ドM社長は貴女の下僕になりたい

獅月 クロ

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13 自分の性質を知る

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~ 李津 視点 ~

  
 SMクラブ&バーの店から少し離れた、駅前の居酒屋 
 此所はルイスが選んだ為に俺はまだ入ったことのない場所だった
 バーとかに行くのかと思ったが、あの場から雰囲気がガラッと変わった、夜の夜食エリアみたいだ

 サラリーマンやら夫婦すらいるなかで、俺達は向かい合って座り最初にビールを注文してから、メニューを選ぶ

「 乾杯 」

「 嗚呼、乾杯 」

 御互いにビールを当て、一口飲めば案外豪快に飲んで息を吐くルイスは何処からどう見ても元大学生で、普段はサラリーマンでもしてそうに見える

 テーブルに届いた串を食べながら、問い掛ける

「 なんで……あの仕事を始めたんだ? 」

「 大学生の時にバイトしたくてね。取り敢えず給料良さそうな場所を選んで、彼処にしたんですよ、なんやかんやで5年近く働いてるかな 」

「 そんなにか……よく続けれるな 」

 串カツが美味いなと口に含み食べては、ビールを呑む俺は問えば、彼は唐揚げを食い片手を5を示すように出してから口角を上げ笑った

「 実は3年ぐらいS男やってたんですよ~ 」

「 えっ、そうなのか……? 」

「 そそっ。やっぱり男なら虐める方が楽しいかなって、でもある日……彼女(女王様)達と食事に行って、ギャップを見て、俺はM男のフリをしてる方が向いてる?って気付いて、そこから楽しくて仕方無い 」

「 ……フリなのか? 」

 痛い!とは言ってたが、喜んでるようにも見えた
 5年間働いてるのも驚いたが、それよりもS男をやってからM男になるって言う考え方に疑問を持てば、彼は頷く 

「 そそ、思わない?これを言うと大半のバトラーは疑問に思うらしいけど。俺は……女王様がふっと休憩中に甘えたり、縄のやり方に苦戦してたりすると可愛いな~って思う。バトラーだけに見せる油断が、俺は好き 」

 確かに仕事中のエリは女王様らしく、興奮した顔とSっ気のある表情を見せるが、縄を苦戦して彼に向けた表情は普通の女性に見えた

 綺麗、ではなく可愛いと言う言葉が合う表情だった事に納得し頷く

「 例えば、エリ様。2年前から知ってるけど、最初からSっ気が強くて皆がお手上げ。でも、側近じゃない俺がなんとなーく近付いて、甘えやすいような雰囲気をすれば、膝の上に座ってきたり、命令すら可愛いものがある。俺はそのギャップが好きで少し前に側近居なくなって交代したんだよ 」

「 ……バトラーの仕事は嫌じゃないのか? 」

「 きたねぇな、って思うけど……それだけじゃん?さっさと片付けて休憩中にイチャつける特権はある 」

 イチャつける、と断言する位にはそれが目的なんだろ
 だが、清々しいためにルイスに対して嫌な気は一切無くて、逆にその考え方も有るんだなと思う

「 そういうもんか……ギャップな…… 」

「 李津さんは興奮してる顔が好きみたいだけど、無防備な時な彼女は嫌い? 」

「 無防備……か……俺が余裕無いからな…… 」

「 そっか、まだまだ未熟だ 」

 きっと無防備な時もあるのだろうが、直ぐにSへと切り替わるのを知ってるから、それに余裕が無くなる
 俺は根っからのMかも知れないと、次の串カツを食べては、彼は言葉を続けた

「 俺もよく、股間蹴られたり弄られて勃起はするけど、それは条件反射だし……楽しそうにしてるエリを見てる方がいい。李津さんと似てるよ 」

「 楽しそうな顔か? 」

「 そそ、結構女王様ってもう御客様には仕事として与えるから飽きてるんだよね。でも、自分が好きなときに弄って、興奮してると、あーこの子はさっきの客では出来なかったのとをしたかったんだーって思う。だから特権 」

「 なるほどな…… 」

 縄の結びかたを別のがしたかった、でも出来なかったからバトラーにやってみる  
 他にも鞭じゃ飽きたから、別のSMプレイをしたいからちょっとだけバトラーを相手にする
 
 その客にはしなかった事を自分にされて、喜ぶルイスの言葉は共感が出来る

「 あ、だが……嫉妬はしないのか? 」

「 正直、しない方が可笑しいでしょ。すっごくするよ。エリのこと大好きだし……でも……俺の前で笑ってくれるだけで癒される……だから俺は、ドMなんて言われるんだ…… 」

 溜め息を吐いた彼は、ビールを煽り飲み干せば追加で頼み、メニューも次のを注文した

 嫉妬をするってことは、そうなんだろうな……

「 恋愛感情として、好きなのか? 」

「 うん、否定しない。でも、告白はしてない、したら今の関係が崩れるから……それだと側近になった意味がない。俺は傍に居られる側近が好き 」

 側近になるには、バトラーの中でも其なりに上位にいる必要があるのだろ
 掃除を余りせず、後輩に任せれるぐらいになるためには努力が必要だ
 それにナンバーワンのエリ女王様の傍にいる事が出来る奴は限られてるらしい

 告白せずに、今の関係を続けてるルイスに尊敬する
 それに比べて、俺は妬いて大人気なく会えてないのだから……

「 そうか……彼奴に恋人が出来たらどうする? 」

「 出来た時も知ってる。でも長続きしないから、慰める時が好きだから別にいい。エリは絶対に仕事を辞めないから 」

「 何故だ? 」

「 そりゃ天職だからだよ。それに、彼女は親に半分は仕送りしてるらしいし、邸宅かな?買ったばかりだからローンが~とか言ってたよ、辞めれないでしょ 」

「 まぁ、それは……分かる気はする 」

 あの邸宅はやっぱりローンだったか、そんな気はしてたが、払い終わるまで辞めれないってのも辛いな
 
 結構、サラッと話してくれる彼に何となく聞いてみた

「 本名は知ってるのか? 」 

「 エリの?ははっ、恵里えりだよ。恵みの里って書いて、エリ。だから変わらない 」

「 あ、そうだったのか? 」

「 うん、セバスチャンが渾名を決めるのが怠かったらしい 」

 恵里、発音はカタカナっぽくないで恵里なんだろうが、それだけ知れたことに少しだけ嬉しくなった
 なら、呼んでと言ってたのは本名だったからか……

「 そんな理由か。他の人は自分の希望とか渾名だけど、エリはずーと本名。だから逆に日頃も隠さない、あのSっ気の雰囲気をね 」

「 私服な…… 」

「 そそ、エロいよねぇ。ナイスバディー 」

 隠さないってのは遊園地でも、車や部屋を見て分かる
 Sっ気があるからこそ、集まってる物もSM道具の物ばかりなんだろ
 性質から変わらないエリの態度が唯一変わる時が、疲れてるときだけと聞くなら
 俺は少しだけ、それを見たくなる……
 バトラーに向ける甘えと言うのを……

「 スタイルはいいな 」

「 あの腰を掴んで、腰を振るのが好き。あー、俺はヤったことあるからさ 」

「 性行為か? 」

「 うん、まぁ……誘われないとヤらないけどねぇ~ 」

 性行為をしたことある、と言われたのに嫉妬しないのは何故だろうか
 其よりも自分が出来なかった事が出来たのか気になり、興味が湧く

「 ……イかせること出来るのか? 」

「 ふはっ、そりゃエリも女の子だよ?イくし、潮吹きをするよ。あ、もしかして……性行為したけどSっ気に負けたの? 」

「 ……まぁ、そうだな……負けて、イカされまくった方だ 」

 年下とは気にならず、単純に負けたことに素直に頷けばルイスは軽く笑っては肩を震わせ口元に手を当て声を殺して笑う

「 そんなに、可笑しいか? 」

「 フフッ……あー、だからねぇ。いや~、最近……エリが"私は不感症かも  "なんて言って誘ってきた原因が分かったよ。君だね…… 」

「 そんな相談されて…… 」

「 大丈夫、エリは不感症じゃないよ。多分……君のMっ気を優先したんだろうね……あの子、優しいから 」

 仕事モードに入ったから俺を犯すことを許したのか、なんと言うか……申し訳無いことをしてたのに、喜んでた自分が馬鹿らしくなり溜め息は漏れる

「 はぁ……どうしたらいいんだ…… 」

「 エリちゃんはSだけど、君がSっ気に勝てばいいんだよ。それとも3Pやってみる? 」

「 は、3P? 」

「 そそ、エリちゃんをホテルに呼んで。俺がいい雰囲気にするから、交代するとか……楽しそうじゃん。恵里を好きな男が1人を愛し合うって 」

  3人でセックスをするのか、それも恵里には告げること無くホテルに呼ぶ
 それは犯すみたいで良くないんじゃないかって疑問になるも、俺もダメな男の1人

 最初は否定していたが、ルイスの誘いに頷いてしまった

「 其なりに道具は持っていくよ。連絡先教えて、いい時に連絡する 」

「 嗚呼、分かった 」

 ルイスと繋がりがあって、3Pに協力したと知れば嫌われたりしないだろうか
 もし、嫌われたなら俺は立ち直れない気がする……

 弱気になるのは情けないと思い、その日は酔わないが酒を多く飲みタクシーで家に帰った

 それから4日後、エリがラブホテルに行くことを許可したらしく俺は、仕事が終わってから指定された場所に向かった

 先にいい雰囲気を作ってから、俺を呼ぶらしいが
 
 ……それで本当にいいのかずっと悩んでいた
 
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