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一章 聖獣への道のり編
08
しおりを挟む話は何となく読めてきたし、理解は出来るのだが
だからと言って俺が最強クラスの素質があるようには思えなかった
『 俺は生まれたてなのに最強クラスなのか?どうやってデカくなるか分からないのに……』
「 御前を召喚出来る奴の側にいればその魔力は自然と流れ込み、そいつが死ぬまでにはある程度、勝手に成長するんだが…召喚された経験は? 」
『 ……生まれて直ぐに、幼い少年に召喚されたらしい 』
「 此処に居るってことは、そいつは死んだか 」
ノアの最後の姿を思い出せば、俺が殺したのも同然だ
俺を召喚しなければ死ぬことは無かった筈、だが無意識にモブ王子が画いて、誰も現れなかった魔方陣をノアが発動させて
そして俺が現れたのなら、彼にとってその時点で不幸だろ
既に死んだ今、何を思ってるのかは分からないが……
死んだか、とサラッと告げたフェンリルに俺の視線は足元へと落ちた
『 あぁ…… 』
「 なら待てばいいだけだ 」
『 待つ? 』
「 聖獣を召喚できる人間は決まってる。それはつまり、同じ魂ってことだ 」
『 同じ魂? 』
よく分からないと顔を上げて首を捻れば
フェンリルは軽く頷き口角を上げる
「 魂は廻る。性格や容姿は違っても刻まれた魂は同じもの。この神の庭に" 時間 "は存在しないが人間の世界は、今、この瞬間でも数日と過ぎてるもんだ 」
『 んー…他の聖獣が言ってた、召喚できる人間の波長が毎回同じって、魂が同じってことか 』
「 そう言うことだ 」
聖獣が五十頭居るように、召喚できる人もまた五十人って事になるのか
だが、その中でも百年の内に二十人程度が召喚師になるとするなら
モブ王子の様に強欲に身を任せて召喚した者が現れれば世界は終わりそうだな
『 じゃ、俺が次に会うのは。ノアと同じ魂ってことか? 』
「 ノア?まぁ、御前を召喚できた奴なら、同じ魂だな。人間は前世の記憶を忘れるがな、死ぬことのない俺達、聖獣は覚えている 」
レイヴンが呼ばれたくないと言ってたのは、同じ魂の主に、何度も何度もコキ使われて同じように馬扱いされるから困ってるのだろう
嫌がれないのも納得できるかも知れない
そしてロッサが何百人と変わっても覚えてると言ってたのも、魂が同じだから
結局、一人と知ってるからどんな姿でも会えば受け入れるのだろ
『 ん、待てよ……。死ぬことのない聖獣なら、俺は五十一頭目にならないか?増えないんだろ? 』
一定の数が決まってると言われ、召喚師が誰なのかも納得はしたが
俺が生まれた意味がまた分からないと問えば、彼の表情は暗くなり眉間にシワを寄せた
「 死ぬことのない聖獣だが、消えることはある 」
『 消える?なんでだ? 』
聞いてはいけない気もするが、興味は止められない
此処まで聞いたからには知りたいと、見詰めていれば彼は座っていた姿勢から立ち
ゆっくりと歩き始めた、俺もまたその横をついていく
「 神に背き罪を犯せば、消える。召喚主と共に… 」
『 罪…… 』
「 神が造り出した人間と聖獣、どちらも神が決めれば簡単に消える。死んだら魂は繋がるが、消滅したなら二度と生まれてくることはない 」
話ながら洞窟の外へと出れば
そこはいつの間にか明るい昼間になっていた
寝ては無いのに夜は無くなり、眩しいほどの昼になってるのを見ると
この世界に時間も朝も夜も適当なんだと知る
神の庭だからこそ、あの人が好き勝手にしてるのだろ
無慈悲だと思っていたが、此処までとは……
「 人間の世界で言うなら二百年前、勇者は最強クラスの聖獣を使って世界を壊したんだ。俺はその場にいた 」
『 えっ? 』
洞窟の外に出て、崖を登っていくフェンリルに必死に着いていきながら
ふっと告げた言葉に気を取られれば、足元は崩れた
『 !! 』
「 数千年に一度と言われていた。最強クラスが四頭、その時代に召喚されたのだからな 」
" ブリザードが戻ってきてるから "
" 向こうは火山か……彼処にも居そうだな "
" 帰ってきてると聞いたんだが…… "
此処に来るまでに三頭帰ってきてることを聞いた
そして俺も思っていたのだが、それが目の前にいる奴なんて……
俺の目指す最高クラスが、まさかこのフェンリル!?
落ちる前に咥えられた俺は、そのまま宙ぶらりんになったまま、フェンリルに連れられ崖の上に行き
森の方へと入って行く
4
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