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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む冷気によって酸素に含まれる水は凍り
黒い体毛に覆われた身体は、毛先の方から凍り付き
自らの額から背中にかけ氷の鎧を纏い、手足は氷となり冷たい凍結した地面を踏み締める
口から吐くのは冷気であり辺り全ての物が氷っていくのが意識的に感じる
『 ハァー…… 』
「 ロルフ、その姿…… 」
『 今なら分かる、何処まで氷らせればいいか。水の止まる流れも、覆い隠す雲も、全て俺の味方だ 』
ファルクが魔力を俺にくれたことで、一つ上へと上がったのが分かる
僅かな水の音すら聞こえ彼等の吐く息から漏れる水気すら、今は全て武器へと変えることが可能だと思う
「 そうか、ならまずは壁を作ろう。何処までも高くそして溶けない壁を!! 」
『 分かった!大地に張り巡らせた水脈よ、この力の糧となれ…… 』
氷った地面を割ること無く、地に眠る水脈は噴水のように空高くに噴き上げ
霧吹き状になった部分から凍り付き一枚の分厚い壁を作り上げる
「 ウルリヒ盗賊団は此処で待機!!ロルフ、壁の向こうに行くよ! 」
『 あぁっ!! 』
背へと跨がったファルクを連れ、氷の壁を登り
頂上へと辿り着くなり下へと飛び下りる
氷の手足は簡単に着地し、目についた氷を溶かすように広がっている業火を見れば、ファルクに合図をされ、魔法を使う
『 雨を、氷った氷柱と変わり果て他の敵へと貫け…流星氷狼!! 』
流れ星が落ちるように、雨が氷柱と変わり
敵の方へと向かって行けば
サラマンダーも似た魔法を向けてきた
向こうは魔法を唱えないから羨ましい
炎の固まりは氷柱の氷に当たり、溶かし蒸発していけば相性の悪さに奥歯を噛み締める
『 溶かされる…… 』
「 なら、溶かされる前に氷らせばいい。俺達なら出来るよ 」
そんな早業出来るか!と文句を言う前に、ファルクは俺の首辺りの毛を撫でれば
笑顔を浮かべた、その表情を見ればやれる気がして
意識を水へと向けていれば肌に感じる静電気に目を見開いた
「『 なっ!!? 』」
「 落雷天狼 」
真上に感じた雷の音は一瞬で、背後にある氷を砕いた
厚みのある氷はまるでガラスのように一ヶ所から全体にヒビが入れば、砕かれた場所から落ち水へと変わる
「 ロルフ、今のは……? 」
『 フィンレー以外あり得ない……そんな、まさか…… 』
俺は、雲に覆われた様に渦を巻く一ヶ所を見れば僅かに後ろへと下がった
視線の先を前へと向けた彼もまた言葉を失った
其処には俺が作った壁より大きな聖獣が
長い鎖を揺らし身体に纏うバチバチと鳴る静電気の音を立て、低く此方に向かって唸っていたのだ
本来のフィンレーの大きさよりも随分とでかいように見えるが、肌に感じる静電気と桁違の魔力の差に言葉は失う
「 リリアが指示を出さないと、聖獣は魔法を使えないはず……ロルフ?どうした? 」
『 この争いは、負ける…… 』
「 なんで? 」
『 フィンレーは……四大聖獣の一体。最高クラスの雷鳴の巨狼だからだ 』
地属性で有りながら、雷を持ち
大地と空を味方につけた雷獣だと言うことを
何気無く他の聖獣から聞いたことがあった
その時は、怖いフェンリルだなーって位しか考えてなかったけど
フィンレーが寝床にしてるのは、ブリザードとかと似てる、誰も近付かない地の底
大気にまで影響する彼の寝床の周りには、他の聖獣は近づいてこなかった
だが、俺と出逢ってから小さい姿になり魔力を抑えてくれたから聖獣が彷徨けるようになった
其まで……俺は知らなかったんだ
『 俺が、勝てるわけがない…… 』
未熟な俺が、彼に勝てないと尾を丸めていれば
ファルクは首の飾り毛を掴み引っ張ってきた
『 いっ!!?なに!? 』
「 勝たなくていい!勝とうと思わないで! 」
『 えっ? 』
争いなら勝つことが目的じゃなかったのか?
そう疑問に思う俺に、ファルクはそっと撫でては笑みを向けてきた
「 フィンレーに気を取られなくていい。炎さえ止めればリリアの方が俺が何とかする。だから、サラマンダーを食い止めてくれるだけでいい 」
『 それなら出来そうだ…… 』
サラマンダーの事は分かったと頷けば、ファルクは俺の元から離れ
此方へと銀狼の背に乗り走ってきたリカルドの腕を掴み背後へと乗った
「 サラマンダーは任せたよ!! 」
『 ワォォオォォオオ!!!! 』
彼がリリアの方に向かったのを見れば、俺はもう一度、壁を造り直し、落雷が降り注ぐ度に強度を増すように魔法を組み換えては
走り出し、サラマンダーの方へと向かった
火を向ける彼の火を、辺りの冷気で消しては向かう
「( 犬風情が、この上位精霊のサラマンダーに立てつくとは、その身を焼き殺してやる )」
『( サラマンダー、ワンコもやれるときはやるんだよ!! )』
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