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しおりを挟む『 パンツ何色? 』
「 内緒 」
朝一でクラスの中で会ってから
最初の一言がこれだ
『 えー、今日もか.... 』
「 今日もだね、おはよう 」
『 はよう.... 』
早退した日から既に1週間は経過してるが、
彼女に本日のパンツは何色だなんて
報告は出来ていなかった
そんなもんさっさと教えてやればいいのだろうが、何となく聞かなかった事でふてくしたように机に伏せる様子は見ていて気分がいい
『 パンツ位いいじゃん.... 』
「( ふてくしてる、ふふっ )」
そんなに俺のパンツが知りたいのだろうか?
其とも自分が見せたから、俺も教えなければ等価交換の原則に反してるとでも思ってるのだろうか、どちらにせよ
散々、俺を下着コーナーへと連れ入れたりしたのだから少しは意地悪を返してもバチは当たらないだろう
「 オリビアさん、おはよう 」
『 ん?はよう 』
現れた、加藤 裕一
此所のクラスは名字順であり、オ行の後はカ行になる
つまり一番後ろの席である彼女の隣は、この加藤が座っている
近いって事もあり、熱中症で倒れた次の日から心配して声をかける様になったらしいけど、常に不機嫌で不良っぽい俺とは違った爽やかな印象のある明るい男子生徒
誰隔てなく接する為に、彼女もまた挨拶やら会話してるのをよく見る様になった
加藤が来ると、彼女の視線はそっちに行く
その原因なんて彼等が話初めて直ぐに理解してる
『 パンツ何色? 』
「 今日ねー、ラグジャリーの青い迷彩柄~。ボクサーだけどね 」
『 わっ、格好いいやつ!履きやすいし、他のメーカーより迷彩柄の中では綺麗だよね 』
「 そうなんだよ!黒い部分がはっきりしてて、くすんでなくてさ 」
よく彼女の話に着いていけるよね
それもサラッとメーカーと含めて答えられるのが逆に凄いと思う
加藤が来れば、転校当日辺りは話をしなかった彼女ですらよく話して笑うから
俺はそれでいいと思っている
話が合うもの同士で仲好くしてくれた方が、俺の静かな日常が取り戻しつつある....
『 ほら、しょーたもパンツーー 』
「 俺に話をフラないで....つーか、ツンツンしないで.... 」
背後からシャーペンで突っついては俺を振り向かせようとする、彼女は必ず話に入れようとしてくる
元々、加藤とは前と後ろの席だった為に話してたこともあって、彼女と共に俺を巻き込んでくる
「 しょーたのパンツも知りたいもんねー ? 」
『 ねー! 』
「 ねぇーじゃない。パンツなんて知らなくていいじゃん.... 」
二人揃って顔を見合わせてねーなんて言うもんだから、俺の眉間のシワは尚更濃くなる
後ろを向いたまま告げれば、二人は同じ様な期待してる表情を向けていた
なんだろ、言わない俺が悪者みたいな....
『 パンツを知ることで私の、1日のテンションが違う! 』
「 いや、裕一ので十分じゃん....なんで俺のまで 」
『 目の前に座ってるから.... 』
「 人様にカメラ向けんな! 」
机に伏せたままスマホを向けてくる彼女に、防ごうとシャツで捲れてる腹辺りを引っ張って隠せば、あからさまに舌打ちをした
『 チッ.... 』
「 ははっ、しょーたは照れ屋だから諦めたら? 」
「 五月蝿い 」
俺の周りはこんなに騒がしかっただろうか?
必要以外は話し掛けて来ない、裕一がこうやって笑ってるのも不思議だと思う
誰隔てなく接しても、其処には何処か壁がある様にも見えるのに
彼女にはその壁を作らないようにしてる....
1年の頃から席が近くてよく見てるが、こうやって笑うのも珍しい
「 そう言えば、オリビアさんは.... 」
『 ん? 』
「 御前等、静かにしろ。夏休みの補習ついでに花壇の水やり当番を告げる 」
裕一が何かをいい掛けた事に気になったが、俺はそれよりもつい最近行われたテストを思い出し嫌な予感に目線は教師と合う
「 どうやら、補習になる奴は分かってるみたいだな?名前を言うぞ、鬼嶽、赤点1つ。加藤、赤点2つ。オリビアさん、全教科赤点だ。御前等....なにやってんだ?赤ペンだらけだぞ 」
いや、俺は見逃してもいいが彼女は全教科赤点とかなにしてんの!?
『 せんせー、赤パンツなんですか? 』
「 赤ペンな、赤いパンツじゃない。合格点より下ってことな。3人とも8月終わる迄に90点以上はだせよ 」
補習なんだから答えは簡単だろ、なんて言う教師に俺は机へと頭を伏せた
嘘だろ、他はきっと殆ど100点に近かった筈なのに....
『 裕くん、赤パンツだって 』
「 赤ペンね、一緒に夏休み頑張ろ? 」
『 ....うーん?頑張る 』
てか、帰国子女なら英語位分かれよ
全教科赤点ってどういうこと....
応援ありがとうございます!
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