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一章 聖獣への道のり編
09
しおりを挟む「 とても嬉しいが、気持ちだけ受け取っておく 」
『 えっ、なんで? 』
顔を離したフリーレンは、わしゃっと両手で首回りの濡れた毛並みを撫で回しては
優しげな笑みを向け驚きを見せる俺に、言葉を返す
「 この両目は無くてもよい。俺に恐れた人間が彼処に入れる前に焼ききったもの。助けてくれた御前が片目でも負担することはない 」
『 だからこそ、また世界を見たらいいじゃないか 』
「 ナイト、眼ではなく心で見えるものも、沢山有るもんだよ 」
見えなくなったことに慣れてないから、歩くときに片手を前に伸ばす癖があり、探る位置も
此方へと向ける顔も全て把握してないのは分かっていた
氷の魔法使い、フリーレンを恐れたから目を焼ききるなんて人間も惨いことをする
自分達の顔が見えなければ、なんて思ったのだろうな
もう少し俺が早く召喚されていれば、なんて思い落ち込めば気付いたのか、彼は明るく笑った
「 御前が変わりに色を教えてくれればよい。ずっと一緒に居てくれるのだろ? 」
『 そりゃ、レンが死ぬまで傍にいる 』
死ぬまで、けれどそれは守れる範囲は守るし
もう二度と簡単には死なせたくはない
胸を張って言えば彼はゆっくりと立ち上がり辺りへと顔を向ける
「 ふふっ、孤独な魔法使いには嬉しいほどだ。さて、腹拵えをしようか 」
『 あ、魚捕ったから食えよ! 』
「 おや、それはありがたいな 」
やっぱり御腹空いてたんだな、良かったと喜んだ俺はフリーレンの袖辺りを噛み、魚の置いてある場所まで来させれば、座らせて目の前に三匹の魚を置く
『 ほら!これ 』
「 ナイト、流石に焼かないと食べれないぞ? 」
『 はっ!そうだった!!えーと、火を起こすには…… 』
獣に慣れすぎて、生魚を平然と食わせようとした事に、焦って理解すれば獣の姿でどう火を起こせばいいのか考え、ウロウロと辺りを見れば笑みを向けてきた
「 ふふっ、では頼み事をしてもよいか? 」
『 おう!なんだ? 』
よし、頼み事なら任せてくれ!とばかりに返事をするなり
一つ一つ指を出しながら告げた
「 乾いたスギの木、大きめな葉、繊維の細い茎でも、鳥の巣でも持ってきてくれるか? 」
『 おう!探してくる、そこにいろよ!何かあれば聖獣召喚してくれ! 』
「 あい、分かった 」
離れるのは心配だが、直ぐに持ってくると告げ
何度か座っているフリーレンの姿を振り返りつつ見れば木々のある森へと入る
『 スギの木…… 』
人間だった頃に刻まれたスギの木の匂いを頼りに木の根本やらを匂って、探していく
辺りには無いことが分かり、少し走っていれば落ちてる乾燥した木と、その傍には木が立っていた
『 おぉ!燃やすために斬ろ!氷剣! 』
冷気によって結晶を作り、それを小さな剣に変えて木の枝へと向かって飛ばせば
切り刻まれた木は落ちてくる
『 いてっ、でも此で一つ目がクリア! 』
頭に落ちてきた木の欠片に耳は下がるも、直ぐに咥えて走りフリーレンの元に戻る
『 木、持ってきた! 』
「 おや?早いのぉ、よし、次は分かるかい? 」
『 分かるぜ! 』
大きな葉っぱは直ぐ近くにある、問題は繊維の細い何かと考えて動けば
蔓を見かけ、咬んでみれば細く裂けそうな事を知り、それを持って帰る
フリーレンの周りには言われたものがそのままあり、彼は俺の頭を撫でてから取り掛かる
「 此は竜の髭、細い木に巻き付け回転できるようにして…… 」
ある程度の物は出せるらしく、タコ糸に似たそれを木に巻き付けては、平たい木へと当て
上下に動かし摩擦を起こす
そのまま手でやるのかと思ったら、途中から自動で動き始め、驚いてみてる間に
蔓を細く裂き幾つも重ねて丸めては、火の元の傍に置く
その間に俺が持ってきた大きめの木を触って、積み重ねる
自動で上下に動いてた火の下から煙が立つ事に興奮して尾は揺れる
『 煙!レン、煙が出てる! 』
「 そうだろう。御前が選んだ木が良かったようだ。火種をこっちへと入れ息を…… 」
俺の木が良かったと、褒められ嬉しくなれば
彼は火種をあの蔓の中へと入れ息を吹きかけて
大きくしていき、木の下へと入れる
後は威力の強くなる魔法でも使ったように、火は焚き火になるほどに火種が大きくなった
『 おぉー! 』
「 さて、魚を焼こうかな 」
『 おうっ!! 』
目が見えなくても火を起こせて、焚き火すら作れるなんて
この人は凄いなと感心し、彼が魚を焼く様子を隣で横たわり見ていた
氷属性だがそんなに熱いとは感じないためにこののんびりとした時間を満喫していた
「 出来たようだ、頂くよ。ナイト 」
『 どうぞ、俺は食事をしないから全部食べてな 』
「 ふふっ、贅沢だな……頂きます 」
木を掴み身へと齧り付くフリーレンは、美味しいと小さく呟き嬉しそうに食べていく
長く食べてなかったようだったから安心したと、彼が食べ終わるまで待つ
オレンジ色や赤へと変わっていく火を眺めていれば、ひょこっと顔を覗かす妖精に驚くも
それが魔法使いが使う、火の力だと知り胸は踊る
『( なんか、魔法が覚えれそうだ…… )』
きっと教えてくれる、そう何処かで確信があり
暖かさを感じていれば眠気と共に眠りについた
3
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