転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

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二章 宝物捜索 編

06

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クララと共戦なんてして来なかった

なのに、何故か…
ずっと前から、何度も共に戦っていたと思うぐらい…
身体を使う、所有権の切り替えが容易く出来るんだ

時間を戻してるから?
何度も…此のコピーと戦ってるから?

違う…
きっと、クララの中にある" 魂 "が、
俺の知る…誰かのものだからだろう

その" 誰か "が、思い出せない事に、胸の中に靄が出来るけど…
それを考えてる暇は無い

『 複合魔法…!風雷咆ふうらいほう!! 』

後ろに飛ばされるタイミングで、風属性に雷が混じった竜巻状の咆哮を放てば、コピーは片手を軽く振る程度で壁を作り、防いだ

『 地鳴剣山華じめいけんざんか!! 」

それを見越して、足元から地属性の剣山を華の様に無数に咲かせて攻撃するも、簡単に跳んで交わされる

「( デカい魔法を使ったところで、隙が多いだけだぞ!っ……! )」

『 わかっ、てるけど……!! 』

此のクララとの融合魔法は、タイムリミットが存在するのを察した

攻撃をする度に、いつも異常に力が抜け落ちて行く感覚がするし、動きも悪くなる

きっと、俺よりクララの方が負担が大きいからこそ、早めに決着つけなきゃいけないのだろうけど…

「 ………… 」

『 また…あれか!! 』

上空に浮遊しているコピーが、片手を振った事に全ての魔法を防御に集中して、全身を覆い隠す壁を作り出すと、何千本とも言えないぐらいの光の剣が降り注ぐ

『 ッ……!!ぐ、ッ…! 』

「( 黒魔鏡こくまきょうに入っている、ダグマールが使っていた…神之裁しんばつだ…… )」

『( あの、海兵…こんな魔法持ってるなら、あの時…手加減してたのかよ!? )』

「( そりゃな…。例え威力は違えど、彼奴も俺達の船を沈めることぐらい出来ただろうが…。どんな結果だろうが、兄弟の縁は切りたくなかったんだろうな )」

攻撃を防ぎながら、意識の中でクララが言った言葉に、
俺がとどめを刺そうとした時に、止めた理由を知った

お互いに海兵と海賊だろうとも、兄弟である事には変わりないし、心の底からは嫌いにはなれないのだろう

それならそうと…
言ってくれりゃ、あんなに痛めつけなかったのにな…
まぁ、相手は兄だから手加減してくれ…とは、
クララは言わないだろうな

『 ッ…こっちは、詠唱時間が必要なんだよ!!三重魔法…神神天雷ししてんらい… 千光獣せんこうじゅう!! 』

「 …… 」

壁を作ってる中で、次の魔法を発動させた

今度は雷を纏った狼が、光の矢のように敵へと四方八方から突っ込んで、身体を貫く攻撃だが…

俺が詠唱してる間に、防御特化させたコピーに
傷一つ付ける事は出来ない

『 はぁ、ッ……はぁっ……! 』

複合魔法や三重魔法は、自分の得意以外の魔法も複雑に組み合わせて使うから、普段の倍は疲れる

冷や汗を流し、地面に片手を付いてしまうと、意識はクララへと切り替わり、俺の代わりに攻撃を避けてくれた

「 ッ……!此奴…前回より、強くなってやがる 」

『( そんなの…ありかよ… )』

「 時間を戻す度に、御前は記憶を無くしてるが…此の敵だけは、毎回…前回を超えてくるんだ。使える魔法は同じとは言えど、俺達の動きや能力を把握し切っている 」

攻撃を避けたクララは、地上を走りながら詠唱が必要ない氷属性の魔法を、何度もコピーに向けて放ち、
コピーがそれを防ぎながら次の攻撃を仕掛けるのに合わせて、詠唱が必要な魔法を使う

「 氷縛楼ひょうばくろう…」

氷の蔓と当時に、巨大な檻が現れてコピーを捉えようとするとコピーは、大きく片手を振って、
それを風刃ふうはで切り刻むように砕いく

粉になった氷を良いことに、クララは複合魔法を使う

「 千針裂華せんぼんさっか……闇縫やみぬい 」

「 ! 」

破片になった氷が全て針みたいになって、それ等を闇属性の黒い影が糸の役割を行い、繋ぎ合わせて、コピーを捕らえることに成功した

「 三重複合魔法…神狼闇炎しんこやえん…。爆爆演劇撃ばばくえんげき 」

それと同士に、闇属性の狼達は爆弾の如くコピーに突っ込んで、爆破していく

さっきやった魔法よりも、遥かに爆破回数が多かった

「 チッ……この程度じゃだめか 」

『( 嘘だろ…… )』

あんな爆弾なんて食らったら、身体がバラバラになっても可笑しくないのに、煙の中から姿を見せたコピーは、全身を黒い鎧に覆われていた

狼の顔すらも隠した鎧は、傷一つない

驚いてる俺達を余所に、コピーは身体に巻き付く闇属性の糸を黒い炎で燃やし切ると、片手を動かした

「 ッ……!!! 」

『( くッ、ら…らっ…!! )』

その瞬間、黒い線がこの肉体の横腹を貫く

クララと同時に感じた痛みで、地面へと倒れると彼は、腹部に出来た風穴部分に片手を当て、再生が遅いことに気付く

流れ出る鮮血が、地面に血溜まりを作る

「 はっ……。俺の、力が…底をついた…… 」

『 ッ、クララ!!! 』

瞬く間に、俺達の体は二つに分かれ
腹部に風穴が出来たクララは、その場で倒れて、傷がなかった俺は、彼の背中に触れ片腕を首後ろに回して、抱き寄せては攻撃を避けた

「 俺を、守りながらは、不可能だ…… 」

『 だとしても…主を放置して、戦えるかよ! 』

「 ……ふっ、俺が…死んでも……御前は、故郷に帰る…だけだろ…… 」

鼻先で笑ったクララに、俺は地面に降り立ってから、お互いに隠す程の地属性の防御を作って、
表に複数の黒魔鏡こくまきょうを創り出し、
攻撃を受け止めて、周りに放出することで時間稼ぎを行う

『 そう、だけど……!! 』 

「 なら……もう、諦めろ… 」

『 そんな…嫌に決まってんだろ!? 』

座り込んで、壁に背をつけたクララは、傷が塞がる様子は無く、血は流れ続けていた
流石の魔人も、魔力を失った状態での…
此の致命傷は良くないと、本能が察して焦りが生まれる

「 ……例え、宝の部屋に行ったところで…御前は、また…時間を戻すことを、選択するだろうからな… 」

『 それは…… 』

「 …俺はもう…懲り懲りだ…… 」

『 なっ……… 』

クララは、そっと俺の肩口へと額を預けるように凭れかかって来た

少し驚いていると、彼は青褪めた顔をしたまま小さな声で、言葉を続ける

「 …どんなに御前に…嫌われようと、努力しても…。結局御前は…俺を知ろうとして、時間を戻す…… 」

『 ッ…主人の、本心を気持ちを…知りたいと思うのは、聖獣なら…普通だろ!? 』

「 ……違うな、聖獣は…御前ほど…主に、干渉しない…。なのに御前は……どんな俺でも、知ろうとする……。好意を持つ…。それが、心底、嬉しかったんだ…… 」

『 っ………!! 』

鼻先が痛む感覚に、彼の服を握り締めては髪へと頬を押し当てた

「 …どんな聖獣より、優れた者と言う意味を持つ……アルトマン……俺は……御前を、ずっと…愛していた… 」

『 ッ…ふざ、けんな……まだ、負けてない…!勝って…願いを叶えるんだろ!?人間に…なりたいんだろ!?その願いを叶えるために…ここまで来たんじゃないのかよ!? 』

「 違うな……。それは只の口実だ…。俺は、御前の為に…願いを使っていた…御前が、俺の為に…使うように…… 」

俺の身体に触れたクララは、血のついた手で、
頬に触れて目線を重ねてきた

こんなにも弱々しい…けれど、優しい瞳を向けてきた表情に…

酷く胸が、苦しい…

「 次の願いは…御前が失った、一番大切なものを、取り戻す事に使おうとした…。だが…それも、叶えられないな… 」

『 俺の事より…自分の為に、使ってくれよ…… 』

壊れていく防御壁に、光が差し込めば、クララは立ち上がって、コピーの方へと視線を向けた

「 …魔人である俺を、それで良いと…そのままでいいと笑ってくれた御前に…。今更人間になりたいなんて…願うわけ無いだろう… 」

『 もぅ……止めてくれ……。願いを…叶えてくれ… 』

誰も……

もう俺の為に……

命を投げ出さないでくれよ…

「 アルト…命令だ。俺の魔人としての力を全てやる。此のコピーを倒せ。今後来る…夢を求める者達にとって、此奴は強敵過ぎる 」

『 ッ………!! 』

「 殺れ、アルト 」

涙は溢れ落ちた

俺がどんなに拒んだところで、
主の命令には逆らう事は出来ない

それが特に

命を懸けた命令なら…

尚の事……


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