転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

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二章 宝物捜索 編

07

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如何やって倒したかも覚えてないまま、
開かれた扉の向こうを歩きながら…

血だらけのボロボロのクララを担いで、
泣きながら歩いていた……

「 よく……やっ、たな……。流石、俺の……聖獣だ…… 」

『 もう…喋らないでくれ……。傷を治してもらう…… 』

彼の身体には、幾つもの亀裂が走り、身体のあちこちから血を流していた
皮膚は捲れながら灰へと変わっていく

「 ……アルト、最後に…頼みがある…… 」

『 なんだよ……… 』

「 俺の、名を…覚えていたら、言ってほしい…… 」

『 ッ…クラウド、クラウドだろ。そんなの、知ってる…! 』

「 ……やっぱり、お前には……クララって、呼ばれる方が… 」

僅かに言いかけた言葉を発する寸前には、
背中の重みは突然と消えて、軽くなった

その感覚に、押し殺していた感情は隠すことが出来なくて、大声で声を張っていた

『 あ"ぁぁぁつ!!!!! 』

如何して…
俺は、いつも大切な人達を失うのだろうか…
 
涙を拭いて、残す時間があるまま、
残りの通路を走り切って、扉を開いた…

『 ッ……頼みがある!!お願いだ!!主を…クララとの時間を…… 』

「 それは出来ないよ。コウガ 」

黄金に輝くドラゴンの姿をした聖獣は、俺が来ることを見越してたように、財宝の山の中から姿を見せた

『 なん、で…… 』

「 君の大切な主が、願ったじゃない。もう…時間戻して欲しくないって、君の最後の贈り物を上げたかったと… 」

『 そんなの、俺は…ッ…俺が望んでない!! 』

「 んん、これは…君の望みだよ。主の本心が知りたいと…時間を戻していた君の望みは、叶えられた。だからもう…宝探しは終わり。君の宝は…これだよ 」

『 っ………これは…… 』

クララの本心…
それは、本当はずっと愛していた…と言うことなのだろうか

黄金の聖獣が、片手に浮遊した物を向けてくると、それは俺の方へとやって来て、目の前に光り輝いた球体のようなものだった

「 君がずっと探し求めていたもの…そして、彼が、最後に与えたかったものだよ 」

『 俺は…これを知ってる気がする…… 』

「 そう、だから…持ち主に返すよ。此処の財宝は…本来、持ち主に返す為に僕が守ってるんだからさ 」

『 !!! 』

そう言った聖獣の言葉と共に、丸い光は俺の腹部へと入って来た

一瞬、驚いたけれど…
お腹に感じる感覚に、不思議とおかえりって思ったんだ

その温もりを感じて、自然と涙は零れ落ちていた

「 それを今後…如何するかは君次第。さて…、神の庭ディヴァインガーデンへ帰る時間だ。コウガ、魂は巡る。彼にも…きっとまた会えるよ…形は違えど…何処かで、きっとまた… 」

『 ……分かった…。ありがとう、ロッサ 』

「 ふふっ。いいよぉ、友達だもん 」

黄金を守る…ファフニール
それは昔、少しだけ遊んだ事のある、
赤いドラゴンの幼体の姿をしていた、
聖獣…ロッサ

彼は、勇者の願いを叶える為に…
聖獣としてではなく、守護竜としてこのダンジョン内に居座る事を決めたのだろう

羨ましいと、ほんの少しだけ思った

愛する主の為に…
その願いを何百年、何千年と叶え続ける
そんな一途な思いを持つことを…

きっとロッサの主は、
とても良い人だったんだろうな…

『( クララも良い人だった…。デルやクルーに、お別れを伝えられてないな…。でも、仕方ないよな…俺は、聖獣。主が死んだら…元居た場所…、神の庭ディヴァインガーデンに戻るしかできないんだから…… )…ロッサ!!一つだけ、願いではなく…頼みがある!! 』

いつしか見た魔法陣が足元に発動すると、俺は風魔法を発動して、言葉を乗せたそれをロッサへと送ると、彼は尻尾で受け取った

『 その言伝を、主の仲間に伝えて欲しい!!これは、頼みだから! 』

「 はいはい、分かったよ。ちゃんと伝えとく 」

『 ありがとう!!! 』

笑顔を向けると、俺は魔法陣に包まれて、
懐かしいと思うような風が吹き抜けて、草花の揺れや聖獣の声に、奥歯を噛み締めた

『 ……もう少し、ちゃんと…別れとか言いたかったな… 』

俺の想いを、クララに伝え切ることは出来なかった…

中途半端過ぎると思うからこそ…
あの場に、帰りたいと思うんだ

「 おかえり、コウガ。そして…おめでとう 」

『 !!……ライフ… 』

聞き慣れた声に顔を上げると、其処には柔らかく微笑んだ

命を司る神…ライフの姿があった

「 上級聖獣になっておるな 」

『 え、俺が……上級?あ… 』

そう言えば、クララが…" 俺が上級にしてやる "と
豪語してた事を思い出して、その言葉の意味に胸は痛む

『 ッ……… 』

「 新たに名が必要じゃの…。そうだなぁ~……、氷結の牙狼ペークシス•フェンリルを改め……ん?如何かしたのか? 」

俯いている俺に、ライフが不思議そうに問いかけて来た言葉に、胸元のシャツをきつく掴んで口を開く

『 …俺は…ずっと探してたものを手に入れたはずなのに……。大切な主を、また…失った…。それも…俺に与えてばかりで、俺からは…なにも、与えられなかった!! 』

「 本当にそうかの 」

『 …そうだよ!俺は、感情も、自我も、痛覚も、宝さえ貰ったのに…俺からは、クララに、何一つ上げれてない……。結局最後まで…頼りっぱなしだった…こんなのが…上級聖獣?あり得ない… 』

俺は使えない…聖獣でしかない
クララの方が強かった…

クララに闇属性の魔人としての力を貰わなければ、
自分のコピーすら倒せなかった…

そんな聖獣が、上級聖獣?あり得ない…
合っていいはずがない…

「 コウガ…御前はそう思うかも知れぬが…そやつは、御前から沢山のものを貰ったのではないか?だから、満足して逝ったのだろう 」

『 ……主を思う心なんて、幾らでも向ける… 』

「 それだけじゃ無いだろうがのぉ~ 」

『 ちょっと気晴らししてくる…。どうせ直ぐには、呼ばれないだろうから… 』

クララが感じていた負の感情を、俺の存在一つが癒えたわけでは無いだろう

それでも……

俺が居て良かったと、思ってくれるのだろうか…?

ライフから離れて歩こうとすると、彼は問い掛けて来た

「 おや、あやつの所には行かなくて良いのか? 」

『 あやつ?誰の事? 』

「 嗚呼……。そうか……いや、私から言えることは何もない。だが、向こうの山の方が気晴らしにはなるだろう。行ってみると良い 」

『 向こうの山?分かった… 』

左の方を指差したライフに、何か気晴らしになるものがあるのかと疑問に思い、行く宛など考えてなかったから、そっちに足を向ける事にした

人の姿で、此の神の庭ディヴァインガーデンを歩くのも珍しいなって思う

「 あ、貴様!!! 」

『 ん? 』

急に聞こえてきた声に顔を上げると、其処には青く透き通った狼が現れ、その身体は水のように揺らいでいる

凄く…見覚えがあった

『 あー……あの海兵の元にいた、聖獣か! 』

「 聖獣か!じゃないわ!!此の薄情者!! 」

思い出した!とばかりに軽く笑えば、
狼はそのままの姿で、俺の方へとズカズカと歩いてくると、数歩前で立ち止まった

「 …貴方もここにいるってことは、あの弟さん…死んだのね 」

『 …………そうだな 』

もっと怒るかと思っていたけど、水みたいな狼は目線を空への方へと向ける

「 そう…なんかどうでも良くなっちゃった 」

『 なんでだよ…。俺を恨んでるんじゃないのか? 』

「 そりゃ…一方的にヤられたのは気に入らないけど…。その程度の召喚士だったと言うことでしょう? 」

『 その程度……御前は、あの海兵を気に入ってたんじゃないのか? 』

何を言ってんだ…とばかりに、少し驚いた顔を向けると、狼は水の毛並みを揺らし、傾げてきた

「 主としてはまともに相手してくれるから気に入ってたわ。でも、死んだらそれまでよ。聖獣は、強くなる為に召喚獣として力を貸すの。強くなれない召喚士に、どうして気に掛ける必要があるの?。何十回…何百回と召喚される中の、たった一人じゃない 」

『 ッ……確かに、力だけを求める召喚士も居るかもしれないけど…それでも、死ぬまで共にするパートナーじゃないか 』

「 そう思うなんて、貴方…やっぱり変ね。貴方の主が、上級にさせてくれたならいいじゃない。主に恵まれてるのね、羨ましい 」

『 っ……何一つ、いい事なんて無い… 』

俺は…俺の主に、召喚獣としてまともに力を貸せてはない

頼られてるのに、肝心な時に役立たずで…
それなのに餌だけはいっちょ前に沢山貰って、
腹一杯食ってるだけ…

「 でも、貴方…最上級ランクでもないのに、神力を使うようになったようね?それこそ、恵まれてるわ 」

『 ……望んでない。俺はまだ…上級聖獣なんて、言われるような聖獣じゃない… 』

此の狼と話していても、自分が惨めで情けなくなるから、逃げるようにその場を離れようと歩き出した

「 今は、そう思うかも知れないけど…。貴方は、紛れもなく上級聖獣よ。って…聞く耳なし!?ほんっと、薄情なんだから! 」

『( 俺は…役に立たない聖獣だ……。聖獣って、召喚獣ってもっと…役に立つものじゃないのか… )』

あの時使った魔法の数々が、嘘のように…

自分で使ったように思えないのは、
クララと融合してたからだろうか…

『 そう言えば、今の俺って…召喚士の稼がないんだよな。どこまで出来るんだろうか……複合魔法…三重魔法… 』

不意に自分の手を見て、神力を使う事に意識を向けては、特大魔法を放った

『 ………闇海やかい 』

「「 !!!! 」」

辺りの木々や草葉は一気に枯れて、広大な土地は一瞬にして、全てを失った

神の庭ディヴァインガーデンが、闇に覆われて黒く染まり、聖獣達は騒ぎ始めたけれど…

俺は、気にも止めなかった

それよりも…

『 闇属性魔法が…前よりずっと使いやすくなってる…。主の、お陰だな… 』

この力は…

クララの力

俺のじゃない………


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