上 下
13 / 77

04

しおりを挟む

やって来たのは昨日とは違う、下着売り場

此処は彼女がこっちの方が種類があるから、と連れて来た場所なんだが....

店員や客を含めて男しかいない、それか息子か旦那にでも買いそうな年配の女性ぐらい

女子高生なら彼女だけ、なんだろ他の人の視線が痛い....

『 こっちの豹柄似合うと思うよ?でも、鬼のパンツっぽい、ゼブラ柄は是非着せ欲しい 』

「 ....俺には派手だと思うんだが 」

だから、鬼嶽って名前だけどパンツを鬼柄....じゃなくてゼブラ柄を選ぼうとするその拘りなんだろ....
キラキラした目を向けてさ....否定するにもし辛いじゃん

『 そんな事ないよ、普段は見えない部分だからこそ色々着れるんだよ 』

「 ....普段はね.... 」

ファッションセンスとか興味なくて、普段も余りいい服は着ない
だから下着も無地を選んでたけど
見えない場所だから、自分の好みを着れる....そう言われると納得出来るが

なんか洗脳される気がする....

気のせいだと思いたい!

『 男性のメーカーならダンジェルーの.... 』

「 それは却下! 」

『 えー、なんで? 』

「 なんでって....ほぼVじゃん!ハードル高い!それならゼブラ柄がいい 」

そんなものを俺にオススメしないで!
取ろうとしたダンジェルーのメーカーではなく、彼女が持っていたゼブラ柄のを奪い取りこっちで十分だと言えば、彼女は眉を寄せ残念そうな表情をする

そんな、残念そうな顔をしなくても....

「 俺がこんなの履いてたら可笑しいでしょ? 」

『 ....うーん、全然? 』

「 えっ、可笑しくないの?食い込んでるパンツだよ?前に流行ったパンツ仮面的な.... 」

そう、こんなのパンツは前にパンツを被って悪をやっつけるヒーロー物の映画で見た
観るつもりは無かったけど、物好きな兄が借りてきて一緒に見た記憶がある

そのキャラが履いてたようなパンツなんて恥ずかしくて死んでしまう

『 だって、その人の趣味じゃん?私は偏見はないよ 』

「 人様に趣味を押し付けてる君は、偏見無いだろうが。俺はある 」

だから、これは無しとばかりに他の方へと視線を向けようとすれば彼女は少し考える素振りを見せ、俺に告げた

『 じゃ、私が黒の紐パン履いてたら変? 』

「 えっ....? 」

手に持ってるのは男性物、だが女性用の紐パンを履いてたら....

そんな言われたら想像してしまうじゃん.... 
形のいい尻がしっかり見えた、パンツなんて誰得なの....俺得だよ.... 

「 っ....狡い....君は似合うだろうが、俺は似合わない 」

『 じゃ、こうしよう 』

「 なに? 」

『 今日はゼブラ柄のパンツで許すから、その代わりに私の下着選んで?そしたら等価交換だよ 』

そんな等価交換の原則があってら、きっと彼女の周りにいるクラスメートはどんなパンツを選ばれても自分が選んだのを着てくれるなら、そうするだろ

....俺は、紳士としてその問いに断った

「 ....選ばせて頂きます 」

パンツに負けた!!!

くそっ!!!

『 宜しい!じゃ、それ会計してきてね 』

本当、洗脳されて来た....
ゼブラ柄のパンツなんて初めて買った 

お小遣い持ってきてよかったと思いながら、会計を済ませてこのデパートにある女性用の下着コーナーへと来たんだが、俺は入り口を見てから足の向きを変えた

「 そうだった、下着コーナーなんだよね....普通は入り辛いもん.....なっ!? 」

『 なに言ってるの、パンツ選ぶんでしょーほら、来なよ 』

「 いやっ!待てって!新手のいじめって!!俺、君をいじめてないんだけど!!っ!!!? 」

容赦なく問答無用で腕を掴まれ引き吊られて中へと入った俺は、取り敢えず学校の奴がいない事を祈った

『 さて、何する?ブラックローズ以外は余り着ないけど選んでいいよ 』 

「 ....いやいや....そんな、もう、どれでもいいって 」

『 あ、御揃いのゼブラ柄とか? 』

「 しなくて.... 」

しなくていいって言いたかった
けど、彼女が向けたブラとパンツは確かに可愛い部分とクールな部分があるものだ

あれ?俺って、ピンクとか白系よりこっちが好きなのかもって思う....

「 君はクールな印象あるから似合うだろうね.... 」

『 そう?試着しようか? 』

「 えっ?いやいや!待って!! 」

『 なんで? 』

試着するってことは買う気満々って可笑しくない?
だって、俺がさっき買ったのはゼブラ柄だよ?そんなの....

「 こういうの....その、彼氏とやるもんでしょ....? 」

彼女の彼氏が俺の下着なんて把握してたら可笑しいけど、それでも何となく抵抗があると止めれば、その顔はキョトンとしていた

『 彼氏いないけど?誰のこと?まぁ、着るから確認して 』

「 彼氏いない....えっ?だって....確認?確認!!!? 」

いや!色々聞きたいことが沢山あるけど、確認ってなにを!!!?
しおりを挟む

処理中です...