転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

文字の大きさ
25 / 276
一章 聖獣への道のり編

11

しおりを挟む

「 俺は二十八歳位で戦死だったぜ。軍に所属していた 」

兵士だったと告げた彼もまた、俺がいた、世界に住んでいた住民と聞いて驚いた

戦死って事は俺が生まれるよりずっと前なのだろうが、それは当たってたようで
彼は第二次世界大戦の最前線にいたと言う
なら聖獣のフェンリルになっても、戦争を経験するのは嫌なのではないのか

『 戦争は嫌いか? 』

「 いや、誰かの為に戦うことは嫌いじゃねぇ。俺の力が必要なら貸すだけだ 」

『 ブランシュはずっと、戦士なんだな 』

「 俺の魂に刻まれてんだろ、ほら。果物食って我慢しろ 」

森を歩きながら果実を見付けたブランシュは木に体当たりをし、果実を落とせば俺の前へと転がしてきた
林檎に見えるようなオレンジにも見えるような丸い果実は見たことない
食べれるフリでも出来るなら十分かと、匂いを嗅いでから柑橘系だと知り皮ごと囓ってみる

『 ありがとう、いただきます…… 』

魂に刻まれる戦士としての記憶
なら俺の魂には何が刻まれてるのだろうか
本能のままに、なんて羽毛馬に言われたのが頭に過るが
その本能が未だに分かってない

『 ん、匂いは蜜柑っぽいのに味が無い! 』

「 ……この世界で何かを食う奴を初めて見た 」

『 食ってみるか? 』

「 いらねぇよ。必要ない 」

呆然と見ていたブランシュに梨を向けてみたが、彼は顔を背けてから少し、離れて歩き出した

何処に行くのかは知らないが離れるなら都合がいいと伏せになり、両手で梨っぽい歯応えの果物を押さえては食べていく

いい音を立て、小さい歯で食べていくも周りだけ削れていく程度で、中央の固い部分に歯は届かない

其にしても聖獣が飯を食わないってそういうことか、まるで水の固まりを食べてるように
この梨みたいな感触のは" 味 "がない

『 んー!歯が折れそう…… 』

「 食ったか?って、なにやってんだ…… 」

『 ンガァ? 』

あ、戻ってきたと思った事に内心驚くも
彼の方が驚いていた
そりゃ梨に歯が突き刺さって抜けなくなってるのを見れば驚くだろ

『 クーン…( 砕けなくて… )』

「 クソガキ…… 」

ちりんくりんの後はクソガキ?
後で噛み付くの決定だなと思って確信していれば
ブランシュは口で梨を咥え、強引に俺の歯から引き抜き
地面に落とし、片手で梨を踏みつけた
ぐしゃっと砕けた梨を見て俺は血の気が引いた

『( 本気で踏まれたら俺はこの梨のように、頭が粉砕するんだな…… )』

さっき踏まれた時に凄く手加減されてた事に安心する
逆らうのを止めることを学び、放置して欲しいと願うことも学んだ

「 食え、まだデカいか?仕方ねぇな 」

『( 元人間って聞いた後だと複雑なんだが…… )』

本人は優しさだろうが、大きめの欠片を咬んで砕いて落としたことに
俺は男がやった、これを食うのかと少しばかり、いやかなり抵抗がある

だが食べろ、みたいな雰囲気のブランシュにやっぱりお腹いっぱいなんて言えず
ゆっくりと近づき果物の欠片を口にした

『( 案外、食べやすい…。うぅ、子犬だからだ……  )』

俺の身体が、歯が子犬ではなければこんなことをしなくて、自分で砕けるのにって悲しくなりながら果物を平らげた

「 世話のやけるクソガキだな 」

『( もう、食うの止めよう…… )』

空腹にならないなら、食べる真似事も必要ないし
果物を取る係も、砕いてくれる事をブランシュがする必要もない

最初の目的、空腹を忘れる努力をすることに決めた

『 そう言えばさっき、何処に行ってたんだ? 』

ちょっと食べてご機嫌の俺
ゆったりと歩くブランシュの後を掛け足で着いていきながら問えば、彼の顔は此方に向き
足は止まる

「 聞くのか? 」

『 聞いたらダメなこと? 』

寧ろダメだったのかと固まった俺に
ブランシュの視線は横へとズレた

一時的に離れ、何事もなく戻ってきた……

『 はっ!!分かった!トイレか!それを言えよー 』

「 ちげぇよ!食わねぇ、聖獣が排泄するわけねぇだろ 」

『 ……それもそうか 』

トイレかと思ってちょっと面白そうだったのに
正論で否定された事に耳は下がる
じゃ、なんだと視線を向ければブランシュの耳は左右に動いた
周りの音が気になるのか?と俺もまた耳を済ませてみた

風の音、川の流れる水の音、鼓動、呼吸
空を飛ぶ聖獣の羽の音……

『 神経質なのか? 』

「 食い殺していいよなぁ? 」

『 すみません…… 』

秒で謝った、もう本当にこの狼なら簡単に殺せることを知ったから素直に謝れば
彼は深く溜め息を吐き、答えた

「 寝床を忘れないようにマーキングしてた 」

『 トイレか! 』

「 御前なぁ~? 」

獣のマーキングって木に匂いを付けるってことしか想像できない俺は、もう少し獣の勉強してれば良かったと思った

しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...