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一章 聖獣への道のり編

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望み通りに鎖を噛み砕き、壁を壊して青年を背に乗せ外へと飛び出したのだが
其処は高さのある塔の上で、一瞬死ぬかと思ったが何とか出れた
そして辺りは砕けた彼の居た塔とはなにもない、一面氷に覆われた場所だった

白銀の世界が広がり、彼が冷たかったのはそれが原因だったのだろうか
やっと地面へと着地し、背から下りた青年は笑った

「 いや~数百年かな?捕らえられてたけど。外の空気は美味しいねぇ~ 」

薄くてボロボロでそれにて汚れた布切れ一枚を身に纏った青年は、氷のような青みかかった銀色の髪に、色白の肌は痩せていて
残りの枷を自らの外していくも、俺は彼を見て何も言えなくなった

『( 目が…… )』

「 おや、獣さん。君はどんな見た目をしてるんだ? 」

目蓋は閉じ、顔半分から上は焼かれた様に皮膚は変色していた
潰れた目は開くことがないように思え、目が見えて無いんだと知った

しゃがみこみ、俺がいるだろ方に手を伸ばした
若い青年へと自らの鼻先を当てれば彼は長く伸びた爪のある手で鼻先から触れてきた

「 ふむっ、鼻先は長いと。牙もある……毛並みは硬めで、耳は小さめ……大きさは…… 」

『 ウルフ 』

「 そう、ウルフみたいな……ウルフ!? 」

そんなに撫でくり回されたら気になる、どんな姿だと分かりやすく言うのなら狼と名乗れば早いだろうと
そう、呟けば彼は驚いた表情を見せてからもう一度両手で包み込み笑った

『( あ、ルイスだ…… )』

ファルクの様な温かさも感じるが、
どちららかと言えばルイスに近い物を感じた俺は頬は緩み、久々に会えた感覚がしてその頬へと舐めれば彼は笑った

「 ふふっ、くすぐったいぞ。そうか、ナイトはウルフか 」

『 噛み砕けって言ったから見えてるのかと思った…… 』

「 いやー壊してくれるなら何でも良かったんだよ。自分で壊すと脱獄になるからさ 」

『 脱獄……えっ 』 

もう一度、塔の方へと見上げていれば
彼は首から俺の背中へと触れ探るように体格の位置を気にしては跨ぎ乗ってきた

「 そう言うことだ!ほら、ナイト。行こう!久々の外の世界だ~もう捕まらんぞ! 」

『 御前、何をしたんだよ…… 』

「 どうでもいいじゃないか~あははっ! 」

魔力を使わず、取り敢えずこの塔から離れた良いことは分かり普通に走り出す
背中に乗った彼は馬に乗るようにバランスよく乗ってくれてる為に走りやすいと、何処までも続く氷の世界を抜ければ、雪がつもる森へと入っていく

「 何色だ? 」

『 俺は灰色がかってる…… 』

「 目の色は? 」

『 深い海の底のように青色だと、思う 』

「 ほう?シルバーウルフじゃないな? 」

『 まぁな、召喚されたし…… 』

質問攻めだが、見た目が分からないと気になるのだろう
無理はないと思い答えては、足首が埋まる雪の中を進み、何処に行けばいい分からないまま歩いていく

「 血で古くに伝わる魔法陣を思い出して書いたから、精霊か、悪魔かと思ったが違うんだな? 」

『 聖獣ってやつだ 』

「 聖獣とな!これはこれは、また俺も運がいい 」

あの血の匂いは魔方陣を書いたことによるものなのか
其にしても目線を向ければ確かに身体中傷だらけで、血を使ったで有ろう左手は爪まで血で滲んでる
少し洗ってやりたいと思うが、川まで氷ってそうなこの銀色の世界にまずは此所を抜ける事を優先した

『 聖獣を知ってるのか? 』

「 そりゃ、俺は魔法使いってやつだから、召喚魔法含めた魔法は知ってるさ 」

『 魔法使い……へっ!?  』

今まで国民ではないにしろ、近衛位だったルイスがいつの間にか魔法使いを名乗れるほどに強くなってた事に驚き
立ち止まった俺に、彼は先に進めとばかりに腹を軽く蹴るのに合わせ、仕方無く歩き出す

「 魔法使い、君は知らないか? 」  

『 ちょっと……だけ、聖獣だけど魔法が下手だから…… 』

「 魔法は何でも創り出せるのだよ。ちょっと自然の力を借りて、だが、自然の流れを壊してはならない……それが魔法使いの掟さ 」

魔法、それは俺達聖獣の持つ本質のみが使えたりするが
人間である魔法使いが聖獣と同じことが出来るってことは少し驚きもある
 
冷たい雪を踏み締めても、この氷属性の身体は寒いとは思わない
きっと俺を召喚できるこの魔法使いもまた、寒くはないのだろう
薄い服装なのに寒がっては無いのだから

『 そう言えば、主の名は? 』 

「 俺は氷の魔法使いと呼ばれてる。名をフリーレン。全てを氷らせる者さ 」 

『 じゃ、この辺りが氷ってるのも? 』

「 いや、只此処に連れてこられただけで、魔法使いは大気までは影響は出ない 」

『 そう……違うのか 』

フリーレンと名乗った我が主
少し長いから、渾名を" レン "と呼ぶことを許してもらった

彼は飲まず食わずのままこの氷った森を抜け、緑が生える国までやって来た

暖かいと告げた彼は、まず最初に川へと連れていくことにする



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