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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む「 俺は二十八歳位で戦死だったぜ。軍に所属していた 」
兵士だったと告げた彼もまた、俺がいた、世界に住んでいた住民と聞いて驚いた
戦死って事は俺が生まれるよりずっと前なのだろうが、それは当たってたようで
彼は第二次世界大戦の最前線にいたと言う
なら聖獣のフェンリルになっても、戦争を経験するのは嫌なのではないのか
『 戦争は嫌いか? 』
「 いや、誰かの為に戦うことは嫌いじゃねぇ。俺の力が必要なら貸すだけだ 」
『 ブランシュはずっと、戦士なんだな 』
「 俺の魂に刻まれてんだろ、ほら。果物食って我慢しろ 」
森を歩きながら果実を見付けたブランシュは木に体当たりをし、果実を落とせば俺の前へと転がしてきた
林檎に見えるようなオレンジにも見えるような丸い果実は見たことない
食べれるフリでも出来るなら十分かと、匂いを嗅いでから柑橘系だと知り皮ごと囓ってみる
『 ありがとう、いただきます…… 』
魂に刻まれる戦士としての記憶
なら俺の魂には何が刻まれてるのだろうか
本能のままに、なんて羽毛馬に言われたのが頭に過るが
その本能が未だに分かってない
『 ん、匂いは蜜柑っぽいのに味が無い! 』
「 ……この世界で何かを食う奴を初めて見た 」
『 食ってみるか? 』
「 いらねぇよ。必要ない 」
呆然と見ていたブランシュに梨を向けてみたが、彼は顔を背けてから少し、離れて歩き出した
何処に行くのかは知らないが離れるなら都合がいいと伏せになり、両手で梨っぽい歯応えの果物を押さえては食べていく
いい音を立て、小さい歯で食べていくも周りだけ削れていく程度で、中央の固い部分に歯は届かない
其にしても聖獣が飯を食わないってそういうことか、まるで水の固まりを食べてるように
この梨みたいな感触のは" 味 "がない
『 んー!歯が折れそう…… 』
「 食ったか?って、なにやってんだ…… 」
『 ンガァ? 』
あ、戻ってきたと思った事に内心驚くも
彼の方が驚いていた
そりゃ梨に歯が突き刺さって抜けなくなってるのを見れば驚くだろ
『 クーン…( 砕けなくて… )』
「 クソガキ…… 」
ちりんくりんの後はクソガキ?
後で噛み付くの決定だなと思って確信していれば
ブランシュは口で梨を咥え、強引に俺の歯から引き抜き
地面に落とし、片手で梨を踏みつけた
ぐしゃっと砕けた梨を見て俺は血の気が引いた
『( 本気で踏まれたら俺はこの梨のように、頭が粉砕するんだな…… )』
さっき踏まれた時に凄く手加減されてた事に安心する
逆らうのを止めることを学び、放置して欲しいと願うことも学んだ
「 食え、まだデカいか?仕方ねぇな 」
『( 元人間って聞いた後だと複雑なんだが…… )』
本人は優しさだろうが、大きめの欠片を咬んで砕いて落としたことに
俺は男がやった、これを食うのかと少しばかり、いやかなり抵抗がある
だが食べろ、みたいな雰囲気のブランシュにやっぱりお腹いっぱいなんて言えず
ゆっくりと近づき果物の欠片を口にした
『( 案外、食べやすい…。うぅ、子犬だからだ…… )』
俺の身体が、歯が子犬ではなければこんなことをしなくて、自分で砕けるのにって悲しくなりながら果物を平らげた
「 世話のやけるクソガキだな 」
『( もう、食うの止めよう…… )』
空腹にならないなら、食べる真似事も必要ないし
果物を取る係も、砕いてくれる事をブランシュがする必要もない
最初の目的、空腹を忘れる努力をすることに決めた
『 そう言えばさっき、何処に行ってたんだ? 』
ちょっと食べてご機嫌の俺
ゆったりと歩くブランシュの後を掛け足で着いていきながら問えば、彼の顔は此方に向き
足は止まる
「 聞くのか? 」
『 聞いたらダメなこと? 』
寧ろダメだったのかと固まった俺に
ブランシュの視線は横へとズレた
一時的に離れ、何事もなく戻ってきた……
『 はっ!!分かった!トイレか!それを言えよー 』
「 ちげぇよ!食わねぇ、聖獣が排泄するわけねぇだろ 」
『 ……それもそうか 』
トイレかと思ってちょっと面白そうだったのに
正論で否定された事に耳は下がる
じゃ、なんだと視線を向ければブランシュの耳は左右に動いた
周りの音が気になるのか?と俺もまた耳を済ませてみた
風の音、川の流れる水の音、鼓動、呼吸
空を飛ぶ聖獣の羽の音……
『 神経質なのか? 』
「 食い殺していいよなぁ? 」
『 すみません…… 』
秒で謝った、もう本当にこの狼なら簡単に殺せることを知ったから素直に謝れば
彼は深く溜め息を吐き、答えた
「 寝床を忘れないようにマーキングしてた 」
『 トイレか! 』
「 御前なぁ~? 」
獣のマーキングって木に匂いを付けるってことしか想像できない俺は、もう少し獣の勉強してれば良かったと思った
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