110 / 276
一章 聖獣への道のり編
08
しおりを挟む俺達が居た場所だけが氷の世界になっていただけのように、
白銀の森を抜けた先にあった場所は
流る川の向こうから青々と緑豊かな森が広がっていた
草花は太陽の光を一杯に浴び風に揺れ、小鳥も囀り、小動物達は此方を見ては逃げるものや興味を現してる者さえいる
こんなにも自然豊かな場所が直ぐ隣にあって
何故、彼処だけは凍り付き木々さえ枯れてたのか不思議に思うぐらいだ
『 先に身体洗えよ?ちょっと、いや……かなり汚い 』
「 うむ、久々に洗うから綺麗になると良いな! 」
どこの国なのか、自分達はどこにいるのかも分からないまま、多少の不安はあるが
主であるフリーレンが傍にいるのなら、彼が行きたい先が俺の行く場所だ
なにも不安がる事は無いのだから、今は出来るだけ守ることを考えよう
青い森へと入る前に、流れている川の傍に彼を降ろし
先に水温を確かめるように中へと入り、足場が悪くないのを確認しては告げる
『 そのまま入れ。足元には気をつけてな、石ばかりだ 』
「 久々に歩くから大変だな…… 」
早々に背中に乗ったのはその事かと
まるで小鹿のように足腰を振るわせながら、川の方に来るフリーレンを見れば、仕方無く一旦上がり、彼の手元に自分の背中が来るようにする
嬉しそうに口角を上げ、裸足の爪先から川の中へと入っていく
「 おぉ、気持ちがいいな! 」
『 良かった。傍にいるからあらっ…… 』
「 わっ!! 」
先に歩こうとしたフリーレンは、脚を滑らせたらしくそのまま背中から転けては川の中へと尻餅をついた
少しずつ洗う予定の身体は、全身を浴び、彼のキョトンとした様子に吹き出して笑ってしまう
『 ふはっ!レン、ドジだなー! 』
「 ははっ。此もまた良き。濡れる手間がはぶけた 」
『 そうな、そのまま洗うといい 』
頷き、尻餅をついた姿勢から座り直し
水を身体へとかけては汚れを取るように擦る様子を見ては、俺は少し離れて自らの身体を洗い
全身を浴び、気持ちいいと呟く
フリーレンへと視線を戻しその、言動に一瞬身体は止まる
「 気持ちがいいね…… 」
肩まで無造作に伸びた青みかかった白銀の髪を洗い、濡れた頬や首筋は何とも目に余るものがある
どんな目の色をしてたのか、そんな事すら気にならないほどに彼はその存在が儚い氷のように美しい
細身であり胸板も薄いが色っぽいと思い、目線を反らして入れば彼は気にすることもなく、服を捲り上げ洗っていた
「 此所もしっかり洗わなくてはなー 」
『( 股間を洗うのは分かるけど、もう少し上品に!! )』
どんなところを擦って先まで綺麗に洗ってんだと突っ込みたくなるが、男なら分かる!
大事だと頷き、見ないフリをして
川に泳ぐ魚を見れば捕ってみようかと、考え
じっと川を見詰めては足元に来た瞬間に噛み付く
『 ガウッ!( 獲れた!! )』
案外、シロと力合わせして反射神経が鍛えられたかなと喜び
取った魚を岸へと投げてはもう一度、狙う
「 さて、綺麗になったところだ。服装も変えようかな 」
『 ん? 』
口に二匹咥え、顔を上げた俺は岸へと上がったフリーレンに着いていき
先程の魚が力無く落ちてる場所へ、二匹もまた落とし見上げる
彼は両手を自分の前へと手の平を上になるように向け、小さく魔法を唱え始めた
それは全てを聞き取れない程だが、濡れた身体は乾き、古びた服だと関係なく足元から
僅かに踵のある皮靴を履き、細身のスラッとした黒いズボンになり、中シャツを着て、何枚か服を重ね、そしてフードを被ったローブは長く全身を覆い隠すほど
襟元はハッキリと見えるのだが、氷の結晶のような装飾が飾る白いローブは美しく
大きめの金色の飾りはまるで宝石のように輝き、ローブの先端などに付いている
白と青がベースとなった全体的な見た目は、おとぎ話に出てきそうな魔法使いそのもの
『 綺麗だ…… 』
「 おや、そうかい?ならナイトも着飾ろうか 」
『 えっ、わっ! 』
自然と感動した声が漏れた俺の頭に触れたフリーレンは、魔法を使う事無く
獣の身体にローブと同じ柄と色をしたフード付きのマントをくれた
『 凄い!ありがとうっ!!御揃いだな! 』
「 見えないのが残念だが、きっと似合うだろうなぁ…… 」
残念だと肩を落とすフリーレンに、俺は貰ったローブみたいなマントの変わりになるものが有るかと考え、はっと一つ思い付いた
『 御礼に俺の" 眼 "を貸す。レイが死ぬまで、俺の片目を使うといい 』
「 いいのか? 」
『 もちろん! 』
死んだら返してもらう、ともう一度ハッキリと告げれば彼は微笑みを浮かべ
しゃがみこめば俺の頬に手を置く
「 半分見えなくなるぞ?それでもいいのか? 」
『 いいぜ。半分なんて御揃いだと思えば 』
「 ふっ、俺の聖獣は随分と優しいな 」
同じ世界が見えるなら、それは嬉しいことじゃ無いか
幾度と無く見てきたのだからもう一度見ようと、尻尾を振って待っていれば
彼は両手で頬を包み込み額へと口付けを落としてきた
雪のような匂いも、冷たい手も、どこか温かさすら感じることに胸が暖まる
やっと出会えたルイスの魂、もう一度俺と世界を見よう
13
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる