4 / 276
一章 聖獣への道のり編
02
しおりを挟む真っ暗で何も見えない、聞こえない
寒さも感じない感覚なのに
不思議な程に、気持ちはとても落ち着いてる
海へと落ちて最後まで聞こえていた鼓動は
今は全く感じれない
なのに俺は生きてるのか……?
「 随分と面白い迷える子羊が来たもんだ 」
『( 誰だ? )』
急に聞こえた来た声は若い青年の様に聞こえるが、少しだけお年寄りの様な口調すら混じる
若作りなのか、老けてるのか声だけでは分からないが今は、その声すら一人ではないことに安心感すら感じる
「 私はせいの神だよ 」
『( 性の神? )』
「 いや、命を司る生の神だ。性の神と一緒にされたくはない 」
聞こえ辛いんだ、許して欲しい
其にしても自分で喋ってる感じはしないのに、思ったことは伝わるらしい
命を司る生の神なんて、意味の分からない事を言われても頭に疑問符が浮かぶだけ
四体全て有るのかも微妙だが、俺の中で頭の上と言うことにしとこう
『( それで、生の神が何のようだ? )』
思考が回らない中で深く考えたくは無いし、この声の主をスルーしても仕方無いから
取り敢えず聞けば、青年の声をした相手は笑ったように声のトーンが高くなった
「 よく聞いてくれた!今、丁度新しい命を創るところだったんだが、中々いいアイデアが無くてな…… 」
『( ……ん? )』
新しい命を創る?
なんだ、その粘土を弄ってる時に呟きそうな芸術家の言葉はって疑問になっていれば
辺りの暗闇は一瞬で晴れた
『( !! )』
「 そこで御前に意見を聞こうと思ってたところだ 」
暗い中にいて、急に明るい場所へと出れば
目が眩むように、有るかも分からない瞼を閉じては徐々に明るさへと慣らしていく
声の主へと言葉を返すより先に、俺が会話していた青年の姿を見る
『( 真っ白だ…… )』
「 ふむ、真っ白が好きか…… 」
いや、そうじゃなくて声の主の髪も肌も服すら真っ白だと言いたかったのだが……
この青年は、横髪は長く後ろ髪は短い白髪を密かに揺らし、指先が露になる白手袋を両手に嵌め
俺の予想通りに粘土のような物を弄っていた
けれど、それは直接揉んだり引っ張ったりして作るのではなく、両手から浮いてるように見える
「 猫は好きか? 」
『( いや、そんなに…… )』
「 猫は嫌いか、なら馬はどうだ?蛇とかは? 」
『( いや…… )』
「 迷える子羊よ、御前は可愛いげがないな 」
『( 悪かったな…… )』
可愛いげがないって、猫の後に馬やら蛇やら言われてもピンとは来ないだろ
それに動物は昔から余り好きではない
人間に飼われてるペットも動物園も水族館も、人のエゴで生き物を飼育してる事すら好きじゃないんだ
生まれた瞬間から自由を奪われて、生きていく生き物の気持ちは理解できない
其なのに飼い主と楽しげに過ごしてる猫や犬は尚更だ
「 ……… 」
俺が考え込んだ事で、青年の視線が此方へと向いてる事に気付く
良く見れば顔立ちは、芸能人やモデルより整っていて
日本人離れした外国人のように鼻筋は細く、輪郭もシャープで小顔だ
映画等で見る魔法使いを思わせる、黒いドレスローブではなく装飾すらされた真っ白なドレスローブは足首を隠すほど
僅かに見える両手の手首には光る宝石の付いたブレスレットがあり、首には似たネックレスが二重で着けている
都会のコスプレかと思うほどに、この人からは平凡な大学生とは比べられない、雰囲気がある
睫毛すら真っ白で目は月のように銀色だ
「 嫌いな事はあるか? 」
『( 嫌いな事? )』
「 そう、思い付く限り上げるとよい 」
こんな人間がこの世にいるのかと
男相手に見惚れていた俺は、聞かれた問いに反応が遅れ、同じ言葉を繰り返した
『( 嫌いな事…… )』
赤の他人に嫌いな事、詰まり弱点を言うのはどうかしてると思うのだが
この何もかも見透かすような瞳を見れば自然と言葉は出ている
初対面なのに、警戒心すら何処か消え去るほどに綺麗な青年だからだろ
口調は相変わらず年寄りっぽいが………
『( 寒いが苦手だ……寒いぐらいなら着込む…… )』
「 ほぅ、フカフカの毛皮がいいとな 」
そんな獣の死体を羽織るような毛皮は欲しくはないが、厚手のコートは確かに欲しい
さっきももう少し、着込めば良かったと思うほどだからな
「 他には? 」
『( 一人なのは嫌だな )』
一人っ子だったからこそ、兄弟に憧れた
両親が共働きで常に家にいなかったこそ、祖父や祖母と遊ぶことが好きだったし
近所の子供といつも一緒にいた
だが、やっぱり帰るときに一人は何処か寂しさがあった
彼女に依存して" 見た目より重い "と言われてフラれたことを思い出し胸が痛む
『( もし、来世は……兄弟とかいるといいなって思うことはあった )』
何故か呟いた俺に、青年は密かに口角を上げた
「 寂しがり屋の御前にはぴったりな生を思い付いた 」
寂しがり屋、二十歳過ぎて言われたら否定すら出来ないと内心笑えば
青年の手に平にある粘土は様々な方向に動いていく
21
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる