうなのか、そんな下ネタさえ含まれてるけど俺は布団の中でキーホルダーを触っていれば急に背中を叩かれた
「 いっ、なに!? 」
「 おーい、アランくん。御前だけ報告無しなのは狡いぜ? 」
「 なにが? 」
「 だ~か~ら。黒銀とはどうなんだよ 」
「 えっ、アランの目当てってあの黒銀かよ。うわっ……マジか…… 」
「 意外すぎて眠気がとんだ。マジで? 」
公開処刑だ!そう文句を言いたいけど相手にしたくないから、布団を被り直せば盛大に剥ぎ取られる
「 もう!!別にちょっと気になるだけ、そんな…好きとかじゃないから 」
「 いや、御前のは明らかに好きだろ。分かりやすすぎ 」
「 あー、なんか……今思えば分かるかも。黒銀の話をするとフォローするよな? 」
そんな事無い、と言いたくてもそんな気はありそうで
思い出せば出すほど、自分の行いに恥ずかしくなってきた
「 黒銀が好きなんだろー? 」
「 地味だけど美人だしな、無理ねぇよ 」
「 別に……すきじゃ、ないし…… 」
呟いた言葉は恥ずかしくて枕へと顔を埋めれば、
彼等はいいオモチャが出来たようにヒューヒューと茶化してくるから腹立つ
「 卒業前にコクれよ?もう半年もねぇし 」
「 なんやかんやで半年か……高校決まってるしな 」
「 そうそう、だから告白しとかねぇと会えなくなると恋愛なんて忘れちまう。って兄貴が言ってた 」
「 ふはっ、兄貴失恋済みかよ 」
「( 高校か…… )」
バスケを止めて、医療に強い高校を目指していた
そのまま医者になれる確率の高い高校だからこそ、テストはもうすぐで行われる
それに合格すれば、俺とルイの高校は変わって会うことも少なくなるんだろうね
「 ……やだ、会えないのつらい…… 」
「 んじゃ、告白して彼女でもなってもらっとけば会えるんじゃねぇ?応援するぜー?学年一番の人気者、バスケ部のエースの恋愛なんて 」
「「( ライバルじゃなくて良かった )」」
なんか、本音が聞こえてきたけど俺は好きなのかもしれない……
そう背中を押されて思うようになってから、どのタイミングで告白しようか悩んで
と言うか、きっとルイは俺のこと興味ないから告白してもフラれるのが怖くて、中々寝付けなかった
「( やばい、コイツ等が変な事を言うから想像して眠れない……と言うか、なんか、モヤモヤする )」
告白を失敗したら、でも、その前に告白が成功したら恋人になって、彼等が話してたヤるヤらないと言う会話を思い出し、ぐつりと煮えるような感覚に青ざめた
「( 最悪……勃起した……マジか、うそん…… )」
嫌な予感に、布団を軽く持ち上げて視線を下半身へと向ければ主張する息子に呆れて、周りが寝てるのを見てからそっと部屋を抜け出しトイレへと向かった
男子トイレの洋式に座り、ジャージのズボンを下げ下半身を晒せば露になった陰茎を見て呆れては軽く掴む
「 処理しないと……朝勃ちなんて見られたくないし……仕方無い…… 」
仕方無いと言い聞かせて、軽く擦れば、頭に過るのはルイの笑顔や、声
それを鮮明に想像した時には芯から熱くなる感覚に自分でも驚く
「( まって、そんな、っ……! )」
欲求不満では無かったはず
なのに、ルイを想像するだけで手は止まることを知らず、先走りは溢れ先端を擦る度に太股に力が入る
「( はぁ、るい……ルイ…… )」
手を繋ぎたい、抱き締めたい、キスしたい、
恋人になって、色々したい……
そう思うほどに、興奮は高まり理性的な涙を浮かべ、身体に力がこもれば扉や床に向け精子は飛び散りる
「 はぁ……ダメだ……俺、凄く……好きなのかも…… 」
ドロッと溢れた精子が手に付き、それをわずかな光と共に眺めては下半身へと触り、直ぐに二回目を始める
「( ルイ……ルイ……あぁ、もっと……もっと…… )」
君を知りたい、俺のものにしたい
誰にも渡したくない……
ホテルのトイレで自慰に浸れば、気持ち良すぎて一時その場から動けなかった
陰茎が収まり汚した部分を拭き終えて、しっかりと手を洗ってから部屋へと戻り、脱力感と共に眠りにつく
明日……もう少しルイと話せたらいいな
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