91 / 276
一章 聖獣への道のり編
8話 加護を習得したらしい
しおりを挟むライアン王とリリアとの争いの後
フォーサイス王国の王家は滅び、
国の領土はアルトゥーラ連邦のものへとなった
イザベラ女王は味方の死人もなく、領土すら増えたことでファルクを自らの側近である騎士へと認め、ウルリヒ盗賊団全員を国民へと認めたのだ
居場所が無かった彼等に故郷が出来、そして仕事さえ与えられた
元々この国にはウルフに助けられた言い伝えが有るために、銀狼を怖がるものは少なく
銀狼達もまた国の宝として国民から愛されるものとなった
アルトゥーラ連邦、高みへと有る国の名前は
その栄えた事により名を改めた
「 ウォセカムイ帝国と名乗る 」
吠える神、と言う意味が込められたこの国は
ウルフの聖獣を持つ召喚師と国を守る近衛隊には、銀狼をパートナーにする者がいる
他国より戦力があり、団結力も有る為に争いの無い平和な国へとなっていた
銀狼が居るからと自慢しないのは良いことだ
「 ガウッ!( ロルフ~、そろそろ子供欲しくなぁい?私、若いよー? )」
『 欲しくない!それに俺は聖獣だっ、獣と同じになるもんか! 』
困ったことに、あの戦いから銀狼のメスに好かれている
ランクも上がったらしく体格は彼等より大きな野生の金狼ほど
余りにも避けたり逃げてるから体格差なんて気にしてないが……
「 あははっ。ロルフはモテモテだな~ 」
塀に腕を乗せ、爽やかに笑うのは俺の主であるファルク
あれから恋愛の話しは聞いてないが俺は知ってる
此処に元々居た、国民の子と仲良くなってるのは知ってるが、彼はまだ二十歳程度
遊び盛りなのに、イザベラの側近でも有るから多忙なのだろう
今日みたいに、他の銀狼と遊ぶ様子を見ることは余りない
『 笑ってないで助けてくれ! 』
「 良いじゃないか。その子は雌だし?繁殖してくれるのも俺達の為になる 」
『 繁殖って、だから俺を銀狼と同じ扱いにするな!! 』
「 あははっ!! 」
聖獣が獣と繁殖すれば、只の獣へと成り下がると聞いた
其は、フィンレーとなら別にいいと思うのだが
此処にいる彼女達の為に成り下がる気はない
だからこそ逃げる日々を繰り返すことで、反射神経を鍛えてるんだ、とポジティブになり過ごしている
「 はー、面白い 」
『 面白くない……俺には、好きなやつがいるし 』
月が昇る夜は、比較的に人型になることが多い
この姿なら銀狼達は諦めてくれるからだ
ファルクの国の見張りに合わせ、彼の横にある壁に凭れ、月へと視線を上げ息を吐く
人型はまだ本来のランクでは届かないのか、姿の変化は見られない
変わらない青年の姿に、俺はまだ自分が学生のように思える
いや、実際に大学生だったのだが横にいるファルクの方が大人びて来たから、少しだけ年齢の速さを改めて感じる
「 好きなやつ、あのフェンリルだよね? 」
『 そ、そうだよ! 』
「 人型でもイケメンだったんだから、獣から見てもそうだろうな 」
獣から見ても、俺はどうなんだろうか
銀狼達を見ても少し顔立ちが違う程度で同じに見えることは多い
だが人の顔の判断は、前世と変わらず違うと分かる
月から視線を落とし、ファルクと同じように塀へと腕を乗せ、ルイスには話さなかったことを話し始めた
『 俺は前世、人だから……獣の顔なんて、獣のまま。でも人型だと区別が付く 』
「 前世の記憶があるのか? 」
『 あるよ。聖獣も元は人なんだよ 』
驚いたように問う彼に、俺は目線をやり
静かに言えば同じ身長程になってるファルクは腕へと顎を乗せ背を丸めた
「 聖獣かぁ、良いような悪いような…… 」
『 俺は嫌いじゃない。死なないがその分、主の子孫が見れるから 』
「 あっ、ロルフの前の主は、あのルイスって聞いたんだがどんな奴だったの? 」
問われた言葉に、俺は答えて良いのか迷った
巡る魂が、こんなにも近くであり
そして似たような奴だなんて本人が知ればどう思うか
『 ルイスは、強さと優しさを持った勇敢な騎士だったよ…… 』
誰、とは言わず思い出を浸るように言えば
彼は聞くだけ聞いてから、溜め息を吐いた
「 はぁー、やっぱなし! 」
『 ん? 』
「 俺って結構嫉妬深いから。ロルフが前の主の事をよく言うとムカムカする! 」
ルイスもまた、俺を気に入ってくれていた
大切だと笑った彼の言葉を思い出せば笑みは零れ
どちらともなく向き合い、ニコッと笑ったファルクの頬へと触れていた
「 ん、ロルフ? 」
『 俺は……"御前"が好きだよ 』
幾度と無く此れからも巡る魂、それでもまた俺を呼んで嫌うことがあっても愛してくれるのだろう
御前はそんな性格に思えると、頬を触りながら笑った俺に、ファルクは俯いた
「 いや、ちょっと待って…。今、なんか胸に刺さった…… 」
『 ファルクも雄だもんなー? 』
「 ロルフ!!? 」
これは只の、主へと向ける愛情表現
獣の姿と同じだと思えば良い
俺の服を掴み強く目を閉じたファルクの頬へと優しく口付けを落としていた
「 ふはっ……俺も好きだよ 」
照れたように笑っては御返しとばかりに頬へと返す口付けを受け入れれば、その身体を抱き締めていた
『 ファルク、死ぬ迄傍にいる…… 』
「 うん、ずっと傍にいて 」
俺は人ではなくなった今は聖獣
死を見とり、そして次の主を待つ
また御前が呼ぶときは、もっと強くなれるといいな
2
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる